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栄通信工業 株式会社


世界屈指のポテンショメータのパイオニア 顧客満足で業界をリード



社長 下田 達郎 氏
●事業内容
各種精密可変抵抗器(精密ポテンショメータ)、制御用部品(ジョイスティック/フットコントローラ)の開発・製造並びに販売

■企業名 栄通信工業 株式会社
■創 業 1946年(昭和21年)8月
■所在地 〒211−0016 川崎市中原区市ノ坪322番地
■電 話 044−411−5580  ■F A X 044−434−2520
■代 表 下田 達郎 氏(シモダ タツロウ)
■資本金 9,600万円
■従業員 277名
■U R L  http://sakae-tsushin.co.jp/ 
 

 日本で初めて可変抵抗器(ポテンショメータ)の開発、製品化に成功した企業である。精密ポテンショメータでは国内の追随を許さず、世界でも五指に数えられる。創業以来210件を超える特許・実用新案を取得し、日本初の人工衛星「おおすみ」をはじめ、南極観測船「宗谷」、深海用潜水調査船「しんかい6500」といった最先端分野の製品に採用されるなど、技術力に対する評価は折り紙付きだ。「当社の扱う製品は一品一仕様の特殊製品ばかり。規模の拡大でなく顧客満足に応えられる企業であり続けたい」。独自技術を生かした堅実経営こそが重要と下田達郎社長は強調する。
● ソニーの下請けから独立、受け継がれるモノづくりのDNA
 栄通信工業は下田社長の実父である下田栄太郎氏によって1946年に創業した。戦前、日本光音工業の井深 大氏の下で働いていたが、戦後になって井深氏が設立した東京通信工業(現ソニー)の下請けとなり、録音機「デンスケ」の組み立てなどをする仕事からスタートした。ところがソニーが民生向けに事業を拡大する中、少量特殊品生産を得意とする同社は下請けから離脱。その時に目をつけたのが当時、海外製品しかなかったポテンショメータの国産化だった。栄太郎氏はそれまで開発の経験こそ無かったが、戦前は軍属の通信隊として通信機器のメンテナンスを手掛けてきた。最新機器を扱う中、ポテンショメータの仕組みについてはかなりの知識があった。
 ソニーの下請けから離れ、複数の通信機器メーカーの仕事を受けてきたことも開発に役立った。当時の最新技術に直に触れることができ、その積み重ねが大きな力となっていった。そうして独自開発したポテンショメータは船舶用途などの特殊分野を中心に採用が進んでいった。1977年には多回転式ポテンショメータで日本発明振興協会から発明大賞を受賞。世界最小(10.5o)のヘリカロームポテンショメータの開発にも成功した。技術の応用製品としてジョイスティックコントローラや各種制御用部品なども続々と開発し、防衛庁(現 防衛省)への納入も決まるなど企業基盤を固めてきた。核となるポテンショメータを内製化していることが最大の強みであり、設計から金型製作、機械加工までの一貫生産体制によって他社との差別化を図っている。
 こうした取り組みにより、防衛関連、航空機、建設機械、新聞印刷用輪転機、医療用先端機器など同社の市場分野は大きく広がっている。「当社の製品はどこに使われているのか、我々も知らないことも多い。あとでテレビや新聞、展示会などで知ることも度々ある」と下田社長は言う。最先端分野では機密事項に係るケースも少なくないからだ。モーターショー、愛知万博に出展されていた未来カーや近年普及が進みつつある二足歩行ロボットに使われていることも、社員が展示会で気付きわかったという。そのことは、それだけ同社の技術が各方面から注目されていることの証でもある。すでに製品アイテムは2万件を超える。また、製品出荷の7割が海外に占められるのも大きな特徴だ。「海外メーカーは新しいものに目を付けるのが早い。当社も顧客の要求に迅速にこたえて成果を出してきた結果、海外ユーザーが拡大してきた」と下田社長は輸出の増加を分析する。
 
幼い頃から父の仕事場で遊び、「デンスケ」を積んでリヤカーで引いた経験を持つ下田社長は、「先代のモノづくりへのこだわりや取り組む姿勢は身に染みている。今はこれらの技術をいかに伝えて、伸ばしていくかが大きな課題」と言う。職人気質の社員たちの技術を若手に継承していくことは日本のモノづくり全体が抱える問題でもある。同社はまず3次元CADの導入によって技術の共有化に着手。ジョイスティックなどは人間工学的な視野を取り入れ、更なる技術の高度化に取り組んでいるところだ。
● 従業員全員が正社員、安定した雇用が生み出す高品質
 驚くべきことに同社にはパート社員がいない。すべて正社員で賄っているのだ。早くから生産は新潟県の見附市と阿賀野市に集約し、本社を含めて約270人が正社員として働く。もともと新潟では農閑期に働く変則的な労働体制になっていたが、農作業の機械化が進み、フルで出勤する社員が増えたため現在の体制となっている。「確かにコストを考えると負担増とはなるが、一品一仕様の多品種少量への対応と高度な品質維持のためには安定した雇用が必要だ」と下田社長は正社員として雇用するメリットを強調する。かつては海外生産を模索したこともある。「いまも海外メーカーからの誘致はあるが、品質にこだわると外に出すことは出来ない」と国産主義を堅持する。需要拡大で生産キャパシティは限界に近付いているというが、当面は現体制でやりきる方針だ。
● 国内強化で世界ナンバーワンを目指す
 今後の課題は営業面での強化だ。すでに世界30を超える国で代理店を活用し、国内でも関東地区2社、関西地区1社を代理店として起用している。「海外との付き合いが広がる中、外国語と技術のわかる社員をどんどん採用したい。加えて国内市場の開拓も大きな課題だ」と下田社長は言う。3次元CADの導入などで海外顧客とのデータ交換などはかなり改善されたが、やはり代理店との交渉や市場開拓に向けて語学と技術の両方を備えた人材の確保は不可欠だ。また、海外比率7割という売上げ構成比もバランスを考えた場合、国内の比率向上は必要だ。円決済で販売しているため為替の変動は受けないものの、“国内外比率は50対50が理想的”と下田社長は見ている。現在、振動に左右されない無接触タイプの3次元ジョイスティックコントローラの投入などで国内での顧客獲得に乗り出しているが、営業面でのテコ入れも必要となってくる。さらに国内市場を狙うと、どうしても量産化という問題が浮上してくる。「そういう意味では今は転換期にあるとも言える。今後の方向性を考えると、ある程度の量産化は考えていく必要がある」と言う。
 一品一仕様と量産化。この2つをリンクさせる体制作りが下田社長の最大の課題となってくる。「近い将来、必ず世界ナンバーワンを達成する」と熱く語る下田社長の手腕が注目される。
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