かわさき起業家オーディションビジネス・アイデア シーズ市場
第49回最終選考会(2007年9月8日開催)
ENTRY No.3

ビジネスアイディアのテーマ
『同じ年代のなかでの健康状態を知る標準値化による健診データの有効活用』

ビジネスアイデアの提案者
株式会社技攷舎
 梅沢 光一(うめさわ こういち)

  【神奈川県海老名市】

かわさきビジネス・アイデアシーズ賞
梅沢 光一さん

ビジネスアイディアの概要について

今や、健康志向は完全に根付いたといえる。しかしその「健康」が危うい時代になってきた。地域や所得による医療格差、メタボリックシンドロー ム、保健経済の破綻、など様々な要因をあげることができる。しかし、その根底には、自分の健康状態の正しい把握方法やデータについて取り残さ れたままになっていることがある。その原因の1つが健診データの拠り所となる基準値が持つ、「性年齢を考慮していない」、「設定値そのものが おかしい」などの問題点にあると指摘されている。 本システムは健診データを性年齢別に標準値化し次を実現している。

  • 性年齢に応じた健康状態を把握する
  • 検査値項目に共通の判断指標100を採用し、検査値の理解を容易にする

これにより、医療従事者の受診者に対する説明も理解し易くなり、自身も健康について正確に把握することができるようになる。本システムはEB M(科学的根拠に基づく医療)化に向け、健康の「情報」を「科学的」に捉え分析し、健康への「自発的改善」を促すことを可能とする。

検診データの活用

新規性・優位性について

標準値を健診データに採用したことは、従来にない新しい試みといえる。ほとんどの健診データ表示システムは、一般的な検査絶対値のみを採用し ている。このため性年齢などに応じた判断や検査項目に共通の指標を求めることはできない。
またそれらのシステムが、特定健診・保健指導の義務化に向けて市場算入を果たそうとするの対し、我々は90年代初期より医療統計データについ て研究し、健診データに関するデータベースの構築や有効利用についてシステム構築を進めてきた。本システムはその成果であり、十分な実証/検証 を経た健診データの分析表示システムは他に見あたらない。


市場について
  • 主なターゲット・市場の規模
    【ターゲット】
    ・個人の健康管理
    ・事業所、自治体、健診センター、医療機関での保健指導と健康教育等
    ・医療機関での臨床研究等
    【市場規模】 参考となる市場規模としては医療機関分野において隣接する電子カルテ市場が2000億円(08年)、包含 されるメタボリック予防・診断分野が1兆円(10年)と推計されている。参考市場規模としては、厚労省 の推計する特定健診の対象者数5618万8千人(08年)がある。
  • 市場での競争力
    健診データの標準値化による分析表示システムのアプリケーションパッケージ提供に関しては、競合企業がなく、標準値化の認知の徹底により市場を占有できる可能性は高いと考える。標準値化の啓蒙普及については現在の協力機関を核に拡大したコンソーシアム化を進めている。販売面チャネルの脆弱さは否定できず、早急な販売面でのアライアンスなどチャネル整備が必要と考えている。

実現性について
  • 実施スケジュール
    ・ 基本となる手法については既に確立済み
    ・ 個々機能の実現技術についてはプロトタイプ制作と検証済み
    ・ 個人及び小規模事業所向け 07年6月発売
    ・ 保健教育、啓蒙向け → 07年7月発売
    ・ 保健指導向け → 07年9月発売予定
    ・ 病院、クリニック向け → 本年中に発売予定
    ・ 臨床研究向 → 医療機関等と共同研究中
  • 実施場所
    弊社事務所(海老名市)並びに共同研究先
  • 実施体制(従業員等)
    弊社(3名)並びに共同研究先職員(2名)及び外部委託プログラマー(1ないし2名)
  • ビジネス・パートナー
    本システムの概念、論理については駒澤勉(統計数理研究所)氏に氏が逝去される05年7月まで監修指導を受けた。統計処理については引き続き同研究所の協力を、また複数の医療機関と必要機能と仕様についての協同研究を進めている。
  • リスクとその管理
    標準値を利用した健診データシステム(サービス)を提供しようとする企業はASPサービスによる1社がある。標準値の採用は今後、当然に考えられるケースで、販売チャネル整備が急がれる。また手法の提供形態は多岐にわたり、前述の1社を含め必ずしも競合とはならず、むしろ市場活性(パイ拡大)の効果が大きいと考える。

このページの内容は、受賞者の文責による最終選考会プログラム(当日配布)の内容を転載したものです。
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