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会社名VECTOR 株式会社


デザイン力を活かし、人に優しいサービスロボットの実用化を目指す



代表取締役社長
小山 久枝
事業内容事業内容
工業デザイン、商業デザインの企画、製造、販売、人材の教育、指導及び育成事業

  • 企業名   VECTOR株式会社
  • 創 業    2010年(平成22年)4月
  • 所在地   川崎市麻生区片平4−15−10
  • 電 話     050−5865−9895
  • 代 表    小山 久枝(コヤマ ヒサエ)
  • URL     http://vector111.com

 VECTOR(ベクトル)は、製品のコンセプトづくり・デザイン・試作を得意とするベンチャー企業である。自動車のデザインを始めとして、介護やロボットなどの分野を中心に、豊富な実績とノウハウを持っている。特に、案内ロボットや高齢者生活支援ロボットなど、私たちの生活に身近なところで使用されるロボットの開発において、注目を集める元気企業を紹介しよう。

● 介護用品を開発し、ベンチャー企業を設立 商品化第1号は『KIS』認定を取得


 VECTORは、専門書の編集者であった小山氏、大手自動車メーカーのモデラーであった矢崎氏、カーデザイナーでカーオブザイヤーを受賞したこともある大熊氏の3人によって、いまから6年ほど前の2010年に設立された。ベクトルという社名には、長年、それぞれの分野で活躍してきた3人の個性を活かしたいという想いが込められている。
 3人の関係は、矢崎氏と大熊氏がモーターショーのコンセプトカー開発の仕事仲間、小山氏と矢崎氏が中学時代の同級生という間柄。そして、会社設立のきっかけは、介護用品として開発した『らくらくボード』を販売するためであったという。
 『らくらくボード』は車椅子とベッドの間の人の移乗をスムーズに行うための用具である。この商品は介護の現場で働いたことがある矢崎氏の経験を踏まえて開発したものであり、移乗の際に人を持ち上げる必要がないため、介護を受ける側、介護する側の双方から喜ばれている。本商品は、利用者にとって最適な福祉製品のあり方を示した『かわさき基準(KIS)』の認定を受けている。
 「介護の世界はたいへん複雑で、流通チャネルが多段階になっています。福祉施設で『らくらくボード』を説明して気に入ってもらっても、問屋を通さないと買っていただくことができません。チャネルの最上流の問屋までたどり着き、商品を扱っていただけるよう説得すること自体、たいへん骨の折れる仕事でした」と小山社長は新商品を拡販する際の苦労を振り返る。

● サービスロボットの開発に乗り出し、コンシェルジュロボットの商品化を目指す


 一方、VECTORは自社が持つデザイン力を活かして、サービスロボットの開発にも乗り出している。2012年度には、東京都立産業技術研究センターと共同で、着せ替えロボットを開発している。

 このロボットの胴体部分は、正面が透明なアクリル板でできていて、支配人、ナース、ベルボーイ、警備員など、さまざまな制服をプリントした紙をアクリル板の下に差し替えることで、ロボットを配備する現場の多様なシチュエーションにあわせることが可能だ。また、ロボットの顔は液晶画面になっており、表情を画像で表示できるだけでなく、タッチパネルとして使用できる。
 「着せ替えロボットは案内ロボットとして、実証実験を進めています。顔のタッチパネルを用いて、来場されたお客様にアンケートに答えてもらっています。たとえば、今日の昼食の予算や、食べたいものは何か、などの質問をタッチパネルに表示し、それに対する回答を画面から選択してもらいます。それを踏まえて、おすすめのレストランやメニューを紹介した紙を、ロボットがプリントアウトするといった具合です。胴体の服と案内のコンテンツを変えることで、1台のロボットがいろいろな役割を果たすことができます」と小山社長は解説する。
 1台のロボットを商品としてまとめあげるには、ハード面とソフト面でいろいろな技術やノウハウが必要となる。当社は大学・研究所・メーカー等と緊密に連携しながら、かつ国や自治体の補助金を活用しながら、さまざまなタイプのサービスロボットの開発や試作を重ねてきた。
 ロボットに搭載された各種の機能のうち、特にユニークなのは、人の二本の脚を感知・記憶して追跡する機能だ。周囲270度の検出が可能なレーザーレンジファインダを用いて、人が歩き回っても、それに追従していくことができる。この機能により、認知症患者の見守りを始めとして、幅広い用途にロボットを利用することが可能となっている。
 20157月には、ロボットの開発を加速させるため、デザイン・試作・量産・販売を一貫して行うSOCIAL ROBOTICS(株)を、首都大学東京や菊池製作所等と共同で設立した。そして、SOCIAL ROBOTICSが中心となってコンソーシアムを組み、2020年の東京オリンピックを見据えて、案内ロボットの商品化に向けた開発を進めている。コンソーシアムには6つの企業と2つの大学が参加しており、それぞれの得意分野を活かしてコラボレーションを行っている。
 コンソーシアムで取り組む『観光案内をサポートするコンシェルジュロボットの開発』は、東京都ロボット産業活性化事業の公募型共同研究開発事業に採択されており、20189月までに、本ロボットの開発を終える予定である。商品化に向けた大きな課題の一つは安全認証を取得すること。たとえば、防水や防塵等の性能、子供がぶら下がった時の安全性など、さまざまな安全性能を確保する必要がある。なお、コンソーシアムには、コンシェルジュロボットを採用する顧客も参加しており、ロボットの市場への導入を確実に行うことを目指している。

 

● 広がるサービスロボットの可能性とは?


 「サービスロボットの開発には、多様な技術とノウハウが必要であり、当社はそれらをまとめる役割を担っています。私たちがロボットのコンセプトづくり(提供するサービスの内容等)やデザインなどを担当し、それを実現させるために必要となる、さまざまな要素技術をほかの企業の皆さんにお願いすることで、人の役に立つロボットを提供していきたいと考えています」と小山社長は強調する。
 案内・介護・見守り・防犯等のいろいろな分野において、ロボットは多くの可能性を秘めており、将来的には以下のようなことが可能になるという。まず、観光案内でボランティアのガイドをサポートするロボット。ロボットが多言語で対応したり、AR(Augmented Reality:拡張現実)を用いて店舗の情報を提供したりすることが可能になる。
 次に、介護施設の現場で働く人の負担を軽減するロボット。汚れたオムツを回収するのはたいへんな作業であるが、ロボットが人の後をついてきて、汚れたオムツを運んでくれる。これについては、近々実験をスタートさせる予定だ。さらに、認知症の患者の後をついてまわる見守りロボットなど。

 「ロボットが完全に人に置き換わるのは難しいですし、人と同じように仕事するのは難しいです。当社は人と共同作業を行うことで、さまざまな作業をサポートするロボットを実用化することで社会に貢献していきます。また、これからの超高齢化社会に向けて、高齢者の自立を支援するロボットの開発も私たちの使命だと感じています」と小山社長は将来を見据える。

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