HOME

元気な起業家紹介
  元気企業紹介(TOP) > 株式会社神野

株式会社 神野


海洋、土木、リサイクル事業で提案型企業に変身


社長 神野 耕一氏
●事業内容
浚渫・港湾構造物、土木・構造物の調査・設計施工、リサイクル・資源の有効利用

■企業名 株式会社神野(KAMINO CO.,LTD.)
■創 業 1951年3月
■所在地 〒210−0806 川崎市川崎区中島2-2-7
■電 話              ■F A X 
■代 表 神野 耕一
 氏
■資本金 2000万円
■売上高 約6億円(2003年9月期)
■従業員 21名

 URL:http://www.kaminonet.jp


 創業50年を超えた企業「(株)神野」は今年、積極経営の旗のもと、攻勢に転じる。潜水工事を基盤とした海洋事業、それに関連する土木事業と環境リサイクル事業を3本柱に、待ちの経営から積極経営に変身する方針を打ち出した。神野耕一社長は「ユーザーが求める技術、ノウハウを自社ブランドとして売り込んでいく」と強調する。そこには秘めた戦略がひそんでいる。

● 評価を高めた潜水システム及び貝揚げロボットの開発

 潜水工事、港湾浚渫作業、護岸工事など、海洋と土木が神野の事業を牽引してきた。得意先は東京電力や旧日本鋼管、ゼネコンの鹿島、旭化成など錚々たる大企業がほとんどで、特に、東京電力の関東周辺に設置した火力発電所には神野の技術が生かされている。 
 なかでも評価されたのは、同社が独自の送気システムを考案・開発し、潜水士に安定した空気を供給し、緊急時に使用する予備エンジンコンプレッサーの自動起動装置や送気圧力監視モニターや送気圧力低下警報装置の採用及び、潜水士との会話・連絡を密に取り合える水中通話装置の考案・開発により、安全に潜水作業が行えるように、作業員の教育・潜水技術の向上を心がけ、常に安全機器等の考案・開発に努めてきたことだ。また暗渠用の貝揚げロボットシステム「カイザーくん」。火力発電所の海水取水路にムラサキガイなどが取り付く。これを除去するのに、水中走行しながら貝を回収し、搭載ポンプにより地上の後処理機械に圧送するロボットで、東電と電業社の3社で共同開発したものだ。神野の水中排砂ロボット技術を応用したこのロボットが、神野の技術力と知名度の向上に大きな役割を果たした。下水道施設の暗渠内に堆積した土砂やヘドロなども除去、回収できる多目的型ロボットでもある。そして、水中浚渫ポンプ、固水分離機、破砕機など各種機械をラインナップしていく。
 同社は海中構造物の点検や調査を行う場合、遠隔操作で縦横に動く水中ロボットとダイバーで役割分担させている。ロボットの性能は米国でも評価された折り紙つき。ロボットでは行動範囲が限られているところをダイバーが行う体制で、ダイバーには4段階の安全機構を盛り込んだ装置を装着している。つまり、徹底した安全管理のもとで効率的な海中作業を実施している点が特徴だ。

● 海洋廃棄物を肥料にする微生物を発見

 この海洋、土木事業が新たなビジネスを展開するベースになった。浚渫によって回収する海中からの有機性廃棄物は200mから、多い場合は1500mにも及ぶ。当初は埋め立てていたが、埋め立てだけで処理できるものではない。そこで、回収した有機性廃棄物の再利用を考えた。塩分濃度の高さを淡水でシャワーして落とし、そこに有用微生物を入れて肥料にする道筋を描いたのだ。
 それを実現に導いたのが有用微生物。遺伝子解析により廃棄物に最も適した微生物を選び出した。わかりやすく言えば、たんぱく質に働く微生物、でんぷんに働く微生物といったように、それぞれの物質を高い能力で分解する微生物を見つけたのだ。この微生物が活動しやすい発酵装置を開発、有機肥料にすることに成功した。「遺伝子解析は微生物専門の研究所に依頼して行ったもので、独自の微生物を見つけられたのが、リサイクルビジネスを強化できる土台になった」と神野社長は言う。
 神野の海洋、土木事業と遺伝子解析が直接結びつくこと自体、通常では考えにくいが、廃棄物の処理を発酵プロセスで行うことを検討課題に上げた10数年前から、北は北海道、南は沖縄まで有用微生物を求めた戦いを展開、布石を打っていたのだ。それだけに、「有用微生物の発見はひとしおの感」だそうだ。

● 口コミで広がり、専業農家が注目

  環境に取り組む企業は大企業から中小企業までさまざま。環境ブームの中で、「微生物で廃棄物を処理するといっても、オールラウンドに効く微生物があるわけではない。見つけた微生物の機能を最大限発揮する用途に適用し、よそができない分野に注力して差別化を図っていきたい」と方向性を示す。現在、肥料(農業用資材)は千葉県にある関連会社で海生生物のほか、畜産廃棄物、食品残渣などからつくっている。
 社長の言葉を借りれば、この有機肥料を使うと、果実も野菜も実に美味しいそうだ。その効能が口コミで広がり、専業農家にだけ販売している。あくまでも土壌改良が目的である。こうした実績をもとに、廃棄物処理業の看板を付け加えるために、神奈川、千葉の両県に申請を出している。環境ビジネスに賭ける意欲が見える。

● 安全をキーワードにトータルシステムを構築

 こうして神野は海洋、土木、環境の技術を集大成し、浚渫・排水・汚泥処理のトータルシステムを構築した。根底に流れているのは、すべてに共通した「安全」である。「安全を売る」をキーワードに、これまでの待ちの姿勢から提案型営業に打って出るのが戦略だ。
 神野社長は韓国生まれの徳島育ち。川崎の地で会社を旗揚げして半世紀。「波乱万丈の人生。ほとんど東京電力で育てられたようなもの。よく持ちこたえてきたのが実感」と感慨深げ。「そろそろ後継者にバトンタッチか」と水を向けると、明確な意思表示はなかったものの、喜寿を迎える今年はそのチャンスかもしれない。
 「今年、当社が伸びるか、縮むか、横ばいか、沈没か。4つがある」と、あとの言葉を呑み込んだ神野社長だが、“伸びる”という気構えが顔に書いてあった。

  戻る

Copyright 2005 Institute of Industrial Promotion-Kawasaki.All rights reserved.