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造形美術 有限会社 アトリエ・ゼロ


夢を形に! 企画力とデザイン力で造形美のある製品を提供


社長 神野 和夫 氏
●事業内容
企画デザイン設計、装飾物デザイン原型製作試作、工業デザイン(FRP・石膏・粘土)試作、量産プラスチック成形、LHZ真空成形
■企業名 造形美術 有限会社 アトリエ・ゼロ
■創 業 1977年(昭和52年)
■所在地 〒213−0032 川崎市高津区久地2−4−53
■電 話 044−812−5636  ■F A X 044−812−6860
■代 表 神野 和夫 氏(ジンノ カズオ)
■資本金 500万円
■従業員 13名
■U R L  http://www.atelier-zero.jp/ 
 

 ピザ宅配の屋根付き三輪バイクの外装を最初に手がけたのがアトリエ・ゼロ。独創性の高い企画力とデザイン力で創業以来、ユニークなヒット商品を生み出し続けてきた。また、FRP(繊維で強化されたプラスチック)を中心としたモノづくりの力にも定評があり、東武ワールドスクウェアの大賞受賞作品である「東大寺大仏殿」の製作に携わったほか、場内全ての展示物のメンテナンスも請け負う実力派だ。「アトリエ・ゼロは会社ではなく工房。ただ、作品では買ってもらえないため、商品づくりをしています」と語る神野社長の周りには、社長の魅力に惹かれて、優秀な若手デザイナーが集まってくる。デザイン画を描くだけでなく、自分たちで素材を加工し形を作り上げるという、デザイナー兼職人のユニークな集団を紹介しよう。
● 異色のヒットメーカー
 神野和夫は武蔵野美術大学を卒業後、大手バイクメーカーに就職が決まっていたが、より広範囲なものづくりを経験すべく、6年間ほど大田区界隈の町工場を転々とし、アクリルや塩ビ等の材料特性、FRPや真空等のプラスチック成形、溶接や旋盤等の金属加工といった、モノづくりの基本となる技術を習得した。「もともと怠け者なので食べられるだけの時間働けば十分。ただ、モノづくりの原点を知りたいという思いはありました」と神野社長は悪戯っぽく笑う。その後3年間の会社勤めでは、公園の遊具等のデザインを手がけて造形美術の腕を磨いた。1977年に勤めていた会社の部下と二人で、アトリエ・ゼロを創業。「独立したのは利益優先や実用本位ではなく、造形美のあるモノを作りたいから。得意先もなく、仕事場は自宅の物置という、文字通りゼロからの出発でした」と神野社長は当時を振り返る。
 造形作家の活動はしていたものの、収入なしではやっていられないと悩んでいた矢先、たまたま美術館で観た油絵用の額縁を製作することを思いつき、試作したものを早速業者に持ち込んだ。ところが試作モデルを見た業者から“額縁を知らない”と笑われてしまう。そこで本場フランスへ飛び、美術館や建築物を観て回り、額縁の本質的な役割を研究した。オリジナル額縁の開発に当たっては、シリコーンゴム型を使ったFRPの新しい成形法を考案し、日本人好みのきめ細かな唐草模様のデザインを採用した。こうして生み出されたアトリエ・ゼロのオリジナル額縁は高く評価されるとともに、画壇の巨匠に愛された高級美術額縁の代名詞でもある「古径」にも認められた商品として販売されヒット商品となったのである。また、FRP製で安価な子供用神輿を商品化して、小田急線沿線などの新興住宅地の町内会活動(祭り)での神輿需要の増大に対応し、ヒット商品となった。
 1983年には神野社長の学生時代からの憧れであったバイクの外装開発に取り組んだ。これは「郵便配達や銀行の営業等の仕事で毎日バイクに乗る人を雨や風から守り、快適に走る」というコンセプトで、市販の三輪バイクにFRP製の屋根を取り付けた製品である。様々な素材の特性に精通し、造形美術の世界に身を置く神野氏ならではの新発想でFRPを補強する構造を考案したことにより、軽量化を実現した。さらに取付ネジも振動に耐えられるよう特殊なネジを注文した。こうして完成した屋根付き三輪バイクは、ドミノピザで配達用に採用され、飛ぶように売れた。現在も街中で数多く見かける屋根付き三輪バイクの原型は当社の製品がモデルになっている。このように当社の強みである、企画力、デザイン力、FRPの成形技術を中心としたモノづくりの力を活かし、ヒット商品を生み出し続けることにより、当社の事業基盤はつくりあげられたのである。
● 社長の哲学は「仕事は遊び、楽しまないと良いモノはできません」
 当社にはタイムカードがなく、社員は納期さえ守れば好きな時間に働くことができる。「仕事は自分から進んでやりなさい。上からの命令でやるのは奴隷です」と社長は常々社員に語りかけ、自主性を尊重する。そして「仕事は遊びです。楽しまないと良いモノはできません」と独自の哲学を繰り返し社員に言い聞かせる。「ある程度育ったら当社を辞めてもらい、自動車などの業界で腕を磨いてから、また当社に戻ってきてもらいたい」と今後の若手の育成方針を語る。優秀な社員を自社に縛り付けようとしないところが、神野流の人材育成術だ。その成果として、現在のアトリエ・ゼロの事業内容は、東武ワールドスクウェアの展示物(世界の主な遺産を125のスケールで再現)のメンテナンスに加え、オリジナル製品(キャンピングカー、ゲーム用コクピット等)、展示施設向けモデル、看板やサイン、文化財等のレプリカ、車の試作デザインモデル、キャラクター造型、遊園地用遊具など、提供する製品は多岐にわたる。例えば、鞄剣のアートディレクターとして、映画「ゴジラ」に登場する潜水艦「しんかい6500」の製作を担当するなど、モデル造形の実力は折り紙つきだ。また、キャンピングカーでは内装を規格化し、工場での生産性を高めて主力製品に育てていく計画である。
● 夢は町興しへの貢献で、生きた証を残すこと
 最近、神野社長は町興しにも取り組み始めた。千葉県館山市や北海道釧路市阿寒湖町の町興しの企画を提案している。特に釧路市では取引業者にも選定され、観光客をいかにして釧路に呼び込むかを提案中だ。「北海道を訪れた観光客に釧路空港で降りてもらい、飛行船の窓から釧路湿原を眺めてもらう。カヌータイプの屋形船を浮かべて川を下り、船では地酒を振舞って釧路湿原を堪能していただく」と社長の構想はどんどん膨らんでいく。このほか、第2東京タワーや浅草の再開発にも企画書を提案している。「大手広告代理店などの提案は、箱物重視でお金がかかり過ぎ。当社は素朴なプランを中身重視で提案します。お金をかけなくても、自分たちの創意工夫で町の賑やかさは取り戻すことができます」と町興しの課題を指摘する。町興しは、「造形作家にはなれなかったが、自分たちが生きてきた証を残したい」と語る神野社長のライフワークになりそうだ。当社は工場を火事で焼失させるなど、幾多の困難に直面してきたが、常に前向きの姿勢で乗り越えてきた。「楽しく生きている」と語る神野社長の明るく魅力的な人柄が印象的であった。
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