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株式会社 吉光工業


航空宇宙部品のアルミ溶接技術で日本のトップを目指す



社長 松本 俊一 氏
●事業内容
航空宇宙機器、各種機体部品、通信機部品、搭載部品の精密板金加工、
 上記に付属する表面処理・塗装等の業務

■企業名 株式会社 吉光工業
■創 業 1966年(昭和41年)4月
■所在地 
本社 〒215−0033 川崎市麻生区栗木2−2−17
■電 話 044−751−2551  
■代 表 松本 俊一 氏(マツモト シュンイチ)
■資本金 1,000万円
■従業員 40名
 

 「当社は航空宇宙に関わる各種部品を溶接、組立、最終的には仕上げまで行っています。航空宇宙分野では軽量化が要求されるのでアルミが多用されていますが、様々な材料の溶接の中でも特にアルミの溶接が難しいことは業界で知られています。航空宇宙に関する搭載品の溶接組立の構造物は、複雑な形状のため溶接が難しく、手作業で行わなければなりません。それにもかかわらず、百分の数ミリという高い寸法精度が要求されます」と松本社長は語る。
 当社のミルスペックを保有する溶接技術者の高度な技能は、飛行機の搭載品をはじめ、ヘリコプターの尾翼、そして、ジェットエンジン戦闘機「秋水」や零式艦上戦闘機「ゼロ戦」の復元にも応用されている。
● 継続雇用による技術継承と小グループ制度による教育訓練
 「数ミリのアルミの薄板となれば溶接後に歪みが必ず発生します。その歪みがどこに発生するかを想像しながら手に持ったハンマーで叩いて矯正します。歪みを矯正する技術は長年の経験と勘に依存します」と松本社長は熱く語る。工場に一歩踏み入れると溶接後の歪みを矯正するためにハンマーで部材を叩いている技術者の姿は、鍛冶屋の職人を彷彿させる。吉光工業の「吉光」という名前は、鎌倉時代の短刀の名工である京都粟田口派の藤四郎「吉光」が由来であると聞いて納得した。
 「我社が恵まれているのは20歳代から60歳代まで年代ごとに溶接技術者がいること、そして、若い技術者の定着率が高いことです。社是は“技術の向上こそわが社の命なり”であり、製造業で競争に勝ち残っていくには技術の向上を目指して研鑽するとともに、技術の継承者が確実に存在することが大事です」と松本社長は信念を語る。ベテラン溶接技術者の優れた技能を若い技術者に継承する仕掛けが有る。
 その仕掛けとは「継続雇用制度」だ。10年以上も前に嘱託雇用規定を作り、60歳定年を迎えた者でも本人の希望があれば積極的に受け入れる。一番年上で70歳の溶接工を含めたベテラン技術者が3名も残っている。問題が発生した際には、キャリア40年以上のベテラン技術者が何万アイテムという過去の経験に裏打ちされた解決策を若い技術者に教えている。若い技術者は、困った時にいつでも大先輩に聞くことができ、何を聞いても答えてくれるという安心感が高品質を生み出す。さらに、原価低減と教育訓練を可能にするもう1つの仕掛けが存在する。それが「小グループ制度」だ。
 「昨年4月に導入した小グループ制度は、1人のリーダーが24人の部下を統率しながら仕事を進める方法です。リーダーは自分の部下が何をやっているかがよく見えるため、仕事の計画が容易になります。小グループ制の導入によりリーダーの責任が明確になりました。工数管理を行うリーダーに対しては、作業指示書に部下が記載した作業時間を確認すると同時に、工数低減目標とそのための技術的な指導を行うように指示しています」と製造部長を兼務する松本社長は、社員が自社の職場で成長できるように心を配る。
 
特に、若い技術者には他の企業を見せる機会も必要であると松本社長は考えている。航空宇宙業界トップの顧客企業に若い技術者を派遣して、航空機、ロケットといった人命に直接関わる製品本体の溶接現場を経験させている。
● トータルコーディネート能力を持った技術営業
 「新規顧客を効率的に開拓するために、営業部を営業開発部と営業管理部の2つに分けました。航空機部品の加工という市場は限られているので、所属する業界団体の名簿などから簡単に顧客企業の情報を得ることができます。当社では各営業担当者が顧客別に営業を展開しています」と語る松本社長自身も担当顧客を持っており、常にお客様の声に耳を傾けている。 当社の強みは、高度な溶接技術だけではない。図面を見ながら技術提案を行い、その加工に必要な外注先を選定し、管理できる能力、つまり、「トータルコーディネート能力」を持ったベテラン営業マンの存在も欠かせない。まさに、技術と営業の両翼のバランスがとれた企業である。
 売上は民需と官需が1:4の割合であり、主に防衛庁関連の仕事を約60社の顧客企業から受注している。但し、1社の売上が全体の売上の30%を超えないように松本社長は注意を払っている。
● ミルスペックの資格保持者で日本一を目指す
 「溶接技術で寸法の公差を確実に製品化できる事業所は減少していると言われていますが、当社にはミルスペックの資格保持者が現在6名おります。それに準ずる者が5名、さらに見習いが2名おります。最終的にはミルスペックの資格保持者数で日本一を目指しています。そのための技術教育は、顧客である大手メーカーから講師を派遣してもらい指導を受けています」と松本社長が胸を張る。
 当社の経営5ヶ年計画(現在2年目)における経営目標は「高品質短納期」である。高品質については、ミルスペックの溶接技術の資格保持者を現在の6名から20名体制まで増員することを目指している。また、短納期については現在の15日を4日、つまり、月曜日受注で金曜日出荷ができる生産体制の構築も目指している。「高品質短納期」実現ために、今秋にも川崎市麻生区(マイコンシティ栗木)へ本社及び工場を新設移転する。
 
一昨年創立40周年を迎えたのを機に社内の記念パーティーにおいて、松本社長は「自社工場を保有する」と宣言した。昨年3月、本社工場新設移転計画がインベスト神奈川「産業集積促進融資制度」に認定された。マイコンシティ進出後は、多能工技術者が本社工場と多摩川工場を往復する必要がなくなるなど効率的な生産体制を実現できる。ミルスペックの資格保持者が重要な工程に集中できるように、基礎的な作業や工程はパートなどの人材を有効活用する方法も検討していく。そのために、生産管理または生産技術に強い人材の採用を計画している。
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