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ファブソリューション株式会社


次世代半導体のプロセス開発で名乗りを上げたハイテクベンチャー


社長 戸賀崎 邦彰氏
●事業内容
最先端半導体プロセスのコントロール技術の製品化と販売

■企業名 ファブソリューション株式会社
■創 業 2002年
■所在地 〒213−0011 川崎市高津区久本3-5-7 ニッセイ新溝ノ口ビル
■電 話               ■F A X 
■代 表 戸賀崎 邦彰 氏
■資本金 7.8億円
■売上高 約1億(2004年実績)
■従業員 27名

 URL: http://www.fabsol.com


 高い技術力を持つ半導体ベンチャーが誕生した。半導体の性能、歩留まりを左右する技術を手に、NECをスピンオフした仲間が立ち上げた「ファブソリューション(株)」である。この会社が注目されているのは、古巣のNECにストックオプション(株式購入権)を渡し、株式公開で恩返しをする出世払いを打ち出したことだ。次世代半導体の不良品を劇的に減らす技術はまだ開発途上。戸賀崎邦彰社長は「いち早く事業化を成功させ、NECはもとより、世界の半導体産業の発展に貢献したい」と世界を視野に事業化を急ぐ。


● 「目に見えない欠陥をクリアしろ」

 半導体は微細加工の宿命を負った部品。高性能化するには、決められた大きさの中に多数の素子を詰め込む必要があり、必然的に素子サイズを小さくしないと入らなくなる。次世代の1G(ギガ)ビット以上の高密度メモリーになると、最小線幅は0.1ミクロン以下の超ミクロの世界。小さな欠陥を見逃してしまえば不良品につながり、歩留まりが低下してコストに影響してくる。米国系半導体メーカーがコンソーシアムを組んでいるセマテックでは、「目に見えない欠陥をクリアしろ」と指針を出している。
 ファブソリューションが開発した技術(EB−Scope)は、まさに半導体開発で先導する米国が指摘している微細な欠陥を非破壊で見つけ、歩留まり向上をもたらすものだ。この技術は上下の層と配線するために開けた穴(コンタクトホールやビアホール)の底部の構造に加え、底部に残っている膜の特性などを非破壊で計測、かつ生産ライン中でモニタリングできる特徴がある。

● 微細な導通ホールの底部を高精度で欠陥検査するシステム

 メモリーやCPUなどを1チップに乗せたシステムLSIになると、六層とか八層も積層する。この間を配線するには、0.1ミクロン以下の微細な穴を開け、その穴の20倍くらい深い穴をプラズマエッチングという手法を使って掘り、上下層をつないでいく。そのときの底の寸法がどうなっているか、膜が残っているか、どの工程で発生したかを電子ビームを使って調べることができる。電子ビームがウエハーを透過するピコアンペアレベルの微小な基板電流値を計測することによって、不可能だった穴の底の欠陥の存在を捉えることに成功したのだ。コンタクトホールやビアホールが歩留まりに影響する割合は約70%あるといわれるだけに、これらの良、不良を判定できるこの技術は、次世代半導体の開発、歩留まり決める、首根っこを押さえるものといっても過言ではない。
 EB−Scopeを搭載したFS2000 ウエハープロセス評価システムは、国内外の大手半導体メーカーに納入されている。このほか、ハードディスクヘッド、液晶、LSI、レーザーダイオードなどの生産ラインで多発しているESD(静電気放電)に対しても、プラズマ装置内で発生する異常放電の全貌を明らかにし、検出するシステム(プラズマ異常放電監視システム)およびコンサルテーションサービスを展開して売り上げを伸ばしている。

● 世界のキャピタルが注目、開発資金を提供

 EB−Scopeは辻出徹会長がNECの本部長時代に評価技術開発本部で開発したものだが、NECの半導体事業では検査評価技術は本流ではないため子会社としての事業化はできなかった。「NECの技術として完成させたい」という願いは適わず、2002年にファブソリューションを興して自ら事業化に乗り出した。成功した暁にはストックオプションを渡すことにしたのだ。
 開発型ベンチャーが次世代技術を事業化するにはハイリスクで、時間と多額の資金が必要だ。しかし、同社には幸運の女神が舞い降りた。この技術に世界有数のプライベート・エクイティファームのカーライルグループ、ベンチャーキャピタル国内最大手のジャフコ、アーリーステージでの投資を専門とするアイティーファーム、ニッセイ・キャピタルなど世界の有力なキャピタルが注目、投資したほか、経済産業省の新規開発助成金も受け、開発資金の調達に成功している。このキャピタルが白羽の矢を立て、2003年2月に事業推進役として社長に送り込んだのが戸賀崎氏。
 戸賀崎社長は東京エレクトロンで半導体製造装置の営業に携わった後、住商エレクトロニクスの半導体製造装置事業を再建、同社とオーストリアSEZとの合弁事業を成功させ、日本エスイーゼット社長、本社のオーストリアSEZの役員も歴任。しかも、3社とも株式上場に関与するなど高い実績を上げた。この成功体験が評価されたのである。

● 世界中の顧客のニーズに応え用途開発、株式上場は2、3年後

 「EB−Scopeは極めて筋がいい。今までの装置では検出できないこれからの先端半導体の開発・製造の障害になる『見えない欠陥』の検出は当社の独壇場だ。すでに、7、8のプロジェクトをスタートさせている」と戸賀崎社長。日本では、顧客デモセンターの拠点を川崎市黒川にあるマイコンシティーに設置して顧客評価に応えているがすでに納入済みの国内外顧客と新規用途の共同開発を進めている。あくまで研究開発を主体にし、部品や装置化はアウトソーシング、いわゆるファブレスを貫き、マーケットは世界の半導体メーカー。これがシナリオだ。
 「株式上場は2006年か2007年。これを達成しないと、NECに恩返しもできないし、投資家にも顔が立たない」。戸賀崎社長には重い使命がかけられているが、インタビューに応じた顔は笑顔が満ちていた。自信の現れである。


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