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株式会社日本電波吸収体


電磁波シールドビジネスの参入障壁に新技術で挑戦するベンチャー企業


社長 荻野 哲氏
●事業内容
電磁波の吸収/遮蔽材料・装置の研究・開発・製造・販売・輸出入
電気・電子機器の電磁波障害や誤動作に関連するEMC対策業務
工業所有権の取得・保有・売買・貸与・使用許諾に関する業務

■企業名 株式会社日本電波吸収体
■創 業 2000年8月29日
■所在地 〒213-0012 川崎市高津区坂戸3-2-1 KSP西棟300C
■電 話 044-820-1381      ■F A X 044-820-1382
■代 表 荻野 哲 氏
■資本金 1140万円
■売上高 約1億2千万円
■従業員 5名

E-mail:info@msi-jpn.com    URL: http://msi-jpn.com

 様々な情報関連機器に取り囲まれた現在の高度情報化社会では、機器間の電磁波ノイズによる干渉で誤動作を誘発し、大事故となる危険性をはらんでいる。電子機器の急激な拡大によって、そのリスクはさらに増大しているのが実情である。この社会的リスクの防止(EMC対策)を、社命として設立したベンチャーを紹介したい。
 *EMC(Electro Magnetic Compatibilityノイズを出さない、ノイズに影響されない

● 実績のある大手企業のネームバリューが参入障壁
 日本電波吸収体社長の荻野 哲氏は、優秀な語学力を駆使して大手商社の海外プラントビジネスを担当していた。東南アジア向けのETC(ノンストップ自動料金収受システム)を取り扱う中で、ETCの誤動作を防止する電波吸収体のニーズが高まることを感じていた氏は、1999年、日本にもETC導入の検討が始まったのを機に、2000年8月当社を立ち上げた。
 電波吸収体とは、電波を吸収してしまう材料で、レーダに写らないという米国の見えない戦闘機「ステルス」にも使用されている。その技術を研究している防衛大学校と産学連携を組み、ETC用電磁波吸収シート(商品名:オルタスHシリーズ)を開発した。これは日本各地の高速道路ETCゲートに採用され始めている。しかしITS(高度道路交通システム)関連の電磁シールドビジネスは、大手企業2〜3社でのシェアーが大きく、ネームバリューが参入障壁となっている業界である。
 当社は新技術・新製品の開発で新分野開拓や参入障壁へチャレンジを続けているのだ。

● 画期的新製品(電磁波吸収抑制塗料等)を次々に市場に投入
 2005年夏、当社は藤倉化成鰍ニの共同開発で、電磁波吸収塗料(商品名:オルタス-ドータイト)の開発に成功した。これはクリーム状のため、従来のシートタイプでは対応が難しい複雑な形状の機器の、基板と部品間のノイズ干渉や、外部への放射ノイズを低減でき、また機器(携帯やパソコン等の部品)の量産ラインで、ロボットにより必要な部分へのみ塗布できる為、生産効率、歩留りを大幅に向上できるという優れものである。家電・電子・通信機器への適用の他、今後社会のIT化・自動化を推進する上での基盤事業であり、注目されているRFIDタグ(ICタグ)の通信安定化塗料として、従来のICタグ通信安定化シートと共に期待されている。ちなみに、この新製品は2005年7月5日の日刊工業新聞に取り上げられ、また同年8月には、慶応大学との“電波吸収体を用いたRFIDシステム読み取り性能向上に関する共同開発”で「川崎市産学協同研究開発プロジェクト助成事業」に採択され、各方面から大きな注目を集めている。
 *RFID(Radio Frequency Identification微小チップにより人や物を識別管理する仕組み)
 商品ラインナップとしては、この塗料開発に先立ち、2003年9月に住友電工系列の潟Cーエムエフ社より「電磁波吸収体EMスパーブに係わる事業」を継承し、携帯・デジカメ・パソコン等の低周波帯域(数十MHz〜3GHz)のEMC対策用超薄膜シート「電磁波吸収シート(商品名:オルタスLシリーズ)」を揃えている。従来からの製品群である、レーダ・衛星通信・ETC等の高周波帯域(数GHz〜110GHz)の電磁波を吸収する「高周波電磁波吸収シート(商品名:オルタスHシリーズ)」と合わせ、低周波帯域(数十MHz短波)〜高周波帯域(100GHzを超えるミリ波)までカバーした、SAR(比吸収率)の高い製品を提供している。
 *SAR(Specific Absorption Rate単位体積あたりの吸収率)

● 数々の中小企業支援施策に挑戦し、公的な認定で信用力を高める
 創業以来毎年のように各種中小企業施策へ応募し認定や表彰を受けている。2001年経産省の「新事業創出促進法」認定を皮切りに、神奈川県からは「創造法の認定(2002年)」「特定基盤的技術の高度化計画の承認(2002年)」「経営革新計画の承認(2004年)」、川崎市からは「産学協同研究開発プロジェクト助成事業の採択(2002年,2003年,2005年)」「かわさきビジネスアイデアシーズ市場の優秀賞(2004年)」等である。
 荻野社長は「ベンチャー企業は認知度、信用力、資金調達力に弱い、さらに自らのビジネスの内容や方向性を客観的に評価するためにも、公的な認定を頂くことは、大きなビジネスの糧になります」と語る。

● 科学的に証明されていない生体への影響も視野に入れて
 電磁波とは、ガンマー線、X線、紫外線のような危険な電離放射線、および可視光線、赤外線といった自然界の電磁波の他に、家電・電子・通信機器等から発生するラジオ波、マイクロ波といった非電離放射線の総称である。身近な電子レンジは2.45GHzのマイクロ波(磁界の強さは40〜80mG)で、外部へ漏れないようにシールドされている。また頭部に密着して使用する携帯電話も同程度の周波数である。電磁波は「21世紀の公害」といわれ、「安全性が証明できないものは規制する」欧米での関心が高い。一方「危険性を証明できないものは規制しない」日本ではあまり取り上げられないようだ。
 「電磁波の生体への影響は@科学的に未解明である、A蓋然性が証明されない、B被害の再現性がない、等であり、全くの未知の分野です。しかし考えられるリスクを先取りして防止策を考えるのが技術者の務めだと思います。当社では電磁波シールド布(商品名:オルタスシールドクロス)を開発し、外部環境に影響を受けやすい胎児を守るための電磁波防止エプロンを、主婦向けに提供しています」と語る社長は、ビジネスよりも未知の物へ挑戦する喜びに輝く技術者の顔であった。

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