HOME

元気な起業家紹介
  元気企業紹介(TOP) > 株式会社キティー

■  株式会社 キティー


世界の人々に「食」を通じて健康を提供


社長 熊部 潔氏
●事業内容
バイオテクノロジーを応用した、健康に役立つおいしい食品の開発・製造

■企業名 株式会社 キティー(KITII)
■創 業 1985年5月
■所在地 新川崎事業所 〒212−0054 川崎市幸区小倉308−10 KBIC207
■電 話              ■F A X 
■代 表 熊部 潔 氏
■資本金 4000万円
■売上高 約9億円(2003年4月期)
■従業員 25名

 URL: http://www.kitii.co.jp


 「世界の人々の健康は川崎市から」を合言葉に、「食」を通じて健康の維持に役立つ商品で新風を吹き込んだ会社が「(株)キティー」だ。その代表がカルシウム不足を解消する技術、旨みを引き出す果実発酵調味料。熊部潔社長は「市場の評価も得られてきた。これを飛躍へのステップにしたい」と表情は実に明るい。

● がんの研究者が起業した道

 熊部社長は慶応大学医学部出身。がんの化学療法の研究者で、北里研究所、協和発酵、慶応大学が1958年に共同開発した抗腫瘍薬「マイトマイシンC」の5人の発明者のひとり。起業家への転機は慶応時代に米バージニア大学へ留学したときだ。
 留学したのは30年ほど前。米国ではすでに糖尿病や動脈硬化などによる生活習慣病が大きな話題になっていた。先天性糖尿病の研究プロジェクトなどを推進する過程で、生活習慣病は食物中の重要な物質を体内に吸収できないために起きることに気づいた。体の仕組みは知恵の宝庫であり、事業テーマがぎっしり詰まった宝庫でもある。「得意とするバイオテクノロジーを駆使して“食=健康”を追求しよう。健康でありつづけたいというのは世界中の人の願いでもある」と、過去の栄光を捨てて起業家の道を選ぶ。
 キティーの創業は1985年。19年の歴史からみれば中堅企業並みだが、「経営的にゆとりができ、水面上に顔を出したのはここ4、5年のこと」と熊部社長は苦笑する。というのも、苦労の末に開発したユニークな商品も軌道に乗せることができなかったからだ。大企業とライセンス契約を結び、ライセンス料を得たが、それもわずか。結局はすべてを失う。
 バイオ技術を元にした商品は、基礎実験や臨床試験などで多大な資金と時間がかかる。面白い発明も、カネもヒトも少ないベンチャー企業の悲しさから手放すことになり、経営的には水面下のままだった。
 浮上のきっかけが訪れたのは、ベンチャーエンタープライズセンター(VEC)が開いた「ベンチャー企業の嘆きの会」。新聞広告を見て応募した熊部社長、いかに苦労したかを発表したところ、待っていたのは「それだけの技術を持っているのに、取られたのはアンタが悪い。取られない方法はいくらでもある」という酷評だった。その会場で熊部社長は信用保証協会や銀行が行っているベンチャー育成資金の存在、モノづくりをアウトソーシングする方法などを学ぶ。研究者から経営者に変身する機会を得たのだ。

● カルシウムを運ぶ超微粒カプセルが成長のきっかけ

そして、開発中の技術がタイミングよく完成に近づいていた。カルシウム殻化技術だ。人は重力に逆らって動いているために、骨や筋肉が鍛えられる。動くことで骨と筋肉の間に摩擦が生じ、これが骨をつくる材料を集める働きをしている。摩擦によって骨の周りにマイナスチャージができ、プラスチャージになっている血液中のカルシウムやマグネシウムなどを引き寄せるのだ。この生体の仕組みの代わりになる方法がないかを検討した結果、たどり着いたのが静電気。
 水と油を混ぜると粒子同士が擦れ合い、粒子の周辺にマイナス電位が生じる。水の粒子は伝導性が良いために電位は早く消滅するが、油の粒子はいったん電位が生じると、放電するまでに時間がかかる。そこにカルシウムを入れると、油の粒子の周りに付着する。つまり、カルシウムを運ぶ超微粒カプセル(運び屋)ができたのだ。「カルシェル」と名付けたこの技術の有望性に注目したUFJ銀行(当時は三和ベンチャー育成基金)が1997年にシード資金を提供、これを契機にキティーは研究開発型企業としての第1歩を踏み出す。

● 酒、酢などに続く新しい発酵調味料も

 一方、肉の自由化に伴い、外国産の肉が市場に出回っている。この肉を柔らかくするためにリン酸塩が使われているが、リン酸塩がカルシウムと結合してカルシウムが不溶化し、体内で吸収されなくなる。
 天然物に素材を求めた熊部社長は、リンゴの芯の中にマイナスイオンを含んだ物質が多いのを見つけ、マイナスイオンリッチの発酵調味料をつくり出した。これで肉を処理すると柔らかくなると同時に、旨みも出てきて、カルシウムの吸収も良くなる一石三鳥の効果がある。イオン反発技術を応用した効果だ。酒、醤油、味噌、酢に次ぐ新しい発酵調味料「リンゴソフト」は惣菜で最大の供給会社、セブン・イレブンに何度もアタックして採用を勝ち取り、市場を確保している。日本人のカルシウム不足解消に貢献しそうだ。

● 研究開発型企業として明確なビジョン打ち出す

 ベンチャーキャピタルの資本参加で財務体質も強化しており、「開発・設計を社内で行い、製造と販売をアウトソーシングする仕組みをより具体化していく」と戦略を明確にする熊部社長。
 株式上場も視野に入れながら、医者いらず、薬いらずの世界をつくることを夢に、食の科学に挑む。キティーが次にどのような商品を生み出すか、楽しみだ。

  戻る

Copyright 2005 Institute of Industrial Promotion-Kawasaki.All rights reserved.