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株式会社イスマンジェイ


夢の新素材「メラミックス」を量産化

社長 渡辺 敏幸 氏
●事業内容
新素材の開発・製造・販売。素形材の加工・販売

■企業名 株式会社イスマンジェイ
■創 業 2002年
■所在地 〒210-0855 川崎市川崎区南渡田町1-8Think未来工房
■電 話 044-873-3335      ■F A X 044-873-3336
■代 表 渡邊 敏幸 氏
■資本金 3億4,000万円
■売上高 1億5,000万円(08年1月期見通し)
■従業員 10名
■U R L  http://www.ismanj.com/ 
 


 メタル(特殊鋼)とセラミックス。この両方の特性を有する独自開発の新素材「メラミックス」の量産化に挑戦しているのがイスマンジェイだ。ファインセラミックスの一つであるベータサイアロンの燃焼合成による製造技術を確立し、新素材「メラミックス」として商品化に成功。月産3トンのプラントを稼働させて有償のサンプル出荷に乗り出している。すでに大手素材関連メーカーをはじめ、機械部品、住宅設備など多方面から引き合いが寄せられ、増産整備が急がれている。渡辺敏幸社長は「安価な金属シリコンを原料に低コストで生産できるのがメリット。近い将来、特殊鋼の代替材料に活用できる」と期待し、10年後には年産100万トンと特殊鋼市場の5%程度のシェアを目指す。

● 重工産業の聖地・京浜臨海部で新たな汎用素材に挑戦 
 イスマンジェイは02年7月に設立。大手鉄鋼メーカの技術系経営者だった渡邊社長と鍛造メーカーなどの自営業畑を歩んできた松下昌史副社長の2人で創業した素材系ベンチャー企業だ。04年4月には川崎区南渡田のJFE京浜事業所の遊休地を活用したビジネス拠点「テクノハブイノベーション川崎」(THINK)に本社を設置。重厚長大産業の長い歴史を持つ地で新たな汎用素材の可能性を探り始めた。
  メラミックスはメタルとセラミックスをかけ合わせた造語で、金属シリコンを主原料とした新開発の高機能素材だ。比重が3・2と特殊鋼の40%と軽い一方、2倍の強度を持つ。原料となる金属シリコンも半導体用シリコンのように高価な高純度材を使う必要がなく、低純度の金属シリコンで製造できるため量産化によって安価に工業汎用素材が製造できる可能が大きい。軽量で強度を求める自動車、産業機械、住宅設備などのニーズに対応できる汎用高機能材料として注目されている。
  開発のきっかけは幻のセラミックスと呼ばれる「ベータサイアロン」の量産化への取り組みからだ。鉄鋼メーカ勤務時代からビジネスパートナーとして付き合いのあった松下副社長から日露貿易を通じて知り得たロシア研究者との偶然の会話がかっかけとなった。渡邊社長は「エネルギーコストがゼロの燃焼合成技術でベータサイアロンと云う素材が低廉に製造できる可能性がある。ぜひ日本で実現したい」と創業を決意した。素材研究の経験が長い渡辺社長にとってベータサイアロンは夢の素材だった。かつて省エネの技術開発を国家レベルで目指す「ムーンライト計画」(78〜93年)などで開発が進められたが、量産化には至っていない。渡邊社長は絶好のビジネスチャンスと判断した。
 
● 幻から現実へ。進むメラミックス量産化計画
  会社設立を機にまず500ナノメータ(タバコの煙は200ナノメータの大きさ)に超微細化する技術開発に取り組んだ。素材強さの基本は結晶の超微細化にある事を同氏は長年の材料開発経験から熟知していたからである。1年半かけて、この技術を完成させた。続いて、燃焼合成技術の経験豊富な日本人研究者を招き入れ、量産化開発に着手した。燃焼合成とは化合物を合成する際に発生する発熱反応熱を利用して低コストで迅速な合成を可能にする手法。まだ開発途上の技術であり、日本での研究者も多くない。燃焼合成の欠点は高温、高圧下での反応のため危険性が高いこと。防爆設備も必要になりコストがかさむことも大きなネックだ。こうした課題をクリアするために開発したのが制御型燃焼合成装置だ。神奈川県産業技術センターの協力を得ながら合成する温度、圧力を一定にコントロールする制御機能を備え、低コストで迅速に製品を合成するシステムを世界で初めてつくりあげた。合成に成功した素材は、「超微細」で、メタルの様に「安価」に量産でき、セラミックスの様に「軽く」そして「強い」の意味をこめてメラミックスRと名付けで、商標登録も取得した。量産化に向けては神奈川県産業技術センターからの紹介を受け、THINKに本社工場を置くことを決定。06年秋からミニ量産化ラインに着手。さらに顧客への加工技術提案を目的に500ナノメータの超微細メラミックスをベアリングボールに加工するシステム技術を開発し、商品普及への布石を打ち始めたところだ。また、原料となる金属シリコン確保に向けエジプトからの輸入の検討を開始した。サハラ砂漠のホワイトサンド(ケイ素)を利用したビジネス構築にも乗り出した。「エジプトからの輸入により安価な材料の確保が容易になり、量産化で特殊鋼並みの価格に引き下げることが可能になる」(渡邊社長)とし、原料確保を重要課題と位置づける。
 
● 理念はLOHAS 人の健康に役立つものづくり
 渡辺社長は38年生まれの69歳。自ら熟年ベンチャーと称するが「おもしろいものを作り続ける企業でありたい。年齢を超えた若さを持続していくことが大切だ」と起業家精神は衰えない。素材産業で培った技術力と経験、そして松下副社長の営業を通じて築き上げた国内外ネットワークが大きな資産だ。ビジネスモデルに共感する出資者にも恵まれ1月末には数社からの出資を得て1億4000万円から3億4000万円に増資した。行政からの評価も良く、神奈川県創造法認定取得(03年)、神奈川県創業期・製品化モデル事業認定などを受けたほか、川崎市と川崎市産業振興財団が主催するビジネスオーディションで起業家大賞およびJVA2007のシニアー賞を得るなど注目度は高まっている。製品だけでなく、渡辺社長のユニークな人柄に寄与する面も少なくない。「当社の理念はLOHAS(健康と環境、持続可能な社会を重視する生活)。人の健康と環境に役立つ素材を提供していくこと。そのためにも全員で楽しみながら何時までも製品を作り続けられる面白い会社でありたい」と独自の経営観を披露する。女性パートも自ら進んで休日出勤するなど「女性のものづくりパワー」(同)の活気にも支えられ同社の基盤は固まってきた。「2016年にメラミックスを年産100万トンレベルに引き上げる」(同)。夢の実現に向け確かな一歩を踏み出した。

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