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日本原料株式会社


水道水ろ過システムのプロフェッショナル


社長 齋藤 安弘氏
●事業内容
水道用ろ過砂、各種特殊ろ過材、水道用ろ過材開発・製造・販売、浄水場ろ過池更生工事、ろ過装置入替工事、ろ過材の自浄リサイクルシステムの製造販売

■企業名 日本原料株式会社
■創 業 1939年
■所在地 〒210−0005 川崎市川崎区東田町1-2(NKF川崎ビル)
■電 話              ■F A X 
■代 表 齋藤 安弘 氏
■資本金 5000万円
■売上高 21億6千万円(2004年3月期)
■従業員 63名

 URL:http://www.genryo.co.jp


  水道水がそのまま飲めるのは、直径わずか0.6ミリのミクロな砂が大きな働きをしているのをご存知だろうか。浄水場で原水をろ過するフィルターの役割を持つ、ろ過砂のトップメーカーが日本原料(株)。ろ過砂やろ過池をベストの状態にキープするシステムや、ろ過材の交換を不要にしたタンクなど新製品を相次いで市場投入した。齋藤安弘社長は「限りあるろ過砂資源を有効活用する道ができた。手応えは極めて高い」と満足げだ。安全でおいしい水を提供してきたパイオニア企業が産み出した新製品には、数々の苦いエピソードとドラマが秘められている。

● 日本の水道事業の基盤をつくった功績

 日本原料は全国の浄水場の80%以上にろ過砂を納入している、文字どおりナンバーワン企業だ。その原点はGHQからの要請だった。ガラスの原材料を作る会社を興した創業者に、戦後、日本に上水道を普及させようとしていたGHQが水道事業の整備を働きかけてきたのだ。創業者はただちに、ろ過砂に最適な川砂を求めて全国を行脚し、茨城県の高萩、京都、福岡の3つの産地を探り当てた。“ろ過砂屋”への転身はこうして始まった。
 川砂もそのまま使えるわけではない。角が取れて丸い状態で、しかも、大きさが揃っているのが条件だ。採取した砂のうち、最適な大きさ0.6ミリに粒径が揃い、ろ過砂として使えるのは8%程度という。浄水場ではこのろ過砂を砂利などと一緒に敷き詰めてろ過層を作り、汚れた水を各層を通すことで浄化するのだ。
 長年、ろ過すると、ろ過砂なども汚れる。当初は6、7年ですべて取り出し廃棄していたが、浄水場が増えるにつれて、ろ過砂資源が不足する恐れが出てきた。限りある資源を有効利用するために、きれいに洗うリサイクル(更生)工事を始めた。ところが、原水の汚染が激しくなり、洗うだけではろ過砂に付いた汚れが取れなくなった。ろ過砂の大きさを壊さないで、表面に付いた汚れだけを落とす方法はないか。長い間、模索した。

● 「鳴き砂」をヒントにろ過砂の洗浄原理を見いだす

 八方ふさがりの闇に明かりを灯したのが、踏みつけるとキュッと鳴るあの「鳴き砂」だった。齋藤社長は「鳴かなくなった鳴き砂を何とか鳴かせたい」という研究をしていた同志社大学の研究室に飛び込んだ。砂同士が揉み洗い現象で、砂の表面についている汚れを削ぎ落とし、きれいになって擦れあったときに「クックッ」と鳴くのを知った。この揉み洗い機構を機械化したのが「シフォン式ろ過砂洗浄機」。1996年のことで、洗浄の原理を手に入れた。
 この機械は1立方メートルのろ過砂を15分で洗浄できる抜群の性能を誇る。にもかかわらず、この機械はビジネスになりにくい辛さが待ち受けていた。「ウチで運んで行って洗えばいいので、浄水場では買ってもらえない」ためだった。そこで、シフォンの原理を組み込んだ常設設備として「シフォンK3システム」を作り上げた。浄水場のろ過池内で使用中のろ過砂を一定量吸い上げて洗浄し、洗浄したろ過砂を池に戻すものだ。ろ過砂やろ過池を常にベストの状態に保ち、更生工事を行う回数を飛躍的に延長できる特徴を持つ。
 評価は極めて高かったが、これにも高いハードルがあった。ろ過池は大手水処理メーカーが押さえており、他のメーカーは食い込み難い規制のカベがある。齋藤社長は目線を民間企業に変え、砂の洗浄技術を求めているところを探った。工場内のゼロエミッション、環境会計を導入した企業にも攻勢をかけたが、使い終わったろ過材が産業廃棄物になり、処理コストがかかることを課題に上げた。ビジネスの道はまたしても閉ざされたまま。

● 引き合い殺到「シフォンタンク」

「それでは、ろ過タンク内に洗浄機構を最初から取り込み、ろ過材をいつも洗ってきれいな状態にする仕組みを組み込もう」という発想で新しいシステム「シフォンタンク」を産み出す。これが大ヒットし、企業から数多くの引き合いが殺到、2002年4月に発売以来、問い合わせ件数は3,000件を突破した。シフォンタンクの販売で初めて代理店を設けたほどで、来年にはシフォンタンクのメンテナンスと海外販売を仕切る新会社を設立する。
 シフォンの洗浄原理の開発から売れる商品につなぐまで、6年余かかった。「中小企業が生き残るには、1つのことを追い続け、新商品をリリースするしかない」と齋藤社長。「シフォンK3の段階で止まっていたら、ウチは潰れていた」ほどの危機感をシフォンタンクが救ったのである。次の作戦はK3で本丸(浄水場)に再攻勢をかけることだという。

● ナンバーワンからオンリーワン企業へ

同社には社員の提案制度を生かした21世紀プロジェクトがある。現在、39のプロジェクトが走っているが、シフォンK3、シフォンタンクもここから生まれた。また、1年という期限付きで取締役に昇格する青年取締役(ブルーバード)制度もある。社員のやる気を引き出す制度で、4人が卒業し、系列会社の社長や飛び級で部長などに就いている。こうしたユニークな制度がアイデア創出に大きな役割を果たしているのだ。
 「日本の水を安全でおいしい水にしたいという根っこは崩さず、ナンバーワンよりも、ウチだけでしかできないオンリーワン企業を目指す」。齋藤社長のビジョンである。

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