かわさき起業家オーディションビジネス・アイデア シーズ市場 第71回最終選考会(2011年6月10日開催)

Entry.5


ビジネスアイディアのテーマ

ため池など停滞水域の生態系保全型底泥浚渫脱水資源化方法

ビジネスアイデアの提案者

特定非営利活動法人みずなみ

吉川 雅章(ヨシカワ マサアキ)

【東京都小平市】

かわさき起業家優秀賞

青井 透 さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【発表者:副理事長 青井 透 氏】

ビジネスアイディアの概要について

本アイデアのシステムは、作業台船から懸垂した特殊な浚渫ポンプと、電源とホースが接続した陸上の凝集分離脱水装置で構成される。すなわち水を抜くことなく、ビニル等夾雑物が混合した底泥のみをスラリー化して陸上に送り、サイクロンで砂を分離後、ビニル類や落葉などをスクリーンで除去し、残った細砂シルト質を無機中性凝集剤で凝集分離し、そのまま脱水機で脱水土として回収するものである。
 底泥撹拌から脱水土の生成までの所要時間は15分程度と高速であり、水域の魚類や植生はそのまま保全され、脱水土は良質の培養土として利活用が可能である。また処理水は水域に戻るが、浚渫水中のリンは凝集剤中のカルシウムと結合除去されるので、処理水中のリン濃度は低減し水域の富栄養化を防止することができる。この装置は4トントラックで輸送できる規模であり、対象水域付近に降ろして作業するのが一般であるが、場所的な制約がある場合にはトラック上に搭載したままでも、作業は可能である。多くの景勝地やため池で利用可能である。 

新規性・優位性について

軟弱なヘドロで埋没の危険性のある水域では、底泥浚渫は水を抜いて乾かしてから重機による除去が常であった。この方法では作業時期が制約され、浚渫土には必ず空き缶・ボトルやビニル類が含まれるために、浚渫物は全て産業廃棄物として処分するのが通例である。本アイデアは類似のものがない独創性を持っており、さらに既に実用化している点でも類をみない。また使用する無機中性凝集剤は、従来一般的に用いられてきた高分子系凝集剤と異なり残留性がないため、脱水土は植物栽培に利用できる。脱水土は良質の腐葉土状であり、保水性・植物の発芽性・生育性も良好である。

市場について

主なターゲット・市場の規模

当面のターゲットは、都市公園内の池・堀などの閉鎖性水域と農業用ため池である。都市公園内の池・堀は各自治体に複数存在するし、農業用ため池は、全国には数十万箇所あると云われている。当面予算処置が期待できるのは、都市公園内の水域や埋没の危険性がある農業用ため池等であるが、中小河川下流域の底泥堆積部にも適用されることが期待される。

 

市場での競争力

冬季の渇水期に時間をかけて水を抜いた後に重機で排泥するような、農業用ため池等では、低コストでの浚渫を実施してきたので、価格競争力の点では苦しい。
しかし都市公園や景勝地の池等では、水を抜いて重機での底泥排出は時期および臭気の点で困難であり、生態系の保全やビンカン・ビニル類混入による産業廃棄物の問題を回避できないが、本方法では生態系の保全と底泥の資源化が可能であり競争力がある。

実現性について

実施スケジュール

本技術は、既に実用化の段階に達しているので、今後必要なのは多くの場所で浚渫実績を積むことにより、長期運転での最適条件を把握するとともに装置のスケールアップを行い、浚渫単価を引き下げる活動である。それとともに用途拡大のために、応用的な技術開発が必要である。浚渫を要する各場所で実運転を行いたい。

実施場所

川崎市内の都市公園内池沼で、実際に浚渫作業を実施したい。対象となる実施場所としては、等々力緑地内池や川崎太子内池などがある。

実施体制(従業員等)

NPOみずなみには、浚渫装置を保有しているメンバーや、実際の浚渫作業を専門に実施している技術集団があるので、これらのメンバーの協力により何時でも実施可能である。

ビジネスパートナー

関心のある方ならば、どなたでも組ませて頂きます。

リスクとその管理

底泥資源化で最大の問題は、重金属が含まれる場合であるが、群馬高専にある蛍光X線分析装置により、事前に各金属元素の含有率を測定してから、実際の浚渫作業に望むように管理している。

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