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株式会社脳機能研究所


痴呆症の早期発見に道、ビジネスの柱を「脳」に置く技術集団



●事業内容
感性スペクトル解析システム、老人性痴呆症早期発見システム、脳機能解析システムの開発。「ゆらぎ研究所」もKSP内に本社がある
下記情報は、平成14年度現在のものです

■企業名 株式会社脳機能研究所
■創 業 1994年2月創業
■所在地 
〒213-0012 川崎市高津区坂戸3−2−1 KSP東棟211
■代 表 
武者 利光 氏
■資本金 
4000万円
■売上高 

■従業員 
10
URL:http://www.bfl.co.jp

 アルツハイマー型痴呆症の早期発見、感性を定量的に測定するという高度なテーマを事業の柱にしている会社がある。「(株)脳機能研究所」である。武者利光社長は「痴呆症も早期発見できれば発症をおくらせることが可能。それに結びつく成果を見いだした」と胸を張る。20世紀の最後の10年は「脳の10年」といわれたが、21世紀の最初の10年を「心の10年」と位置づけ、人の代表的な感情である喜・怒・哀・楽・ストレスを定量的に把握する道筋もつけた。われわれに最も身近なテーマであるだけに、その成果に注目が集まっている。

● 医療財政を圧迫する痴呆症患者の増加

 今世紀、最も大きな社会問題の1つに上げられているのが老人性痴呆症。世界のトレンドとしては痴呆症患者数を減らす方向にある。20年以内に早期発見する技術が見つからないと、米国でさえ医療財政が破綻するといわれ、日本も事情は同じだ。患者1人のケア代は1カ月50万円というデータがある。発症後の平均寿命は8年といわれるため、この間の医療費は数千万円にも上る。これを軽減するには早期発見のための予防検診しかないが、MRI(磁気共鳴映像診断装置)やCT(コンピューター断層撮影装置)や問診は予防検診には適していないと云われている。
 武者社長は「痴呆症は最初の段階で、大脳皮質にある神経細胞の電気的な活動に変化が現れる。これを見るには、脳波解析が最適であろう」と1994年の会社設立時から脳波にスポットを当てる。大脳皮質にある神経細胞は正常なら一様に活動するが、痴呆症になると、細胞機能が点々と欠けていき、脳表面の電気的な活動が不均一になるが、これを脳波から推定する方法を見つけた。この不均一性を脳波の解析から量的に推定する方法を確立し、安価で簡単に早期発見する道に結びつけたのである。


● アートセラピー、温流水浴でも改善の効果

 早期に痴呆症と診断できても、治療する方法はあるのか。「あるグループがアートセラピー、つまり、芸術創作活動を通して脳を活性化させると、3分の2の患者に効果があることをつかんだ。それがほんとうなのかを先の手法で確かめた結果、確かに効果があることがわかった」と武者社長はいう。さらに、長崎県平戸市に設立した日本ヒーリング科学研究所で軽度の痴呆症の患者に温流水浴で全身マッサージを行ったところ、脳機能の改善が著しいという貴重なデータも得ている。
 現在、同社は病院をネットワーク化し、病院で収集した患者の脳波データを受け取り、解析して返すビジネスを始めたところだ。「今は5つの病院だが、年内には10病院、来年はさらに増やしていく」計画である。さらに自治体主導でこの方法による予防検診を行うとよいのではないかと指摘している。次のステップとして、4月からインターネットでデータのやり取りを行う。となれば、世界にサービスの輪を広げることになる。


● 喜怒哀楽、ストレスを定量的につかむ手法も

 一方、すでにビジネスとして走り出しているのが感性スペクトル解析システムだ。「会社をスタートした時期は突然死や過労死が問題になっていた。この原因となるストレスを測れないか」が出発点で、まず、人の思考状態の識別からトライする。@代数的な問題を考える、A図形的な問題を考える、B何も考えていない―の3つに限定して脳波をもとに識別を試み、90%の確率で識別する方法を編み出す。これを使って、人の喜怒哀楽やストレスを定量的に表示できるシステムにまとめた。脳波データを信号処理して知的な状態、心理的な状態を推定するのだ。
 このシステムは大学や研究所、企業向けに80セット近く販売されている。具体的には、新製品がユーザーにどういう心理的な効果を与えるか、新しいCMが視聴者に与える効果や製品の評価などに使われており、「感情の変化を短時間で測定できるので、ユーザー層も広がっている」そうだ。都市景観、自動車の乗り心地、車内騒音、照明のほか、音楽療法、園芸療法、芸術療法といった精神療法の効果測定など、用途は広範な広がりをみせている。


● 21世紀初頭を「心の10年」と位置づけ

 武者社長は東京工業大学の名誉教授から起業家に転身した。在任中に人の脳の中の情報をどこまで読み出すことができるか、脳活動を計測する研究と取り組み、1992年に退官後、東京理科大の教授になるが、脳機能の研究を実際に社会に役立てたいという狙いから1994年に脳機能研究所を設立する。1990年代は医学面や情報処理の観点から脳の研究が進展したが、武者社長は21世紀初頭の10年を「心の10年」ととらえている。まさに、痴呆症は心の問題であり、感情もまた心そのもの。しかも、2つの成果はともに実社会で大きな効果を生み始めている。
 同時に、1/fゆらぎ理論を基にして、快適環境の創出を目指した会社「(株)ゆらぎ研究所」も興している。いずれも的を絞った研究開発型企業で、大学在任中に培った技術を事業に結びつけた成功企業といえるだろう。


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