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会社名焼結合金加工 株式会社


得意先から必要とされる会社づくり 徹底した品質・生産・納期管理、そして感謝の気持ち



社長 高柳 仁美
事業内容事業内容
自動車部品・産業機械部品向け焼結合金・鋳物等の精密切削加工

  • 企業名 焼結合金加工 株式会社
  • 創 業 1966年(昭和41年)4月
  • 所在地 川崎市中原区宮内1‐20‐60
  • 電 話  044‐755−2815 
  • 代 表 高柳 仁美 (タカヤナギ ヒトミ)
  • URL  http://shouketugoukin.co.jp/
 
 自動車産業は、製品出荷額・就業人口ともに全産業に占める比率が高く、日本の経済を支える基幹産業と言われている。世界的な販売の主戦市場は、需要が旺盛な新興国へと移り、メーカー各社は海外での現地生産を強化してきた。しかし近年、円安を背景とした国内回帰が進み、国内生産基盤の強化が進められている。その波は焼結合金加工株式会社にも押し寄せている。

● 焼結合金を5/1000mm以下の精度で仕上げ命を吹き込む  


 焼結合金とは、鉄、銅、ニッケル等の複数の金属の微細粉末を、金型に入れて圧縮成形し、それを1150〜1300℃の高温で焼結した合金のことである。一般的に“合金”と呼ばれるものは、複数の金属を溶融して作られているが、金属を溶かさず、陶磁器のように焼き固めているのが焼結合金である。金型を用いて成形するため、部品の経済的な大量生産に適しているほか、複雑な形状や、高い寸法精度が求められる部品の製造に適した特長を持つ。こうして作られた焼結部品は、金属本来の強度や剛性、耐熱性を備えているため、自動車部品や産業用機械等に幅広く使用されている。
 焼結合金加工株式会社は、その名前のとおり、主に焼結合金の加工を手掛ける市内企業である。焼結して作られた焼結部品は、切削加工や研磨加工による“仕上げ”が行われるのが一般的であり、同社では、主にNC旋盤を使った切削加工により、5/1000mm以下の高い寸法精度で部品を仕上げている。同社が手掛ける加工品は、ギア、スプロケット、ピストンヘッドといった自動車部品が中心だが、複写機の用紙送り部品や食肉加工機の駆動部品等の分野にも同社の加工品が使用されている。
     

● 会社存亡の危機を得意先が救う


 同社の創業は1966年4月、今年4月に50周年を迎える。その長い歴史の中には、良い時期があれば苦しい時期もあったらしい。高柳社長にこれまでの歴史を振り返ってもらった。
 「自動車業界は、生産拠点の海外移転が進みましたが、近年では国内の地盤固めの見直しが進められています。焼結部品全体の生産量は、ピーク時と比べると減少しましたが、現在は、自動車部品の国内量産需要が高まっているため、経営は比較的安定しています。かつて、オイルショックやリーマンショックの際には、売上が激減し、会社存亡の危機を迎えたこともありました。しかし、“従業員の削減だけは何としてでも避けたい”、との先代社長の一心で、従業員を解雇することなく、今日まで会社を存続させることができました」
 同社の経営理念の一つに、“会社を支える全従業員を大切にする”という言葉が掲げられている。“言うは易く行うは難し”の諺のとおり、会社の存亡の危機にこれを貫き、会社の存続と雇用を両立させるのは容易ではなかったはずである。どのようにして苦難を乗り越え、従業員の雇用を確保し続けてきたのだろうか。
 「リーマンショックの危機の際には、メインの得意先と掛け合い、一時的な支援をお願いしました。当社の仕事は、得意先から焼結部品を預かり、それを加工して賃金を得る流れですが、部品一つあたりの加工単価を30円から35円といった具合に引き上げてもらったのです。多いものでは月産20万個という部品もありましたので、他の部品を合わせると大きな金額になります。当社が生き残ることができたのは、こうした得意先による支援があったからです」
   

● 得意先から必要とされる経営戦略 


 得意先から、加工単価の引き下げを求められたとの話はよく耳にする。しかし、単価の引き上げに応じてもらった、という話は中々聞かない。なぜ、その得意先は加工単価の引き上げに応じたのだろうか。そしてなぜ、同社に救いの手を差し伸べたのだろうか。その理由を高柳社長に伺った。
 「当社からの支援要請に対して、得意先のご担当の方が親身になって面倒を見てくれました。恐らく、親事業所に於ける創設時よりの土壌が、仕入先を大事にする伝統と、当社の捨て難い加工技術を評価して頂いたのではないかと思います。焼結合金を加工する企業は元々多くはありません。それは、特殊な刃物とそれを扱うノウハウが必要になるからです。また、自動車部品は、得意先からもユーザーからも厳しい品質管理、生産管理、納期管理が求められます。当社の場合、加工機の改良や、独自に製作した治具で生産性を高めています。また、品質に関しては、加工現場での一時検査、加工後の抜き取り検査、場合によっては全数検査を実施して、不良品を出荷しない環境と体制を整えていました。品質や納期管理に関する書面も、ユーザーの求めに応じていつでも速やかに提出できます」
 つまり、他社には簡単に真似することができない、加工技術とノウハウを蓄積し、独自の工夫で生産性を高め、徹底した品質管理で確かな製品を作り出し、計画的な生産・納期管理で顧客の要望と信頼に応え、他社との差別化を図ること。それが得意先から必要とされる要件であり、苦境を生き抜く経営戦略と言えそうである。

● 得意先に選ばれたもう一つの背景   

 
 高柳社長は昨年4月に同社の代表取締役に就任した。入社は今を遡ること28年前、それまでは横浜でインテリア雑貨店を経営していた。まったく畑が異なる製造業の世界に飛び込んだのは、高柳社長の婦人が先代社長の令嬢だった縁による。
 「当初は経理を担当するとの話を聞いていましたが、入社するといきなり工場長を任命されました。引き継ぎはNC旋盤の操作方法の説明を受けただけです。右も左も分からない状況でしたので、連日、夜を徹して技術書を読み耽りましたが、書いていることが理解できません。講習会に参加しても言葉すら分かりません。それでも必死になって家族や従業員のために勉強しました」
 高柳社長は熱心な努力家である。しかしそれだけではない。取材当日に体調を崩してしまい、欠席予定だった高柳社長が我々を出迎えてくれた。きっと無理をされていたと思うが、最後まで楽しそうに取材に応じ、工場まで案内してくれた。しかも、取材事項の回答書までご自分で作成し、用意されていた。そのような社長にはめったに出会えない。
 温和で聞き上手、人のために誠心誠意尽くす方、それが高柳社長にお会いして受けた印象である。
 恐らく、前述の得意先の担当者の方も高柳社長のそんなお人柄に触れ、“これからも一緒に仕事がしたい”、“そのために何ができるだろうか”、そんなことを考えたのではないだろうか。支援の背景の一つに、高柳社長の存在であるような気がした。
 “得意先に恵まれたことを肝に命じ、感謝の気持ちを忘れてはいけない”という教えが同社にはしっかりと継承されているらしい。自動車生産の国内回帰の波は同社にも押し寄せ、得意先から生産体制の大幅な増強を求められている。高柳社長は現在、感謝の気持ちを込めて体制強化に取り組んでいる。

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