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会社名株式会社 アライ・メッドフォトン研究所


大学発ベンチャー!レーザ光による先端医療機器を開発



社長 荒井 恒憲 氏
事業内容事業内容
医療機器の開発、製造・販売のライセンス

  • 企業名 株式会社 アライ・メッドフォトン研究所
  • 創 業 2009年8月
  • 所在地 〒211−0063 川崎市中原区小杉町1−403−60小杉ビルディング新館904号室
  • 電 話  044−328−5723 
  • 代 表  荒井 恒憲氏(アライ ツネノリ)
  • URL   http://www.arai-medphoton.com
 
  アライ・メッドフォトン研究所が不整脈の治療向けに開発を進めているレーザカテーテルは、革新的な技術として世界中から注目を集めている。提携する企業や大学との共同開発を推進し、6年後に薬事法の許認可を得ることを目指している。順調に開発が進んで商用化されれば、『隕石が落ちてくるのと同じくらい、インパクトのある大事件』になるという、当社の取り組みを紹介しよう。

● 当社を核として、産学連携や医工連携が円滑に機能 


  アライ・メッドフォトン研究所は、慶應義塾大学理工学部教授である荒井恒憲氏の長年にわたるレーザ治療器開発の技術的な知見、及びアイデアを技術シーズとして、2009年に設立された大学発ベンチャーである。荒井氏は当社の会長として、技術開発の責任者を務めている。一方、社長の二見精彦氏は、大手医療機器メーカーであるテルモの取締役や慶應義塾大学の産学コーディネータなどを歴任、医療関連の業界に幅広い人脈を持ち、当社と提携先企業との橋渡し役を担っている。
 多くの大学発ベンチャーが事業に失敗して姿を消していく中、当社は不整脈の治療向けレーザカテーテルの開発を一歩一歩着実に進めている。レーザ装置、薬剤、カテーテル、システム等を開発する各メーカーとの協力体制に加え、慶應義塾大学の理工学部や医学部との親密な連携が当社の強みだ。特に、医学部呼吸循環器内科の組織を挙げての協力を得て、実証実験が順調に積み重ねられている。このように、当社を核として産学連携や医工連携が円滑に機能していることが、最も重要な成功要因の一つとなっている。
 「私はレーザ治療器の開発に35年近く携わっています。また、二見社長は医療機器業界40年の大ベテランで、業界では有名人です。我々が20歳若かったら、おそらく皆さんから相手にされなかったでしょう。医療分野で信頼してもらうには、“グレーヘアー”による高い信用力が欠かせません」と荒井会長。笑顔をみせるお二方は、共に立派な銀髪だ。そんな当社は社員4名の少数精鋭で運営されている。「我々のような研究開発型のベンチャー企業では、普通の人の2〜3倍の成果を出せる高機能な人材が必要です。当社には意欲的で、優秀な専門家が揃っています。例えば、レーザカテーテルの構造設計を始め、研究開発を中心となって進めている伊藤さんは、慶應の理工学部を主席で卒業された工学博士です」と荒井会長は胸を張る。
      

● 世界初! 革新的なレーザカテーテルの開発に挑戦 


 頻脈性不整脈の患者数は、米国でおよそ400万人、日本で200万人といわれている。そのうちの約半数を心房細動の患者が占めており、高齢になると発症確率が急増する。心房細動とは、異常電気信号により、左心房が速い興奮を繰り返す頻脈性不整脈のこと。従来、重篤な心房細動に対しては、カテーテルの先端から高周波を発生させ、その熱エネルギーを心筋組織に加えることで異常電気伝導遮断ラインを作成する治療が行われている。しかし、この治療法では、熱による副作用が避けられない、近接する臓器への悪影響が懸念される、再発率がいまだに高い、などの問題がある。
 一方、当社で開発中のレーザカテーテルによる治療法は、癌の光線力学的治療(Photodynamic Therapy)から着想を得たという。この治療では、光感受性薬剤を投与した後、光ファイバーを内装したカテーテルの先端から心筋組織に赤色レーザを照射して、光増感反応を起こすことで、電気伝導を遮断して行われる。治療に熱を使わないため、副作用が少ないのが特徴だ。このため、従来の治療法の問題の多くを解決することが可能になる。2009年度に、ブタを用いた動物実験において急性期・慢性期の治療効果を実証。2010年度には、大型成犬を用いた運用実験を開始した。現在までに大型動物による実験を60件程度行い、治療効果を実証している。また、2012年10月には、これまでの研究成果が評価され、科学技術振興機構(JST)のA−STEP“本格研究開発ステージシーズ育成タイプ”に採択されている。
 今後は2年以内に臨床研究を開始し、6年後に薬事法の許認可を得て、上市する計画だ。ただし、難しい課題がたくさん残されており、許認可を得て医療現場で使用されるようになるまでには、いくつもの高いハードルが存在する。例えば、レーザカテーテルでは、先端がより滑らかに動くようにするといった操作性の改良、光の照射性や電極の取り方の工夫など、まだまだ解決すべき課題は多い。また、治療時に投与する光感受性薬剤は適用拡大治験が必要であり、大きな費用がかかるという。
 「医療技術の向上には、薬と治療器を組合せた治療が欠かせません。製薬業界と医療機器業界の関係強化に、当社が一役買えればと思っています」と荒井会長は開発の意義を解説する。
 

● 高度な医療機器の開発を通じて、QOLの向上に貢献 


  不整脈治療器の世界市場は、10年後には8千億円の規模に成長すると予想されている。この市場でシェアを握るべく、米国の大手メーカーは技術開発に数百億円を投資している。そんな中、投資資金が圧倒的に少ない当社で開発するレーザカテーテルが商用化され、広く国際市場に普及すれば、歴史的な快挙であり、産業界にインパクトを与える大事件となる。「日本の医療機器産業は欧米に比べて診断器技術では健闘しているものの、治療器技術では立ち遅れています。高度技術を用いた治療器は、ほぼ全部を輸入に頼っているのが現状です。残念ながら、産業界は『死の谷』と呼ばれる、研究成果を実用化するまでのリスクから逃げています。当社が国産の高度治療器開発の成功事例を作ることで、産業界に奮起してもらえるのではないかと期待しています」と荒井会長は言葉に力を込める。
 一方、産業界へのインパクトのみならず、医療の質的向上という観点からのインパクトも大きい。レーザカテーテルは熱を出さない治療法であるため、副作用が少なく患者のベネフィットは向上する。加えて、不整脈患者が脳梗塞を発症する確率は高いことがわかっており、不整脈の適切な治療は、脳梗塞で倒れる患者を減らすことにもつながる。したがって、レーザカテーテルの商用化は国民の健康増進や医療費・介護費の抑制に寄与し、国民のQOL(Quality of Life)の向上に貢献することになる。
 「医師の先生方に早く使ってもらえるように開発を進めることが重要です。そうすることで適用症例が広がり、心房細動だけでなく、他の不整脈の治療にも使える可能性が出てきます。まず日本で普及させ、次に先端医療機器の導入に積極的なヨーロッパ、さらに世界中へ普及させていきたいと考えています」と荒井会長は将来の事業構想を穏やかに、しかし力強く語る。
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