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株式会社アステム


光センサーに特化した研究開発型企業、第1弾が果実糖度計




●事業内容
画像処理を主とした産業用機器、航空機・船舶・車両用の電気電子部品の開発、
製造販売。乱丁センサー、海底地震波記録装置などを手がける

下記情報は、平成14年度現在のものです

■企業名 株式会社 アステム

■創 業 
1981年(会社設立:1992年)
■所在地 
〒210-0001 川崎市高津区溝口2−14−6 シマヤビル
■代 表 
鈴木 光 氏
■資本金 
4150万円
■売上高 
1.5億円(2002年3月期)
■従業員 
6名
URL:
http://www.astem-jp.com


 果実生産農家が待ちに待った商品がまもなく登場する。果実の糖度をわずか1秒で測る機械だ。それも木からもぎ取る前の状態で測れる優れもの。「甘くておいしい果実をきょう収穫するか、明日にするか」は果実の商品価値を決める重要な要素だが、光センサーに軸足を置いた「(株)アステム」はそれを可能にする糖度計を開発した。研究開発型企業を標榜する同社にとって、果実糖度計はほんの手始めに過ぎない。「日本の産業構造を変える期待のタネも仕込んでいる」という鈴木光社長の目は、さらに将来を見つめている。


● もぎ取る前に測定する独自のアイデア盛り込む
 果実糖度計の商品名は文字どおり「AMAICA」。小型軽量で、重さは350gというハンディタイプ。近赤外のレーザー光を果実に当て、果実内の糖度が高いほどハネ返ってくる光が減りやすい性質を利用している。専門用語でいえば拡散反射法という。非破壊だから果実を痛めることなく、もぎ取らずに測定できるので、商品価値の高い甘い果実を出荷できるわけだ。これまでは、選果場でコンベア上を流れる果実に光(ハロゲンランプ)を当てる大型システムや卓上型、肩に掛けるショルダー型などが実用化されているが、いずれも収穫した果実が対象。しかも、価格は数千万、数百万円と高価。それを約20万円とケタ違いの低価格で市場投入する予定である。単3電池で数万回も測定できる特徴もある。
 鈴木社長が果実糖度計を開発した背景は―。1981年にマイコンシステムの受託開発、いわゆるシステムハウス「アイテック」を設立する。それ以前は企業でシュガープラントの設計を担当、砂糖の品質管理を分光技術でトライするが、研究はこの段階でピリオドを打つ。独立したアイテックでは寿司ロボットコントローラーを専業メーカーと共同開発し、この権利を譲渡した資金を元に1992年に新たに研究開発に特化した会社を起業する。それがアステムだ。


● 特許検索が糸口、産官連携で難問を解決
 工場を持たないファブレスで、営業部隊も置かない光センサーを中心にした研究開発だけを行う会社を目指した。ふと周りを見ると、高性能の半導体レーザーが手に入る時代に変わり、砂糖の品質管理に必要だった単一波長の光を、ハロゲンランプでつくり出すのに苦労した苦い記憶がよみがえる。単一波長を出せる半導体レーザーを使えば果実の糖度の判定に生かせる…。過去に挑戦した分光技術に再度注目したのである。
 といって、果実糖度計の開発が簡単にできたわけではない。「2年間は失敗の歴史だった」という。レーザーの熱による不安定さ、量産時に欠かせない低価格化問題で試練が待っていたからだ。加えて、果実の糖の成分とレーザーの吸収量との関係を確立するには理論武装が必要だった。何ごとも行動が早い鈴木社長は特許庁のデータベースにアクセス、目に飛び込んできたのが拡散反射法。この技術は農水省食品総合研究所の河野澄夫博士の特許だった。ただちにアプローチを開始し、アイデアを説明したところ、「半導体レーザーを使うのはすばらしい。応援する」との激励を受けた。その後、河野氏の技術指導を受けるとともに、農林水産先端技術産業技術振興センターの補助金を得て開発に成功した。


● 開発のコンセプトは「日本の農業を守りたい」
 リンゴ、ナシ、モモ、温州ミカン、トマトを対象に6月以降、販売するが、これらの果実用にしたのは「リンゴなど4つの果実で生計を立てている生産農家は全国で21万軒。市場調査の結果、約3割が購入層とみている」そうだ。部品の製造、組み立ては得意とする企業にアウトソーシングし、糖度計の品質保証だけを自社で行い、販売は三井物産を含めた代理店制にする。量産体制を敷くうえで必要になる資金は、私募債、川崎市の保証で銀行からの融資、キャピタルの投資の3段階でクリアする計画である。
 この果実糖度計のコンセプトを鈴木社長はこう表現する。「日本の農業を守るため」と。言い換えれば“食の安全保障”に置いている。中国産のネギなどが国産品を脅かしている例をみても明らかなように、原因は競争力の低下にある。品質を高められれば輸入品と太刀打ちできる、その武装手段に使って欲しいと願いを込めている。一方で、米国や韓国など海外から引き合いも受けているが、当面は国内販売を優先する考えだ。

● 血糖値測定から遺伝子組み換えまで視野に
 アステムが次に狙っているのが血糖値の測定器である。果実の糖度を測る技術が人の血中糖度を無浸襲で測定するのに適用できると判断、同時並行で研究も進めてきた。これについては大学や医療機関と連携しており、数年後に実用化を目指している。
 鈴木社長の開発テーマに対するポリシーは「私が提示したものしかやらない」点に絞っている。効率化のためで、実現性があるかどうかを見極め、ブレークスルーが見えれば継続する、それに市場と社会貢献度で判断するという。社会貢献度とはいかに儲かるかを指し、これらを指標に決定すると極めて明快だ。「現在の光センサーを軸とした分光技術だけでも会社を経営していくタネは十分。それ以外に、アグリビジネス、遺伝子組み換えなど今までにない、まったく新しい概念のテーマも抱えている」と自信たっぷり。当面の目標である株式上場もスムーズにクリアしそう。鈴木社長の話から、そんな予感がする。


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