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会社名株式会社カスト


自社オリジナルのノウハウでレーザー光線を美しく魅せる職人集団



社長 伊藤 幸雄 氏 
事業内容事業内容
レーザーディスプレイシステム製造販売及びレンタル

  • 企業名 株式会社カスト
  • 創 業 1990年(平成2年)8月
  • 所在地 〒216−0024 神奈川県川崎市宮前区南平台3−10
  • 電 話   044−979−1070   
  • 代 表  伊藤 幸雄 氏(イトウ ユキオ)
  • 従業員 5名
  • URL   http://www.kast.co.jp

  イベントやコンサートなどで使われては観客を魅了する、美しいレーザー光線のディスプレイの背後では精密な機械・光学などの技術が駆使されている。競争の激しいこの分野でレーザー機器を自社開発し、高い技術力で多様な顧客のニーズにきめ細かく対応、業界をリードする株式会社カストは川崎市宮前区に事業拠点を構えている。伊藤幸雄社長が事業展開について語った。

● レーザーの美しさに魅せられて起業

 
  「我が社の強みは、多様なニーズに応じたオーダーメイドのレーザー・ディスプレイ機器の開発・運用です。レーザー光線はもともと実験室内で使われるために開発された技術なので、極端にいえばクリーンルームのような環境が理想ですが、そんなデリケートな技術を屋外に持ち出して、観賞用に使うというのは実は非常に難しい技術的課題を乗り越えなければならないんです」。

  自社の高い技術力を自負する伊藤社長が例に挙げるのは、長崎県のテーマパーク、ハウステンボスの湾内にある桟橋の上から夜空に高出力でレーザー光線を投光する設備の商品開発の経験である。デリケートなハイパワーレーザーを運用する場所としては、屋外かつ水上という環境は非常に厳しいものだった。カスト社の開発チームは、悪条件にも耐えうる低出力のレーザーを複数台組み合わせる光学系の設計によりそれらを集束させることで、耐久性能の高い高出力レーザーディスプレイ設備を誂えることに成功したという。

  起業は、あるイベント会社から、レーザーを使った特殊効果技術開発・設計を担当するチームが独立した事がきっかけであった。「とにかくレーザーの美しさに魅せられて、その仕事をしたいがためにドロップアウトが集まったようなものです。多摩川を越えてここまで来ると家賃が安いということもあり、川崎に事務所を構えた後、仕事場を拡張する機会があってこの南平台のスーパーの二階の物件を見つけました。自分たちでいろいろ作業環境を整えたので、もうここからは動けないくらいになりました」。

● 自社内に蓄積した独自の技術、ノウハウ


 起業時点から現在に至るまで、レーザー・ディスプレイの業界でもいろいろな変遷があり、バブル期はブームとも言えるほど業者が乱立していたという。
「バブル景気の余波が残っていた頃は、とにかく予算に余裕があればどんなものでもレーザーを使おうというイベントが多かった。結婚式場の壁に折り鶴を映し出すとか、正直陳腐な使い方の機器を多数販売した他社もありましたが、あくまでもレーザーそのものの美しさにこだわり、利益追求にこだわらなかった事が生き残った理由かもしれません」。
高品質のレーザー・ディスプレイを実現するには、光学技術はもちろん、レーザー光線での描線に必要なミラーの動きの制御などの機械技術、映し出す画像のプログラミングなどの情報技術といった幅広いノウハウが必要になるという。カスト社は機器の自社開発と内製、運用を手掛けることによって他社にはない独自のノウハウを蓄積できた。
 
  エンタテイメント業界でも、同社の開発技術力は信頼されている事を証明するエピソードがある。「エグザイルのコンサートでアーティストの目からレーザーが発射されるようにできないか?と希望が演出家からあったんですね。レーザー光源を腰につけて、そこから背中を這わせた光ケーブルでレーザーを通して、サングラスの裏から前に向かって出力する。そのために日本では入手できない高出力のデバイスを外国で調達して、一式を組み立てました。そういった無茶な要求を相手からされることで、もっと新しい、もっと美しくて面白いレーザー・ディスプレイをつくれないかと工夫することになります。不景気でレーザーの需要がしぼんで、イベント会社でもレーザー・ディスプレイをちゃんと見た経験が少ない若手もいるくらいですが、そういう状況でこそ、改めてレーザーの魅力を伝えるような仕事ができればと思っています」。
 
  今年の3月、名古屋市科学館に世界最大のプラネタリウムがオープンし、そこにフルカラーレーザーシステムを納入しました。レーザープロジェクターは5台設置しましたが、そこにも今まで培ったノウハウが詰め込まれています。


● 用途開発の進むレーザー・ディスプレイ


 レーザー・ディスプレイの新用途開発は、ショービジネスの世界の外でも繰り広げられており、昨年の横浜市長選挙の際にはゴミ処理施設の煙突にレーザーを投射して投票の呼びかけキャンペーンが実施された。「意外なようですが、レーザーの費用はわざわざ垂れ幕をつくるより安いんです。しかも、何パターンも文字や図柄を変えても作り直す必要もありません」とメリットを話す。
また同社は新しい事業分野として、レーザーで照明用ガラスフィルターを加工する新技術を開発した。アルミ・コーティングをレーザーで精密微細に加工して、細かな図柄を鮮やかに映し出すことができるフィルターである。これまで日本ではイギリスのエッチング加工をする業者に発注する必要があったが、カスト社のオフィスでほんの数十分で加工できるようになったため、急な注文にも応じることができ、喜ばれているという。
 
  今後の構想として、伊藤社長は若手人材の育成を挙げた。「なにかを言われるまでなにもやらない、ではなく、自分から仕事を手がけ、むしろ仕事を遊ぶ、面白がるような、そうあってほしい。うちの社員も、変わり者というか、あまり堅気ではない人間が多いですが、みんなが仕事を面白がって、楽しんで働いています。それで会社が立ちゆかなくなったら一蓮托生だよ、といっていますが、それでも安価な中国製との競争にも勝ち抜いて来られました」。
伊藤社長自身も仕事を“楽しんでいる”一人だ。天文学の研究者の先生方と交流をし、プラネタリウムのレーザー・ディスプレイを手がけると共に、「夏休みの子供たちの天体観測キャンプに同行して、実際の星空にレーザーを向けて星を指し、星の位置・星座の構成要素などを教えています。夜空に向けてレーザーを発射した瞬間、子供たちから歓声が上がるその瞬間が、この仕事をしていていちばん嬉しいときです」。

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