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株式会社オーセンティック


オーディオのキーパーツ戦略を展開する音の専門家集団


社長 近藤  信之 氏
●事業内容
パソコン内蔵用スピーカー、超薄型フラットスピーカー応用製品、高級Hi‒Fiスピーカーなど音響機器の開発、販売
下記情報は、平成14年度現在のものです

■企業名 株式会社オーセンティック
■創 業 1993年10月
■所在地 〒213-0002 川崎市高津区二子5−17−1
■代 表 近藤  信之 氏
■資本金 2億50万円
■売上高 17億7000万円(2001年度)
■従業員 22名


 そこは本社の一室。映画『ジュラシックパーク』の迫力あるサウンドと映像が飛び込んできた。「そのスクリーンを触ってみて」。「ン。表面が振動している…」。「そう、スクリーン自体がスピーカーになっているのです」。本物という意味を社名した「(株)オーセンティック」がまもなく市場に問うスクリーンスピーカーだ。部屋にはこの次世代戦略商品以外に、携帯電話やカーステレオなど新しいビジネスを立ち上げる製品が出番を待っている。

 NECの社内ベンチャー制度で生まれた第1号

 オーセンティックは1993年、NECの社内ベンチャー制度から生まれたNEC100%出資の子会社。90年代の初めからNECは経営革新運動「NECスーパー21」を展開、ベンチャー育成を目指して、「1億円の範囲内で事業を推進し、3年目で単年度黒字を達成」することを条件に社内起業家を募集する。提案は280件余。役員面接に残った2件のうちの1つがスピーカーシステムを提案、オーセンティックを立ち上げる近藤信之氏だった。もう1つの会社は途中で挫折したため、第1号の成功事例である。
 家庭用ながら120万円もするHi‒Fiスピーカーシステムを開発した後、英社から薄型スピーカー開発に関する基本技術の供与を受けて、パソコンや音響機器用フラットスピーカーやアンプ、チューナーなどの開発に乗り出す。特に、パソコンにCD‒ROMが搭載され、音が重要な要素として認知されるとともに、NECホームエレクトロニクスが解体されたことでグループ内での音の専門家集団という位置づけも加わった。そして、現在では“パソコンオーディオの世界”。オーセンティックにとって強いフォローの風が吹いている。

● シチズン電子と提携し、経営体質を強化
 しかし、落とし穴があった。今年で創業10年目を迎える同社も3年前、大トラブルに見舞われる。それまでは順風満帆で「親会社に恩返しができる、その見通しもついたと社員に公言した数週間後のこと」だ。自社工場を持たないファブレス企業のため、中国に委託生産していたフラットスピーカーに不良品が発生したのだ。親会社をはじめ内外のパソコンメーカーから年間200万台という大型受注だっただけに被害も大きく、損害は10数億円にも上った。
 近藤社長は「急成長だったため社内体制が追いつかず、ひずみが出た。品質管理、生産指導をする人材も乏しく、中国での対処も遅れたのが要因」と述懐する。

 そして昨年11月、オーセンティックは経営体質強化に踏み切った。シチズン電子と資本・業務の両面で提携したのである。資本金の30%をシチズン電子が持ち(NECは70%に)、資本金を2億円とし、携帯電話などで使う高性能音響部品を共同開発する道を選択した。同社のフラットスピーカー開発技術と、シチズン電子が持つ音響関連部品の開発技術・製造設備という、両社の得意とする分野を融合する作戦に転じたのだ。この提携によって、トラブルで生じた借金を解消したうえ、企業体質強化も現実になった。近藤社長をして「これで一枚岩になった」と言わしめる理由がここにある。

● 出番を待つ携帯電話、クルマ用の新商品
 今後展開する新事業開拓分野も準備が整いつつある。当面の狙いは携帯電話とクルマの市場だ。まず携帯電話のレシーバ、スピーカー、着信音の再生装置を一体化したモジュールを用意する。文字や画像を映し出す画面の透明板の部分がスピーカーに変身するので、スイッチの切り替えひとつでレシーバーに耳を当てなくても相手の声が聞こえるし、話すことも可能だ。信頼性を確保し、今年の夏ごろをメドに商品化する計画だ。
 また、クルマ用のカーステレオも、これまでとまったく違い、ドアの壁が振動して音を出すシステムを投入する。近々発売される新モデルではこの新システムで臨場感あふれるサウンドを楽しめるだろう。

● 外の力を借り、持ち味を生かした連携で生き残る
 オーセンティックの目標は「市場に密着した商品の企画、開発、販売にある」と近藤社長はいう。市場密着型はどの企業も最重要課題に据えているが、ひと味異なるのは、その中で「キーパーツを押さえる、他社ではできない日本初、世界初の商品」が狙いだ。「これしか生きる道はない」と断言する。シチズン電子と提携したのは携帯電話やクルマ用、さらにはスクリーンスピーカーシステムの中で、キーパーツを押さえるための戦略の一環なのである。ここに近藤社長の深謀遠慮がある。他方、量産品は中国、少量生産品は国内2カ所で対応し、中国の場合はトラブルの反省から商品の仕入れ方式に改めている。
 さらに、大学やTLO(大学の技術移転機関)とのアライアンスも推進中。平均年齢45歳を超えた同社にとって、最大の課題は新技術の開発。「外の力を使う、必要な技術を早く見つける、持ち味を生かした他社とのアライアンス」―これがライバル、大企業と対抗していく手段と言い切る。NECという強力な援軍があるとはいえ、自主独立の姿勢である。

 音に対する本物への追求を推進し、2004年度に株式公開を目指す。そのとき、本社のあの部屋にはまた新しいキーパーツ商品が出番を待って並んでいることだろう。

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