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有限会社メカノトランスフォーマ


圧電素子の変位を40倍に拡大できる世界一の変位拡大機構を市場投入


社長 矢野 健氏
●事業内容
圧電素子の変位拡大機構(応用分野:産業機器分野、医療分野、自動車分野、
コンシューマ分野、航空機・宇宙分野等)及び技術指導・技術供与
■企業名 有限会社 メカノトランスフォーマ
■創 業 2002年5月
■所在地 〒212-0054 川崎市幸区小倉308-10 KBIC233
■電 話 044-580-6086      ■F A X 044-580-6087
■代 表 矢野 健 氏
■資本金 1000万円
■売上高 1600万円(H16年度)
■従業員 常勤2名 非常勤1名
 


 川崎市幸区小倉にある、広大な旧国鉄鹿島田操車場の跡地の一角にKBIC(かわさき新産業創造センター)が、Kスクエア-タウンキャンパスに隣接して存在する。その2Fプレゼンテーションルームで、世界一の技術を開発した矢野社長、強力な技術と経営サポータ八鍬和夫氏(非常勤取締役)、それに若き研究者の徐世傑氏(チー ジィー キィアット、マレーシア出身)の方々に、世界最先端技術とエンジニアの夢を語っていただきました。

● 無限の用途が広がる圧電素子変位拡大機構
 圧電素子とは、圧電体に加えられた力を電圧に変換する圧電直接効果や、電圧を力(変位)に変える圧電逆効果を利用した受動素子である。身近な利用例として前者はガスレンジやライターの点火装置、後者は時計、電子ブザーや素子の変位を利用した精密機械類の微細位置決め駆動装置などが知られる。
 圧電素子の変位を利用する場合、電気・機械変換効率が高い、高速応答、制御性が良い、小型である等々のすぐれた特徴をもつが、最大の欠点は変位量が数ミクロンから数十ミクロンと微小なことである。そのためこのすぐれた素子の用途は限定されてきたのが実情である。
 当社はこの欠点を克服する画期的な変位拡大機構(メカニカルトランスフォーマ)を開発した。例えば40ミクロンの変位を40倍の1.6ミリへ拡大できるのだ。用途も産業機器分野、医療分野、自動車分野、コンシューマ分野、航空機・宇宙分野等々、飛躍的に拡大が予想される。既に多くの実績を重ねており、一例として、直線方向変位拡大ではパンチャー用アクチュエータ、エアーバルブ用アクチュエータ、ポンプ用アクチュエータ等、また回転角方向への変位拡大として回転角発生アクチュエータ(空間位相変調用)等を客先製品のコア-部品として供給している。
 変位拡大機構のメーカーは、米国dsm社やフランスのCedrat社が知られるが、これ等メーカが用いている”Flextensional”と呼ばれる変位拡大機構の持つ拡大率は十倍程度である。1昨年のACTUATOR2004(ドイツ)へ当社の技術論文を提出し大きな反響を得ている。

● 20年前に世界最高速の圧電方式インパクトプリンターを開発
 早稲田大学理工学部卒の社長矢野健氏は、進取の精神を発揮してNEC時代の1980年からほぼ7年間をプリンターの印字機構開発に従事し、世界初で世界最高速の圧電式ドットインパクトプリンターを世に出している。画期的な製品として「日経メカニカル」にも紹介され、その表紙を飾っている。“NM−5020ミニエース漢字ライター”として約3万台販売した。
  しかし、その後プリンターはインクジェット化が急速に進み、一世を風靡したインパクトプリンターも役目を終え、圧電技術は他への応用・転用もなくお蔵入りとなってしまった。新技術の出現により既存技術・製品が駆逐されるという技術的Threat(脅威)を体験したのだ。

● 定年後、すぐれた技術を惜しまれて創業
 その後、2000年3月出向先で定年を迎えた氏は、学位論文の主査を務めて頂いた東京大学・樋口俊郎教授(精密機械工学)のもとへ挨拶に訪れたところ、氏の技術力を惜しんだ教授が、樋口研究室に机を設けてくれた。そこでいかに多くの企業がアクチュエータの開発を熱望しているかを知り、樋口教授の強い勧めもあって2002年5月(有)電子精機(2005年5月(有)メカノトランスフォーマと商号変更)を立ち上げることとなった。
  新会社立ち上げに際し、以前は振動部品の研究分野で良きライバルであったと共に、工学博士(東京大学尾上教授門下生)の9年先輩で、現在TAMAコーディネーター(中小企業診断士)として活躍中の、八鍬和夫氏に技術の解る強力な経営アドバイザーとして参画をお願いした。
 (有)電子精機は東京都品川区の空き工場を借り受けスタートしたが、環境条件が良いとは言えず、東京大学・樋口研究室の若き優秀な卒業生(徐世傑氏)を迎え入れるのを機に、KBICインキュベーションへの入居に応募した。さいわい3回の面接で入居が決まり、また川崎市のビジネスアイデアシーズ市場の起業家優秀賞も受賞するなど、公(専門家)の認知による社会的信用力も高まり、ビジネスに大きな弾みがついている。
 今後の課題は、現在コンサルタント料とロイヤルティのみのビジネスモデルを、技術のコモディティー化を予測し、自社製品を持つ製造業へと転換すること、またコンペチターの出現に対する差別化として、バラエティある標準製品を安く提供するため、試作製造パートナーと共に生産技術改善を行うこと、と考えている。

● 親子ほども違う若きパートナーと歩調を合わせて発展
 当社は常勤者2名(八鍬氏は非常勤取締役)のミニ企業である。社長の良きパートナー徐世傑氏は2005年4月より当社に参加した。東京大学精密機械工学科から同大学院工学研究科・精密機械工学専攻の樋口研究室卒業生である。同研究室に机を設けた矢野社長が当時から、研究課題や卒論・修論テーマ等で良き相談者であったことから、社長の人柄と会社の技術・製品に引かれて参加したのだ。
 社長の創業時の理念は“新技術を以って社会に貢献”であり、「長くお世話になった社会への感謝の気持ちが大きい」と言う。社是に“第一に社会への貢献、第二に顧客への貢献、第三に会社業績の向上”を掲げている。徐青年は「倫理だけでは食えないし貢献にも限界がある。適正な利益を上げることにより大きな社会貢献ができるのだ」と主張する。「葉巻タバコの最高級品は古い葉と、新しい葉をブレンドしている」と言う社長の言葉を合わせ、熟年者と若者の二人三脚が楽しみな会社である。

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