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会社名株式会社 両津工業


厨房用製品の金属加工でトップを走る小さなガリバー企業



社長 猪股 紳宏 氏
事業内容事業内容
空調機器・空調関連機器・厨房用ステンレスフードならびに板金製品の製造販売

  • 企業名 株式会社 両津工業
  • 創 業  1963年(昭和38年)3月
  • 所在地  〒210-0854 川崎市川崎区昭和2-5-19
  • 電 話  044-288-3438
  • FAX   044-299-2055
  • 代 表  代表取締役会長 猪股 國夫 氏(イノマタ クニオ)
               代表取締役社長 猪股 紳宏 氏(イノマタ ノブヒロ)
  • 資本金 5000万円
  • 従業員  60名
  • URL  http://www.ryotsu.com/

両津工業は創業46年。厨房の排気口に使われるフードやダクトの製造販売を主力に展開する老舗企業だ。数人でやり繰りする零細企業の多い業界にあって従業員60人、年商10億円規模は立派なガリバーである。亜鉛鋼板が主流だった換気関連機器にステンレスを素材にした製品をいち早く商品化。細かい顧客への対応と迅速な出荷によってレストランやホテルに納入する設備素材メーカーへのOEM(相手先ブランド供給)を中心に業績を伸ばしてきた。とはいえ、08年度の前半は原料高騰、後半は世界同時不況と事業環境は厳しい。「どんな状況でも仕事は決して無くなることはない。怠けず努力すれば必ず道は開ける」。猪股 紳宏社長のバイタリティーが従業員を引っ張る原動力となっている。

● 業界一の短納期体制で顧客を開拓


「当社はお得意様でも1社あたりの取引額は全体の10%以内に抑えている」。猪股社長は実父で創業者である猪股 國夫会長から続く経営方針を堅実に引き継ぐ。猪股会長は1964年に同社の前身である猪股製作所(1967年に株式会社に改組し、現社名に変更)を設立し、空調機器や関連機器の製作に着手。以来、高度経済成長、オイルショック、バブル景気とその崩壊を経て先発大手の栄枯盛衰を身近で見てきた。「かつては業界で当社より大規模な企業は数多くあった。そのほとんどが消えていった最大の原因が取引先の1社依存にあった」と猪股会長は振り返る。ダクト関連の金属加工は空調設備メーカーなどへの納入が中心。需要が旺盛であれば、安定した受注が確保できる大手との取引拡大はメリットがあるが、景気が落ち込むとその影響をまともに受ける。この経験が顧客ニーズに柔軟に対応する技術力と旺盛な市場開拓を支えるバックボーンとなっている。

その具体的な例として注目されるのが異例の短納期体制だ。「日本一ステンレス加工がはやい企業を目指す」という両津工業の会社案内に掲げる目標がその取り組みを端的に表している。受注は1日2回。午前中に注文を受ければ、最短で翌日には納品する。長くても中3日程度だ。厨房用金属加工製品のほとんどが一品一様だけに、このスピード出荷は業界他社の追随を許さない。「当社は生産性の向上について常に投資を続けている。その積み重ねが現在の短納期化に結びついている」と猪股社長は語る。実際、厳しい時代にも合理化投資は続けられてきた。バブルがはじけた後の1994年に本社工場近くの台町工場の隣にレーザー加工工場を建設し、自動プログラミング装置付きレーザー加工機を導入。さらに翌年には本社ビルを増設してステンレススリット自動切断装置、ステンレスシャッター自動切断装置などを取り入れている。これらの投資はバブル期の利益を他に使わず本業だけに向けたことで成し得たという。その後もパラメトリックCAD/CAMシステムやコンピュータオンラインシステムを導入し、設計のデジタル化から受発注、在庫管理の効率化と迅速化に努めてきた。この生産性の高さがあるからこそ短納期化を求める顧客のニーズにマッチし、商業用だけでなく大学、研究機関など多様な顧客を抱えることを可能にした。また、こうした短納期体制に加えて、業界内での規模の大きさも寄与しており、有名ホテルや商業施設などの大型物件を受注できるメリットも得ている。


● 独自製品“キャップマジック”で欧米展開へ


同社のもう一つの強みは商品開発力にある。猪股会長は社名の由来である新潟県佐渡島の両津市から上京し、精密板金メーカーで技術を習得。独立してからも技術一筋で同社を築き上げてきた。発展のきっかけとなったステンレス鋼板も業界に先駆けて手掛けた商品だ。1970年代に当時、主力製品の一つであった厨房の亜鉛天蓋をステンレス製に切り替えたのが同社の転機となった。はんだ付けによる鉛害防止の観点からステンレス溶接に転換。環境規制で先進的であった横浜市がいち早く同社のステンレス製天蓋を採用したのをきっかけに全国的に需要が広まった。以降、現在に至るまで猪股会長は技術陣の先頭に立ち続けている。最近では制気口ではんだ付けせずに四隅を独自の“かしめ”だけでステンレスを一体化した「キャップマジック」を商品化。アルゴン溶接が不要なので鉛フリーは当然のこと、塩害に強く防錆効果もある。すでに米国で製法特許の取得や意匠登録、ドイツでも商標登録するなど欧米展開を狙った戦略商品として位置付けている。

当社の技術への思い入れは開発だけでなく、モノづくりそのものにも表れ、社内のあちらこちらでその成果を見ることが出来る。例えば溶接ブースの改良がある。作業位置を一段低くし、屈まずに溶接作業が行なえるよう工夫されている。技術屋らしい発想で、いかに作業者の負担を減らし、作業効率を高めるかを考えた、現場ならではの視点だ。従業員にもその精神は受け継がれる。改善活動等に優れた事例を表彰する会長賞を得たフード溶接の改良はその代表例だ。アルゴンガスを使うことで溶接時の温度を下げてやけどの危険を低減するとともに、溶接面の酸化を防ぐことで、面倒な後磨き作業を省くことが出来る手法で、考案したのは30代の溶接部門の若手リーダーだ。「技術力は当社の核であり、顧客からも評価されている。すでに大手建設業者とも共同研究部門を立ち上げて新規開発に取り組んでいます」と猪股社長が語る通り、技術の芽は着実に伸びている。


● 「トヨタ生産方式」の導入でさらに競争力を強化


同社の営業・技術の強みは従業員の定着率の良さにも支えられている。65歳定年としているものの、要望があれば定年後も継続して働ける。現在も数名が定年延長として組立など主要な部署で働いている。また、新入社員も猪股会長の出身地である両津市から毎年受け入れているほか、川崎市を中心に定期的に採用を続けている。定着率の良さは作業環境の改善などに加え、工場が住宅地にあるため夜間の残業や休日出勤は周辺環境も考慮、極力回避した就業形態にもある。経営も透明化することにより従業員の参画を醸成し仕事へのやりがいの持てる環境作りにも心掛けている。例えば製品価格は従業員がわかるように表にして提示し、自分の作業がどれだけ売り上げに結びついているかが一目でわかる仕組みになっている。また、同社は「トヨタ生産方式」による業務改善にも取り組み始めた。ベテランコンサルタントによる月2回の指導が社内のやる気を一層引き出し始めているという。当面の目標は「ISO9000シリーズ」の取得だが、活動を通じて仕事のやり方や従業員の意識が変わってきたと成果を実感し始めている。未曾有の経済危機の中、全社一丸となった意識改革を断行し、次なる飛躍に備える考えだ。


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