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久下精機株式会社


「顧客に最上の満足」を柱に据える光学精密機器メーカー


社長 久下 幸男氏
●事業内容
精密機器の設計・製作、光学機器のシステム設計

■企業名 久下精機株式会社
■創 業 1950年
■所在地 〒213−0031 川崎市高津区宇奈根710−11
■電 話              ■F A X 
■代 表 久下 幸男 氏
■資本金 1000万円
■売上高 3億円(2003年5月期)
■従業員 15名

 URL: http://kugeseiki.co.jp


 「久下(くげ)精機(株)」は部品加工で培った知識、ノウハウを生かして装置メーカーに脱皮した会社だ。DVD(デジタルビデオディスク)の光ピックアップ評価装置や光導波路自動調芯装置など、家電や通信に使う機器の測定・評価装置を最も得意としているが、装置の中枢であるステージの高精度位置決めを実現するソフト「コックピット」を開発したことが下請けから脱する原点になった。「技術力と販売力を強化し、より強力な独自製品を送り出したい」という久下幸男社長、新たな経営操縦法を駆使して飛躍を目指している。

● 加工技術に磨きをかけて下請け企業から脱皮

久下社長は2代目の社長。創業は1950年と古く、父親が光学部品の加工業で興した。大企業から受注した部品の高精度加工を行うには、先端的な機械設備が必要で、1970年代初めに当時の先端を行くNC工作機械をいち早く導入した。これにより、加工精度を高めると同時に、加工技術に磨きをかけ、一般の下請け企業では難しい加工を実現した。この結果、受託した企業から加工精度について高い評価を受けるようになり、このノウハウを生かしていけばメーカーに脱皮できるのはないかと新たな目標が見えてきた。
 部品加工業そのままなら個人会社組織でもいいが、取引企業のほとんどが大企業で、独自製品を市場に供給するには法人化が欠かせないと判断、1993年に株式会社組織に変え、久下社長が誕生した。
 法人化を契機にオリジナル製品を上市する作戦は、その数年前から始まっていた。そして、CD(コンパクトディスク)やDVDの光ピックアップの光学系調整・検査用のオートコリメーターや反射式レンズ偏芯測定装置などを相次いで開発、光学設計・開発メーカーとしてその第1歩を記した。

● 光デバイス、光導波路の調芯装置に強み

 光通信時代のキーになるのが、レーザーなどの光をファイバーの中心に送り込むように調整する光デバイス調芯装置や光導波路の調芯装置。中心からわずかでもズレると、光に乗せたデータを受け側に確実に送り届けられなくなる。光データを送る入り口と出口の、レーザーと光ファイバーの調芯がカギを握る理由がここにあり、これらの装置も独自開発した。
 「もともと、大企業のOEMで調芯装置のメカ部分の加工を担当していたが、それ以外の部品加工や組み立ても行うようになった。その後、ステージなどを動かすソフト開発も可能な体制が整い、総合力を活用すれば調芯装置を自社開発できる見通しがついた」という。いわば、下請け時代に加工だけにとどまらず、自ら加工図面を書き、ソフトを加えた装置化までタッチしたことが、自社製品開発に不可欠なノウハウを蓄積する絶好のチャンスになったのだ。

● 飛躍のきっかけになった汎用性の高い独自のソフト

 そのソフトの中でも、極めて汎用性の高いアプリケーションソフト「コックピット」の開発が、自社製品のラインナップ強化に弾みをつけることになった。調芯装置や測定装置はXYZの3方向に動くステージをミクロンレベルの精度で制御することにより、はじめて精密調整・測定が可能になる。つまり、ステージの高精度の位置決めができるかどうかが生命線だ。
 コックピットは(1)ステージを動かすのに必要な設定をすべてデータ化している、(2)データはファイルから呼び出すだけ、(3)プログラムはExcelで管理しているので、プログラムの追加や編集も簡単、(4)1軸から24軸まで制御可能といった特徴を持つ、使いやすいモーションコントロールソフト。久下社長によると「極端な話、どのメーカーのステージもコックピットを使えば、簡単に高精度で動かすことができる」という画期的なソフトで、このほど特許が確立した(特許第3456524)。
 金属加工はお手のものだから、ステージも自社開発し、コックピットを組み込んで技術競争力を持つ独自製品を手にしたことにより、久下精機は下請け企業から完全に脱皮し、光デバイスや光導波路の自動調芯装置、光ピックアップ評価装置などを主力に、各種システムの設計・開発メーカーとしての地歩を固めた。

● 人材を強化し、標準量産製品も目標に

 取引企業は光学、通信、家電など多岐にわたり、大企業ばかりだ。現在は受注生産がメーンだが、仕様は各社まったく違うために、コア技術を核に1品料理で完成させている。
 ネックだった独自製品の販売網は岩谷産業鰍フネットワークを使えるようになったし、ニーズに最も近い営業情報も手に入るようになった。ただ、ライバル企業も多いために、いかに差別化していくかが課題とし、「機能を高めて価格を据え置くか、低価格化作戦で行くか」の決断を迫られているという。
 「ユーザーに最上の満足を提供する。それが当社のこだわり」と顧客満足第一を貫く久下社長。「近い将来、標準量産製品にもアタックしたい」と展望を示す。そのために光学系の設計やソフト開発を担う人材などを強化して技術力の向上を狙い、技術に明るい営業陣を揃えて独自の販売網も構築したいという。「その戦略製品はまだ秘中の秘」と答えた表情に、笑みがこぼれた。

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