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ナノロア 株式会社


液晶動作モードでデファクトスタンダードを目指すベンチャー


社長 望月 昭宏 氏
●事業内容
新液晶表示技術(LCD技術)の研究開発

■企業名 ナノロア 株式会社
■創 業 2003年(平成15年)4月
■所在地 〒213−0012 川崎市高津区板戸3−2−1 KSP西棟416
       
米国100%子会社・・
Nano Loa USA,Inc
■電 話 044−812−2949  ■F A X 044−812−2969
■代 表 望月 昭宏 氏(モチヅキ アキヒロ)
■資本金 8億5,000万円
■従業員 27人(含むNanoloa USA,Inc)
■U R L  http://www.nanoloainc.com/ 
 
 「テレビでテニスの実況を見た時などに、軽い船酔い感覚を憶えたことはありませんか?」と開口一番で望月社長より質問が飛び出した。これは頭でイメージするボールの速度や動きと、実際に画面で見ているそれとがズレていることに起因していることだと言う。「既存の液晶ディスプレイ技術では“高速応答性”と“広視野角の実現”が大きな課題となっています。当社の“PSSLCD”技術は、この2つの課題を安価に実現することが出来ます。世界のLCD産業におけるデファクトスタンダード(世界標準)技術となるでしょう。」と言う望月社長の言葉は自信にあふれていた。 
      注*PSSLCDPolarization Shielded SmecticLiquid Crystal Display
● FPD25年の研究・開発・製造の成果をデファクトスタンダード技術

 望月社長は1980年東京大学理学部を卒業後、兜x士通研究所へ入社し、フラットパネルディスプレイ事業分野でLCD(液晶ディスプレイ)やPDP(プラズマディスプレイ)の研究・製造に携わった。30代が過ぎた頃、米国オハイオ州のケント州立大学・液晶研究所から移籍の打診を受けた。当時、富士通はハードからソフトへの事業シフトが進みつつあり(後年、LCD事業はシャープ、PDP事業は日立に売却)、ものづくりに愛着を感じる望月社長は、知人であるコロラド大学の教授であったノエル・クラーク氏に相談をしたところ、氏が創立した「Displaytech,Inc(ディスプレイテック社)」へ強く招聘され、技術及び日本統括役員として赴任することとなった。199842歳の時である。同社で知り合った当時の同社CEO : ハビラントライト氏は以後ベストパートナーとなり、現在はナノロア鰍フ役員(国際協業統括)にも就任されている。
 望月氏は各社の協力を得ながら、同社の主力製品であるビデオカメラ用ビューファインダーを日本の大手電機メーカーへ拡販し、ソニーへは年間250万ユニットを納入するなどの実績をあげた。しかしこれに満足せず、いずれ世界に通用する技術開発を手掛けたいと思っていた。そして富士通研究所時代から暖めてきたPSSLCD構想を具現化すべく、2002年米国にNano Loa,LLC(後にNano Loa USA,Incと改組)を設立した。Nano(極小)、Loa(ハワイ語で長い、大きい)は「最少の投資で最大の収益を上げる」という意味を込めた造語である。
 翌20034月、日本にナノロア株式会社を設立し、川崎市のかながわサイエンスパークに研究開発の拠点を設け、大手LCDメーカーとの共同研究がスタートした。PSSLCD理論構築と試作による実証及び製造プロセス研究を重ね、基本技術・応用周辺技術で11件の知的財産を蓄積している。近く大手LCDメーカーとライセンス契約締結の予定である。

● PSS-LCD技術で高速応答性と高視野角、高画質表示を実現
 フラットパネルディスプレイの世界出荷台数は2005年に32億台(内LCDは約70%)、2015年には50億台超(内LCDは約85%)になると予測されている(米ディスプレイサーチ社)。LCDは、PDPと異なり時計、電卓からパソコンやテレビにまで幅広く使用されるため、PDPや次世代ディスプレイとして有望視されている有機ELをその出荷パネル数で大きく引き離すと市場では考えられている。「しかし今のLCDには大きな課題があります」という。
 LCDは、電圧を加えて液晶分子の配列を変えることで、シャッターを開け閉めするように光の透過をコントロールし、光の明暗を利用して画面表示を行うものである。TFT(薄膜トランジスター)からの電圧により変化する液晶の分子配列の動きを、動作モードと呼ばれる方式によりコントロールする仕組みだ。現在使われている動作モードは数種類あるが、いずれも、隣り合った液晶分子のぶつかり合いなどによる“応答速度遅れ”や、液晶分子のねじれ配列による“広視野角に対する障害”など解決すべき大きな課題を抱えている。
 当社は、独自の動作モードである液晶分子配列制御法PSSLCDを開発した。これは液晶分子の“ぶつかり合い”や“ねじれ”の主原因となる液晶分子中の電荷(電子と陽子)の偏り無くし、均一化する技術であり、LCDによる「高速画像応答」「広視野角」「高画質表示」を実現した。画像応答速度は従来型の約100倍、視野角については従来型が100度前後なのに対し、ほぼ180度を実現している。しかもLCDメーカーは、既存の製造プロセス及び回路技術の活用が出来る(通常、新製造ラインには数千億円の新規投資が必要)。
 既存の動作モードを用いたLCDは、テレビ画面としての使用に堪えられるだけの性能を持ち合わせていないと言う。性能不足を補う“お化粧”として、高速化のためのICドライバーや、視野角補正のための高価な光学補填フィルムを要しているが、当社の動作モード技術によって作られたLCDはこれらのお化粧が不要なため、極めて安価に製造が可能である。薄型液晶テレビの製造原価の7割を占めるというLCDを、ほとんど設備投資をせずに新型へ切り替えられるというのは、メーカーにとっても消費者にとっても大きな朗報である。
 LCDを作るための技術である液晶動作モードは、ほぼ全て欧州生まれである。そのため日本製のLCDでも、ほぼ例外なく欧州に特許料を払って作られている。真の意味でのMADE  IN  JAPAN、日本生まれの動作モードであるPSS方式がLCDのデファクトスタンダードになる日も近い。
● 将来の夢を実現するため、計画的にかつ根気良く進んで行く

将来の事業展開は「スウェーデン、イギリス、ドイツなどにサテライトラボを持ちたいと思っています。欧米の人たちは、人のやらない分野で新理論を考え出すのが一流です。基礎理論を欧州で開発し、ものづくりに関しては世界で一番の日本で製品技術に仕上げたい」と望月社長は夢を語る。
 19世紀後半に活躍したドイツの考古学者“シュリーマン”を例に出し、「余裕が出来たらラテン語を勉強し、ローマの歴史を原書で読んでみたい」と笑う。シュリーマンは少年期にホメロスの叙事詩に魅せられ、30代半ばまでの事業収益をつぎ込み、ギリシャ語やイタリア語など7ヶ国語をマスターのうえ、トロヤ、ミケーネ、ティリンスなどの先史文明を次々と発掘し莫大な財宝を得ている。
 将来の大きな夢のために、長いステップを一つずつクリヤーしていくシュリーマンの根気良さを見習い、21世紀のハイテクノロジーの社会で、大きな夢を実現していく望月社長の姿が浮かぶ。

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