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山勝電子工業株式会社


売れ筋のオリジナル商品を手に飛躍台に立つ


社長 金究 武正氏
●事業内容
応用電子機器の設計・製作・開発、産業用高密度プリント配線基板回路設計・製作

■企業名 山勝電子工業株式会社
■創 業 1973年
■所在地 〒213−0013 川崎市高津区末長541-4
■電 話              ■F A X 
■代 表 金究 武正 氏
■資本金 7000万円
■売上高 18億円(2004年10月期)
■従業員 85名
 URL:http://yamakatsu.co.jp


 中小企業にとって売れ筋のオリジナル商品を持つことは悲願だ。山勝電子工業(株)は次世代DVD(デジタルビデオディスク)に使われる青紫レーザーのエージング(耐久試験)装置でその夢を実現した。次世代DVDは家電の最有力商品として期待されているもので、金究(かなくつ)武正社長は「引き合いも活発化しており、この装置に次ぐ自社製品をラインアップしていきたい」と積極姿勢を打ち出す。

● プリント配線基板の受託設計からスタート

 山勝電子は電子機器、CADと営業の3本柱で事業を推進しているが、半導体など電子部品を搭載するプリント配線基板の設計からスタートした。創業は第1次オイルショックの影響が出始めた時期の、1973年の暮れ。金究氏はもともとプリント配線基板の製造会社で品質管理業務を担当していた。当時、配線の設計は協力会社が担当、仕事の流れの中で設計の打ち合わせにも立ち会うようになったことで、設計そのものの成長性に注目、明確にビジネスになることを感じたそうだ。しかも、半導体がリードするエレクトロニクスが開花し始める時期でもあった。金究氏は弱冠27歳で独立を決意し、実行に移す。
 受注設計から始まった山勝電子の飛躍のきっかけになったのが、業界で初めて導入したCADシステム。創業後11年目の1984年のことだ。それまで、マニュアルで設計したデータをもとに手作業で配線パターンを描き、原寸大に縮小してフィルムに取り、これを原版にしていた。CADの導入により作業を大幅に短縮、CADデータをダイレクトに原版にする自動化を達成したのだ。「売り上げが2、3億円のときに1億円という莫大な投資」だったが、この決断がその後の経営を左右することになったのである。

● CADの導入が競争力をつかむ手段に

 このCADシステムを駆使して電機、通信機、測定器メーカー主体に配線基板の受託開発で実績を重ねていく中で、もっと競争力をつける手段はないかを検討した。その結果、プリント配線基板製作の上流に位置する、ソフトやシステムを含む全体を一括して受注できれば、付加価値を高められるし、ライバルとの差別化もできると結論づけ、ほぼ15年前からソフト開発と電子応用機器開発部隊の整備、強化に乗り出した。こうした作戦が功を奏し、最先端の通信機器、医療機器、半導体の検査・測定装置などの中核技術を担う会社に育ったのだ。その一部はNASA(米航空宇宙局)でも高く評価され、取引のある上場企業は100社近い。技術力が高い証明でもある。

● 次世代DVD実用化に不可欠な業界初の装置開発

 そして、市場性が高い期待のオリジナル製品を他社に先駆けて開発に成功した。青紫レーザーをエージングできる装置だ。これから始まるハイビジョンデジタル放送時代では、画像品質が極めて高くなり、記録容量が増えるために現行のDVDでは対応できなくなる。そこで、次世代DVD開発が進められているが、現行のDVDと同じ面積に約6倍の高密度で記録するために、現在の赤色レーザーよりも波長が短い青紫レーザーを使用し、書き込みパルス幅も、現在の最高レベルの20ナノ秒(1ナノは10億分の1)よりはるかに短い6ナノ秒が必須の条件になる。山勝電子は6ナノ秒でパルスエージングできる業界初の装置を完成させたのだ。
 この装置によって、青紫レーザーがどのくらいの使用頻度に耐えられるか、温度、湿度による電流電圧変化など、実環境に沿った青紫レーザーの性能テストが可能になる。いわば、次世代DVD実用化の根幹を担うものだけに、「青紫レーザーメーカーから多数の引き合いを受けている」と金究社長が強調するのもうなずける。これまで蓄積してきたプリント配線基板の技術や実装技術、電子回路技術などのノウハウを融合した成果だった。
 青紫レーザーの高速エージング装置開発で先行した山勝電子を追って、ライバル各社が新製品を投入してくるのは間違いない。「それは予想の範囲内。ウチはその先を行く技術を確立している」と金究社長には余裕すら感じられる。情報センターを新潟に2カ所、開発センターを新潟、北九州に置き、配線基板の設計、回路・システム設計を手がける技術陣は全社員95人中、70人を占める。この技術集団の技術力に自信を持っているからだ。

● 技術重視を貫き、大企業が参入する大型市場は狙わない

 株式上場の青写真も描いている。「2、3年後には判断する」と金究社長。これまでは山勝電子の技術力を評価し、狙い撃ちで開発を依頼してくるメーカーが多かったが、受託開発から脱皮し、オリジナル路線を強化するには、人材確保と開発資金の調達が課題になるからだ。このために上場を視野に入れているが、「業界の最先端技術はぜひとも維持していきたい。それがウチの優位性」と研究開発重視を戦略のトップに位置づける。
 しかし、高度な技術力があり、かつ高い成長性を誇っていた会社さえも挫折するという現実がある。その最大の要因は市場が拡大し、大企業が参入した結果と分析、「大企業と互角に闘える技術力を蓄え、大企業が足を踏み入れるような大型市場には踏み込まない」とあくまで技術重視を貫く考えだ。非常にむずかしい選択だが、研究開発型の中小企業経営者には示唆に富む言葉だろう。

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