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会社名シグマメルテック株式会社


地道な改良によりプロセスを極めた半導体洗浄装置で世界展開する



社長 箱ア 雅秀  
事業内容事業内容
半導体製造装置および電子機器製品の開発、製造、販売

  • 企業名 シグマメルテック株式会社
  • 創 業 1977年(昭和52年)4月
  • 所在地 〒215−0022 川崎市麻生区下麻生3−37−7
  • 電 話  044−987−9381   
  • 代 表  箱ア 雅秀氏(ハコザキ マサヒデ)
  • URL   http://www.sigmameltec.co.jp

  パソコン、携帯電話、ゲーム機などの様々な電子機器が小型化、高機能化するのに従い、半導体回路の集積密度は大幅に向上していく。半導体業界では、有名な「ムーアの法則」に従って「半導体の集積密度は1年半で倍になる」ペースで、激烈な開発競争が進行していく。その集積度を支える技術の一つが半導体に電子回路パターンを焼き付ける原版“フォトマスク”である。このフォトマスク製造装置を開発、製造、販売している会社が、麻生区にあるシグマメルテックである。変化の激しい業界で国内はもとよりアメリカ、ドイツ、イタリア、韓国、台湾、中国等、世界各国を相手にワールドワイドに展開する同社の事業について、昨年社長に就任した箱崎氏に聞いた。

● 半導体のフォトマスクに関連する設備の殆どを手掛ける

同社は、1977年に富士通の技術者であった神田氏(前会長)や高野氏(前社長)が独立して設立した会社である。富士通との関係を活かして、設立初期は生産設備の受託開発や設備に使われるセンサーなどの製造・販売をしていた。そうして関わりを強める中、半導体ウェハーのエッチング装置やフォトマスクの露光装置など半導体製造装置の受託製作が主要事業となった。半導体市場が拡大する中、設備1台が数十億円以上すると言われる露光装置には大手企業が進出したため、現在は事業領域をフォトマスク関連の付帯設備に定めている。国内の半導体メーカーやマスクメーカー向けの仕事が順調に拡大し、半導体の業界の流れに乗る形で会社は成長した。
 現在、同社では、マスク露光前に感光性樹脂であるレジストを塗布する「レジストコート装置」、露光後にレジストを焼き固める「ベーク装置」、薬液でレジストを洗い流す「現像装置」、回路を形成する「エッチング装置」、残留したレジストの「剥離・洗浄装置」など、多彩なラインナップを有している。プロセス開発担当者を配置して、先行開発した装置を全て自社ブランドで製造販売している。数十人の社員で世界の最先端の顧客を相手に多彩な装置の開発・製造をすることは、大変な負荷がかかると思われるが、「種類が多いように見えますが、私どもの装置は“大気中で薬液を使う”点で共通しています。洗浄プロセスは、薬液や条件などのパラメータ変更のような“重箱の隅をつつく”ノウハウ的な改良が重要で、ヒト、モノ、カネを投下しても劇的な改善を望めるものではないのです」と箱ア氏は当然のように語る。

● 専門性を活かした連携で変動する半導体業界を生き抜く


 箱ア氏は国内半導体製造装置大手の東京エレクトロンや海外半導体装置大手のApplied Materials社に於いてサポートエンジニアとしての豊富な現場支援キャリアを積み、2007年にシグマメルテックに入社した。シグマメルテック入社後はドライエッチャーなどオリジナル装置の先見性や、高い稼働率を維持する構造など、顧客から評価の高い技術が数多くあることを知った。しかし、「CS(顧客満足度)を上げていくにはどうすればよいか」をずっと考えてきた箱崎氏には、外に出てニーズを細やかに聞きとる努力が足りていない面も感じられた。ここ数年をみても、ファンドリー(請負で半導体チップ製造に特化した会社)に代表されるような海外企業のシェアが高まって業界の状況がガラリと変わり、従来と同じやり方が通じなくなっていた。「ファンドリーにシグマメルテックの技術を使っていただけるにはどうしたらよいか?」そんなことを考え続けた。
 
  そうして一つの結論に至った。「作るところ 考えるところ 売るところ」それぞれの強みをもったプレイヤーが機能することで、仕事が回る仕組みを作ることである。すなわちそれは、自社はその強みを活かす開発に特化し、不足する部分はワールドワイドに他社と事業連携することであった。半導体業界の設備投資額は大きく、その分の利益を拠出できないと事業は継続できない。総花的に展開することの危うさを感じ、自社の経営資源を有効に振り向けるためにも決断をした。

  第一弾として、2010年の7月から半導体装置大手で世界的販売網を有する米国のApplied Materials社(AMAT社)と代理店契約を締結した。マスク製造装置は半導体製造の重要プロセスであるため、何かトラブルが生じれば全体のボトルネックとなってしまう。そこで、きめ細やかな支援体制が求められており、サポートビジネスを強化したいApplied社との思惑が一致し、販売を任せている。今までは、日本語でコミュニケーションのとれる代理店を地域毎に抱えて販路開拓していたが、その情報量は十分でなかった。海外のAMAT社からは「どこの顧客が何に困り、どういうものを欲している」という情報が入ってくるが、そこに日本語を話す担当者はいない。AMAT社と密に連携し、顧客の設備検討のステージに乗るようにするためには何が必要かと尋ねれば「お客様の気持ちを第一に考えることです。そのためには、当社のエンジニアには顧客ニーズをもっと仔細に傾聴することを課しています。英語を駆使して外へ出ていけば、その情報からビジネスが開拓できるのです。右肩上がりの状況ではない現在、それぐらいの努力はしなくてはならないでしょう」と箱崎氏は答える。

● 洗浄ノウハウを一つ一つ積み上げて新たな展開を目指す 


  社長就任後は、装置製作の得意な企業との連携も進めている。まだ本格的な外注化はしていないものの、可能なところは外部に協力を委託しながら徐々に開発への比重を高めていくつもりだ。そのために、昨年から組織も見直した。「全社一丸となって、出る杭は伸ばす」という方針の下、従来の年功序列をベースにした部を廃止して、新たにグループ制を採りグループリーダーを選任した。リーダーを中心にグループの中でやること/やったことを徹底的に考え、不具合再発防止の改善活動も開始した。メンバーだけでは考えられない点については、箱崎氏が自らの経験を紐解き、一つ一つ説明してサポートしている。洗浄分野で革新的に変わる新プロセスは、当面見えてこない。遠回りかもしれないが、一つ一つを積み上げることでしかブランド向上はできないと思っている。昨年度、川崎市新技術・新製品等開発補助金を得て、「次世代半導体用マスクの無欠陥現像装置の開発」を進めている。現像工程でフォトマスク背面から超音波を与えてダメージを少なくしつつ音圧を伝えて除去能力も向上させるという同社のノウハウが結集された装置を実現することができた。

  このように開発を積極的に進めながらも、箱崎氏は、半導体業界の将来に決して楽観視はしていない。同社として不変の方針は、「洗浄プロセスからは外れない」ことである。今後は、洗浄をコア技術とした異分野への進出も視野に入れている。企業連携という新しいエンジンを得て、同社は次の成長を目指す。

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