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元気な起業家紹介
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会社名有限会社日成工業


汎用機からNCへと親子で繋ぐ真似のできない微細加工



社長 野田 照男 氏 
事業内容事業内容
樹脂・金属の各種試作品製作、精密機械加工

  • 企業名 有限会社日成工業
  • 創 業 1978年(昭和53年)4月
  • 所在地 〒211−0051 川崎市中原区宮内2−24−1
  • 電 話  044−797−2223
  • 代 表  野田 照男氏(ノダ テルオ)
  • URL   http://www.nissei-kogyo.net

   「うちは、仕上げや研磨などのローテクとNC(数値制御)加工などのハイテクの両方をできるから強いのです」と力強く語る有限会社日成工業の野田宜志営業部長。その横では父の照男氏(同社代表取締役)が黙って頷いている。この二人と工場長(社長の弟)のたった3人で、1mm以下のネジ穴加工、特殊な樹脂に施した微細なスリット加工、複雑形状部品など数々の難しい微細加工や複合加工を実現している同社は、家族経営の見本のような会社である。

● プラスチックの応用範囲の広さを見越して起業


  日成工業は、大田区のプラスチック加工会社に勤務していた野田社長が、1978年に独立して設立した会社である。これからは様々な部品が軽量化される傾向にあり、プラスチックの応用範囲は拡がることを見越しての創業であった。自分のことを「口下手」と語る野田社長だが一念発起して大手メーカーへの飛び込みや、仲間うちへの営業も行った。設立当初は売上が殆ど無い状態が続いたが、それでも「モノを作るのが好きなんです」という野田社長と工場長は、汎用機でNC並みの加工ができたため評判を呼び、同業者からも仕事が回ってきた。そして、一度仕事を受けた取引先からは、リピートオーダーが返ってきて順調に業績は伸びていった。しかし、そんな順風満帆な状況でも野田社長には“危機感”があったという。

  汎用機の技能が高かったが故に、マシニングセンターやNC旋盤などの自動機の導入が遅れていた。今後、他社のIT化が進めば仕事の流れが変わってしまう。そんな危機感が社長を動かし、長男の宜志氏を説得して、2001年に入社させる。とはいえ、新卒で証券会社に営業職として入社した後、出版社に移った野田部長は、コンピュータの知識はあっても機械加工やCAD(コンピュータによる設計・作図)などの経験は皆無であった。入社当初は「営業とコンピュータの手伝いぐらいならば」という軽い気持ちであったが、野田部長は覚悟を決めて切削加工に取り組んだ。社長が汎用機を扱う姿を見て、自己流で消化する毎日が続いた。そして、社長のノウハウに自分なりの解釈を与え、工場長の治具を受け継ぎ、自動機に落とし込んでいく。使い方や経験だけではなく、夜間は毎日分厚い専門書を紐解き、裏付けとなる理論も勉強した。教育には投資を惜しまないことにして、有料のセミナーで5軸加工の勉強などもした。

  そうして自動機をマスターしたことは同社の経営に大きなインパクトを与えた。何よりも家族経営で不足しがちなマンパワーを補填し、「機械が稼いでくれる」からである。一日の作業終了前に加工データを設定しておけば、夜通し機械が動いて、翌朝には加工が終わっている。うまくやりくりして2台同時に機械を使えれば、効率は2倍となる。野田部長は、「タイムイズマネー」を意識して機械を如何に効率的に運用していくかを考えながら、日々忙しく動いている。

● 家族経営でも甘えない 


  同社では、各自の目標を決めて実行することを相互に課している。機械ごとに分業すると実力が見えにくくなるため、自分の仕事は一貫してやりきるという原則を貫いている。したがって、顧客別に仕事が分かれ、各自で仕上がりに責任を持たざるを得ない形となっている。「社内で競争しているようなものです。競争をしたり、数字に追われる緊張感が好きなのかもしれません。当然、他社さんとも競争していますし、どこにも出来ない仕事が回ってくると嬉しいですね。お客様には他社では見積もりできない仕事だけをいただけるようお願いすることもあります」と野田部長は言う。最初に就職した証券会社では1時間毎にノルマがあり、それをやらないと食事もできなかったという経験から、厳しく自分を追い込んでいる。3次元加工ができなかった頃、「10年後には複雑な形状のインペラ(羽根)を5軸加工で削ってみせる」と誓い、有言実行した。

 そんな同社は、品質への気配りが徹底している。同社では、朝昼晩と1日3回掃除機をかける。切削加工業でありながら、加工くずが社内には目立たない。そして、「一番気を使っているのが、梱包です」というように同社では、仕事の仕上げとしての見せ方を重視している。検査データを添付して、きれいにパッキングして、最後に良い箱に入れて納品している。配送で壊されることを恐れて、遠くのお客様まで直接持参したこともあった。単に加工だけの精度を上げるのでなく、トータルコーディネートして品質や仕事の質の高さがお客様に伝わる納め方をしている。

  サービスとして、量産する場合のアドバイスなども出来る限りするようにしている。同社では試作のみの請負のため、量産は範囲外であり必要のないことかもしれない。しかし、日成を通せば安心という気持ちを顧客に持ち続けてもらうためにも、損得関係なく必要な情報は惜しみなく提供している。

● 時間や在庫の管理を強化し、顧客のために全力を尽くす 


 “新生”日成工業をスローガンに、野田部長には企図していることがある。その一つ目は、大企業の発想を中小企業に持ち込んだ時間管理である。「管理がコストダウンにつながります。いくらの仕事をいつまでに仕上げるという発想なのです」と野田部長が先頭を切って進めている。そのためには刃物や材料の管理や図面管理などを徹底して、探す手間を省いて即座に仕事にかかれるようにしている。また、長い間に在庫となっていた加工後の残材の管理も推し進め、財産として活用することを始めている。

  もう一つは、発想を変えることである。「できない理由を探さない。お客様のために自分たちの全力を尽くして力になりたいという気持ちが前に出ることが大事なのです」と野田部長は語る。微細加工では、高額の微細な刃物を使う。難しい仕事では、何本も折損して原価割れしながらも何とか仕上げることもあった。そうやって、顧客との信頼関係を維持してきた。そのためにも同社では、責任をもって応えられる顧客数を限定している。しかし、一社依存率を高くすることはない。一時期は、大手の医療メーカーだけで7割近い売上を上げていたこともあったが、バブル崩壊後全く受注がなくなり苦労した経験から、顧客ポートフォリオには注意している。これからも家族の結束を高めつつ、刺激を与えあいながら、日成工業は高いモノづくり力を維持していくことであろう。

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