かわさき起業家オーディションビジネス・アイデア シーズ市場
第57回最終選考会(2009年2月7日開催)
ENTRY No.7

ビジネスアイディアのテーマ
マンノース被覆リポソームの医薬品としての開発

ビジネスアイデアの提案者
株式会社バイオメッドコア
佐藤雄一郎(サトウユウイチロウ)

【横浜市金沢区】

かわさき起業家大賞
りそな神奈川応援賞

佐藤雄一郎さん

ビジネスアイディアの概要について
重粒子線医療の普及のために

当社のコア技術は、「マンノース被覆リポソーム(MCL)」です。このMCLは、マンノースを介してマクロファージや樹状細胞等の細胞に認識され、細胞内に取り込まれます。このMCL は医薬品としての応用とともに、これまでにない有用な研究用試薬への応用も可能です。
当社は、上記MCL 技術を用いて、医薬品の研究開発事業およびリポソームの受託製造事業を進めています。
まずMCLのドラッグデリバリーシステム(DDS: 薬物等を標的組織に送達する方法)としての機能を活用した抗がん剤のDDS製造開発を行っています。対象疾患は、腹腔内転移腫瘍である「胃がん」、「卵巣がん」です。これらのがんに有効な抗がん剤を持つ製薬企業との共同開発の形で行います。他方、MCLの免疫に対する作用を応用したがんワクチンの開発を大学および製薬企業とともに行います。当社はすでに大学と共同して、がん抗原を包埋したMCLを用いて動物実験を行い、予想以上の効果を示すことを確認しています。もう一つの事業は、リポソームの受託製造です。当社は、独自に新しいリポソーム製造プロセス技術を開発し、それを自動製造する装置の開発を行っています。これらの強みを生かして、共同開発する製薬企業からMCLの製造を受託するとともに、一般の医薬品や化粧品メーカーからも製造を受託し、当社のもう一つの事業コアとしていきます。


新規性・優位性について

マンノース被覆リポソーム(MCL)は東海大学で開発された技術です。表面にマンノースを結合させることにより、MCLは自ら標的となる細胞(マクロファージや樹状細胞)を目指して包埋した薬剤や抗原を運んでいきます。このメカニズムはアクティブ・ターゲティングとよばれ、他のリポソームを用いた薬剤にはないMCLの特徴となります。また、当社が開発したリポソーム製造法を用いると、既存の方法に比べるとずっと簡便でワンステップの操作で、粒度のそろったリポソームを製造できます。さらにこの方法を基本にして、連続的にリポソームを製造する革新的な装置を開発中です。
MCL関連の特許が下記5件の出願がなされ、当社は海外を含めた独占的な実施権の許諾を受けています。また、現在、独自の特許出願3件を準備しています。

特許・公開番号発明の名称出願人
特許2828391オリゴ糖を表面に有するリポソーム東海大学
特開2001-081044リポソームおよびそれからなるワクチン東海大学
特願2006-511082免疫応答システムを利用したドラッグデリバリーシステム東海大学・愛知県
特願2007-510561免疫誘導のためのリポソーム組成物東海大学・愛知県
特開2007-308572オリゴ糖を表面に有するリポソームを含むアレルギー治療薬東海大学・東レ㈱

市場について
  • 主なターゲット・市場の規模
    私どもの開発商品(技術)は、(1)Th1ワクチンアジュバント、(2)DDS用のキャリアーで、夫々、世界的な市場は莫大です。癌ワクチンだけで3000億円、DDS市場として6000億円程度です。当社の当面のターゲットの市場は、国内のTh1ワクチン市場:250億円、DDS市場:60億円程です。その他に、医薬、化粧品等リポソーム受託製造の国内市場が数十億円あるとみられます。また、今後、当社技術が広範に知られることで、リポソーム市場自体が拡大することが期待され、10年後には上記市場の2~3倍に拡大するものと期待されます。
  • 市場での競争力
    当社は、マンノース被覆リポソーム(MCL)の基本特許、応用特許、製造特許を保有し、技術の競争力については問題ありません。ただし、事業を進めるうえでは、MCL中に包埋する薬剤や抗原の保有製薬企業との共同開発が必須です。当社のMCL技術は、これらの製薬企業の持つ薬剤や抗原に新しい可能性を付加できる技術ですので、製薬企業とwin-winの関係を構築することにより市場で強い競争力を発揮できると考えています。

実現性について
  • 実施スケジュール
    09年3月:NEDO資金を活用した製造法および製造装置の開発
    09年9月:がんワクチン開発開始
    10年3月:医薬品(GMP)グレードのMCL製造体制の確立
    (この間、アライアンスを組める国内外の製薬企業の探索を続けます。)
  • 実施場所
    横浜金沢ハイテクセンター テクノコア内
  • 実施体制(従業員等)
    経営陣5名、従業員5名(随時増強予定)、技術アドバイザー4名
  • ビジネス・パートナー
    現在、海外数社、国内数社と交渉中。
  • リスクとその管理
    資金調達が容易ではない。アライアンスが必須。ビジネスアドバイザーとして海外1名と契約。
    そのた、VCのハンズオンを利用。

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