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株式会社ノアテック


発がん物質「六価クロム」を除去する粉末凝集剤で急成長


社長 有田 益二郎氏
●事業内容
特殊無機系粉末凝集剤の製造・販売、新規排水処理技術の開発、排水処理設備の設計・施工管理・技術指導ほか

■企業名 株式会社 ノアテック
■創 業 1988年7月
■所在地 〒212−0054 川崎市幸区小倉308−10 KBIC 115
■電 話               ■F A X 
■代 表 有田 益二郎 氏
■資本金 1000万円
■売上高 1億円
■従業員 10名
 URL: http://www.noatech.jp


 それは目を見張るほどの効果だった。容器中の汚濁水に少量の粉末を加えて撹拌するだけで、汚濁水がまたたく間に透明な水に変わったのだ。この魔法の粉末、無機系粉末凝集剤「スーパーナミット」で事業を推進している会社が「(株)ノアテック」。特に「セメントから溶け出す、人体に有害な六価クロムを除去できる特徴があり、六価クロム除去、排水処理用の凝集剤として注目度が一段と高まっている」。有田益二郎社長は確かな手応えを感じている。

● 排水処理時間の短縮とコストダウンを実現

 スーパーナミットは特殊天然鉱物の微粉をベースに、特殊な機能を持つ成分を数種類混合した無機系粉末凝集剤。通常、汚濁水中に浮遊している微細な懸濁物質の表面は帯電しているが、スーパーナミットを添加して撹拌すると、帯電した微細な粒子とスーパ−ナミットの微粒子が接触して電気的に中和する。中和した粒子は互いに集まってフロック(懸濁物質の集合物)になり、下層部にスラッジとして堆積するため、透明な水(上澄み水)が得られる。
 従来は無機系または有機系の液体凝集剤を数種類併用するケースが多いために、処理工程が煩雑になるうえ、処理水質が安定しないなどの問題を抱えていた。この数工程をわずか1工程で実現、排水処理時間の短縮と大幅なコストダウンを可能にしたのだ。
 特に、スーパーナミットの強調される点は、排水の浄化とともに、六価クロムを除去できることだ。トンネル工事で使用した結果、排水中の汚濁物質を除去しただけでなく、セメント系排水中に含まれる六価クロムを無害の三価クロムに還元して沈殿させ、他の懸濁物質と一緒に沈殿させることによって六価クロムを除去することに成功している。

● 上乗せ排水基準を満足する高性能が特徴

 水質汚濁に関わる環境基準では、人の健康に関するものとしてカドミウム、ヒ素、鉛などとともに六価クロムも取り上げられている。六価クロムの場合、水質汚濁防止法では1リットル当たり0.5mgが排水基準だが、日本最大の湖である琵琶湖を擁する滋賀県全域の水道水源になっている内陸湖周辺や1級河川の流域に当たる地域等では、1リットル当たり0.05mg以下の厳しい上乗せ基準が適用されている。それはLARC(国際がん研究機関)やEPA(米国環境保護庁)が、六価クロムをアスベスト(石綿)と並んで2大発がん性物質としてリストアップしたように、人体に極めて悪影響を及ぼす、危険性が高い物質だからだ。
  六価クロムを含む汚濁水(懸濁物質35400ppm、六価クロム0.41ppm)をスーパーナミットで処理したところ、懸濁物質は2ppm、六価クロムは0.01ppm以下まで除去できたという。つまり、上乗せ排水基準を十分満足する六価クロムの除去性能を持っているために、建築・土木、生コン工場などで注目されているのだ。
 しかも、懸濁物質などのスラッジの沈降性、脱水性とも良好で、このスラッジを練り水に混ぜて使っても、コンクリートの強度が低下しないことも確認されている。

● 偶然の出会いが創業の契機に

 有田氏は三菱レイヨンの出身。九州大学理学部在学中はコロイド化学専攻。同大学大学院在学中に三菱レイヨン入社が決定し、卒業後、配属先の中央研究所で含油排水処理剤を開発、その後、その処理剤の製造設備の建設や販売などを担当した。役職定年後、建設会社の土木部門の責任者に転身、工事中に発生する濁水処理や生コン工場の六価クロム問題に直面する。
 「何とかしなければと水処理屋の血が騒いだ」とき、偶然の出会いがあった。取引先の骨材メーカーが面白い粉末を持ってきたのだ。「テストしたらユニークな性能を持っていた」。
 これをもとに改良を加えた凝集剤(スーパーナミット)をつくり、大手素材メーカーの販売協力を取り付けた。しかし、所属する建設会社の業績が低迷し、新規開発事業の凍結が打ち出された。この凝集剤をこのまま手放すのは惜しいと、自らこの事業を推進する決意を固め、「開発協力者や趣味の水泳の仲間に声をかけたら、たちまち共同出資の資金が集まった」。パテントなどをすべて買い取り会社を興した。創業7年目の新進気鋭の会社だ。

● ビジョンはトータルの水処理と環境ビジネス

 現在、生コン工場、トンネル現場工事、河川工事、アオコの処理などで実績を上げている。過去にはダムの導水路工事で発生した濁水処理を行った際、実際は六価クロム除去だったが、単なる濁水処理と口止めされたこともあったそうだ。六価クロムの危険性が指摘され始めたことで、ゼネコンもその対策強化に乗り出しており、「ビジネスには追い風が吹いている」と有田社長は、今こそチャンスと捉えている。
 今後の方向について聞くと、用途別に用意したスーパーナミットのビジネスを主力に展開しながら、これだけでは処理しきれない火力発電所の燃料油タンク洗浄排水等のニーズに対しては、特殊吸着剤などを組み合わせたトータルの水処理を提案していく。さらに、処理水のリユース、沈殿物のリサイクル等資源の回収も含めた環境ビジネスも視野に入れていきたいと明確な経営ビジョンを打ち出す。
 その根底に流れているコンセプトは、創業の精神―「地球の水を守る」という1点に絞られている。

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