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会社名テクノガード株式会社


溶けない薬物を独自開発のナノ化技術で薬剤に変える企業



社長 鍋田 喜一郎  
事業内容事業内容
ナノエマルジョン、ナノソリューション、ナノパウダー、ナノ非水技術を応用した
薬物中間体と製剤の受託研究開発および製造(製造部門は別会社移管予定)

  • 企業名 テクノガード 株式会社
  • 創 業 1988年(昭和63年)
  • 所在地 本社・第一研究室 川崎市中原区丸子通1−653−7−205
  • 電 話  044−435−6273
  • 代 表  鍋田 喜一郎(なべた きいちろう)
  • URL   http://www.technogrd.co.jp

  「当社の強みは、有機物をナノ化するニッチな技術にある。いまだに国際的なナノテクノロジーの展示会でも無機物のナノ化技術はたくさんあっても有機物のナノ化技術をやっている企業はほとんどない」と語る鍋田社長は、製剤メーカー研究員時代の「水に溶けない抗炎症作用を持つステロイドを水に溶けるようにするにはどうしたらいいか」という研究をきっかけに製剤化技術に取り組む。
「脂肪である油を牛乳のように水に均一に分散した栄養補給の脂肪乳剤があるのを知っていたので、その乳剤を使えば水に溶けるステロイド製剤は出来ると思った」と当時を振り返る。

● 人と違った「逆の発想」が世界初のステロイド製剤を生む


  鍋田社長は人と違った「逆の発想」が大切と言う。乳化剤は、油と水を分離することなく均一に分散できる物質である。水に溶けないステロイドについても油に溶けるようにすれば乳剤化できると「逆の発想」で、ステロイドが油に溶ける量を0.01%から40%に向上した。その結果、水に分散するステロイド製剤の開発に成功する。これが世界で初めて販売されたDDS(ドラッグデリバリーシステム)製剤となった。DDSとは、薬物を効率的に患部に搬送するシステムである。その為に、薬物を改良するか、薬物を搬送する材料を混ぜて、製剤(薬剤)化する。

  医薬品メーカー在籍時に3つのDDS製剤を開発した鍋田社長は、多くの特許を取得した。3つ目に開発した末梢血管を拡張して血圧降下作用を持つプロスタグランジン製剤が大当たりして、年間300〜400億円が会社に入った。しかし、サラリーマンだった鍋田社長には一銭も入らす、「バカバカしくなって自分で会社をやりたい」という気持ちが日に日に増していった。
 
  現在、この系統のDDS製剤は世界で4つ存在する。そのうちの3つを鍋田社長が開発した。会社を退職する際に、前職の医薬品メーカーに提出した誓約書により5年間はDDS製剤の研究は出来なくなってしまう。その為この時期には、薬物を粉末化するナノ化技術の研究開発に取り組んだ。
しかし鍋田社長が退職した後5年経過しても、DDS製剤の研究開発が全く進んでいなかったので、知恵と技術が必要なDDS製剤の研究開発を当社にて再開した。

● 顧客ニーズに応じた新たな機能をナノ化技術で次々と実現する 


  従来、牛乳のような白く濁った液状の乳剤型製剤(エマルジョン)は、粒子径が200ナノメートル(=0.2μm)程度の為、肝臓や腎臓などに蓄積し、有効な治療結果が得られない場合が多々あった。そこで、当社で粒子径を更に小さくする独自技術を開発した。これがナノエマルジョン技術であり、注射製剤として新たな展開が得られた。
さらに粒子径を10ナノメートル(=0.01μm)以下まで小さくコントロールできる技術を開発し、ナノエマルジョンの透明化に成功した。これがナノソリューション技術である。注射剤の変質や汚染状態の判別が乳白色のエマルジョンでは難しかったが、この透明化技術により変質や汚染が分かりやすくなった。

 また水に不安定な抗ガン剤などは水が無いほうが薬物として安定であるため、ナノエマルジョン状態から水を除去して粉体化する技術を開発した。これがナノパウダー技術である。しかし、FDA(米国食品医薬品局)では粉体化した抗ガン剤は飛散の問題が発生して、細胞毒性など人体に悪影響を及ぼすと指摘された。そこで、抗ガン剤に水を添加すると10秒以内に溶ける粘性液を開発した。これがナノ非水技術である。

 当初は、注射薬剤の受託開発を主要事業としたが、現在は、ナノエマルジョン技術、ナノソリューション技術、ナノパウダー技術、ナノ非水技術等のナノ化技術を活用した中間体製造に方針転換した。顧客から提供された薬物を原料に、当社でナノ化技術により中間体を製造する。その中間体を顧客は自社で注射剤、錠剤、点眼剤、吸入剤、内用剤、外用剤などに製剤化して販売する。まさにニッチ(隙間)を埋めるのがナノ化技術だ。

● 技術で苦しむのが当たり前、技術の壁を乗り越えることを楽しむ


  鍋田社長は大学で化学工学を専攻し、「膜分離技術」を研究し、原子炉化学工学を専攻した大学院でも、「放射性廃棄物の膜分離」を研究した。この「膜分離技術」を活かすために人工臓器メーカーに就職し、活性炭のマイクロカプセル化や化粧品の乳剤化を研究した。その後、製剤メーカーに移籍し、ステロイド製剤などの製剤化技術を開発した。共通するのは物質境界間の移動現象を研究する「界面化学」だ。

 「技術にウソをつかないこと」が当社の経営理念だ。「社員には良いことは後でいい。失敗したことは隠すなと言っている。失敗したものは絶対に残しておけ。10年もやっていると必ずうまくいく」と研究に対する心構えを社員に説く。
「いい人がいればいつでも採る」という社員の採用基準は「経験、やる気、和」。重要なのは「和」。人数の割には仕事量が多いので助け合いができる人材の採用を希望している。 「新しい技術で行き詰まるのは当たり前で、あまり苦労とは感じていない。なんとかなるさ」とむしろ技術の壁を乗り越えることを楽しんでいる。創業から現在まで失敗も多かったが、無駄は何一つない。その一例が医薬機械を洗浄する洗浄剤事業。商売にこそならなかったが、汚れを落とすという仕事を通して、洗浄剤が汚れ物質を溶解するメカニズムを研究したことが現在のナノ化技術の研究に役立っている。

  鍋田社長は、小学校入学前に静岡県清水市から川崎市中原区に引っ越して、川崎市で多感な時期を過ごした。「たまたまいい物件が空いた」という現在の本社研究室へは、住まいのある世田谷区から徒歩か自転車で運動がてら通勤する。「健康に良くて、タダが一番」と笑う。
「今後はモノづくりがもっとしたい」と製造分野を強化する計画だ。当社はあくまでも研究開発を主体とし、工場は別会社で設立する。その理由は、工場の繁忙やトラブルが原因で研究開発がストップするのを防ぐためだ。鍋田社長の頭の中では、既に世界最小かつ世界最高機能のナノ化中間体製造工場の建設構想が膨らんでいる。

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