製造業の技術を事業化するR&Dマネジメント支援
第144回 かわさきビジネス・アイデアシーズ賞
会社紹介
私たちは、研究開発をもとに新たな事業創出に取り組む企業に対し、伴走型の支援を提供する企業です。単なるコンサルティングではなく、約300名の登録研究者・技術者の知見を活かし、企業と研究者の架け橋となることで技術課題の解決を目指します。この事業を立ち上げたきっかけは、元研究者である自分自身の原体験にあります。私はもともと化学メーカーで半導体材料の研究開発に携わり、その後、大学でも研究に関わる仕事をしてきました。その中で「企業と研究者が自然につながれるようになれば、もっと面白いことができるのに」と感じるようになったのです。企業の研究開発部門と研究者が、お互いざっくばらんにアイデアを出し合い、共に未来を企んでいく風景を見たい。そして新たな技術や価値が生まれる瞬間に立ち会ってみたい。そんな想いが次第に強くなり起業を決意するに至りました。製造業は大量生産の時代から、イノベーションの時代へと大きく変わろうとしています。こうした移り変わりの中で、研究開発の事業化に課題を感じている企業も多いでしょう。私たちはこれまでの経験とネットワークを活かし、悩める企業を全力で支援していきます。
基本情報

株式会社A-Co-Labo
〒〒105-6417
東京都港区虎ノ門1丁目17−1
ヒルズビジネスタワ 15階
受賞したビジネスに至った経緯
大学で研究員をしていた頃、正直なところ「やりたい研究ができるのは楽しい。でもこのままでは食べていけないかもしれない」と感じていました。実際、研究者が十分な収入を得て安定した暮らしを維持していくのは、決して簡単なことではなかったのです。だからこそ「研究者が安心して働き続けられる社会にしたい」という想いが、少しずつ自分の中で大きくなっていきました。そんな中、気心の知れた研究者の仲間に本事業の構想を何気なく話してみたところ「それ、アクセラレーションプログラム(起業家向けの支援プログラム)に出してみたら?」というアドバイスをもらいました。そこで経済産業省が主催するプログラムに応募してみたところ、ありがたいことに採択され、さまざまな学びや出会いを得ることができました。一方で、私のアイデアに対して非常に厳しいフィードバックもいただきました。「事業として見たときに血が通っていない」と言われたこともあります。でも、そのことが結果的に転機になりました。私のアイデアが本当に社会に必要とされるものになるかを見極めるため、関連する企業や知人などあらゆる関係者にアプローチし、徹底的にヒアリングを重ねたのです。その中で「法人としてサポートしてくれるなら検討してもいいよ」と声をかけてくださる企業がいくつか現れました。その言葉を受けて初めて「これは本当に形になるかもしれない」という手応えを感じ、起業というチャレンジに踏み出す決意を固めました。
サービスの特徴

私たちの強みは、企業のR&Dとアカデミア、双方の現場を深く理解する人材が“間”に入り、伴走型で支援を行っていることです。業界のことも、現場の課題もしっかり理解した人材が企業と研究者の間に立ち、専門用語を翻訳しながら丁寧に橋渡しします。こうした関わり方が、単なるコンサルティングとは一線を画す、私たちならではの特長です。また、当社に登録している多くの研究者・技術者は、「研究を諦めなくていい社会をつくりたい」という私たちの想いに共感し、自らの知識や経験を社会に還元しようとする方々です。近年では、副業という形で自身の専門性を別の場で活かしたいと考える研究者も増えてきました。当社の仕組みは、そうした想いを持つ方々にとっての新たな挑戦の場としても広がりを見せています。
現状の課題
現在の課題は、大きく分けて「サービスの認知拡大」と「プロジェクトマネジメント人材の育成」の2点にあります。私たちの顧客となり得る企業の研究開発部門のみなさんは、日頃から研究や開発業務に専念しているため外部と関わる機会が少ない場合もあります。それゆえに私たちの存在やサービスに触れていただく機会が、まだ十分とは言えないのが現状です。この課題に対しては、来年度から無料のセミナーや説明会を企画しできるだけ相談のハードルを下げる取り組みを行っていきます。「まずは話を聞いてみよう」と思っていただける機会を増やすことで、認知の拡大を目指します。また、私たちの事業においてはサービスの「質」が何よりも重要です。質が下がればそのままサービスとしての価値が失われてしまう恐れがあります。特に企業と研究者の間に立ってプロジェクトを推進するプロジェクトマネージャーの力量は、支援の質を大きく左右する重要なポジションです。いかにこの“間に入る人材”を育成し増やしていけるかが、当社の今後の成長の鍵になっていくでしょう。この点についても、昨年度から育成の仕組みづくりを進めており、引き続き強化していく方針です。
今後の展開
本事業は立ち上げからちょうど5年を迎えました。これからの数年は、私たちが関わってきた「アイデアの種」が実際の製品やサービスとして世の中に出ていくフェーズに入ります。こうした展開を通じて、企業の方々から「これは、エコラボさんと一緒に取り組んだプロジェクトから生まれた製品です」「エコラボさんにつないでいただいた研究者のおかげで形になりました」といった声をいただけるような成果を、ひとつひとつ積み重ねていきたいと考えています。私たちの仕事は、目に見えるモノを直接つくることではありません。研究と事業の間に入り、考え方や進め方を支える「無形の価値」を提供することにあります。だからこそ、私たちが関わったことで生まれた成果が、製品やサービス、新たな取り組みといった「形」となって世の中に出ていく瞬間に立ち会えることは、何よりの喜びです。そうしたストーリーを、お客さまと一緒に紡いでいけるように取り組んでいきます。一方で、特定の誰かに依存せず、誰がリードしても安定したクオリティでサービスを届けられるような組織体制を築くことも今後の大きな目標の一つです。移り変わる時代のニーズに合わせて、そのときに必要とされる研究の知見を、社会や事業へとつなげられる人材を育てることを目指します。
パートナー企業との連携で実現したいこと
ものづくりに取り組む企業さまとお知り合いになりたいと考えています。特に最終製品そのものではなく、その一歩手前の段階で、素材や部品(中間体・原料など)を扱っているところとつながることができれば、とてもうれしいです。具体的には、化学・素材・電気電子といった分野の企業さまとは親和性が高いと考えていますが、もちろんそれ以外の業界の方からのご相談も大歓迎です。「新しい価値を生み出したいけれど、どう形にすればいいか分からない」「チャレンジしたい気持ちはあるが、技術的に何が壁になっているのか整理できていない」といったお悩みをお持ちであれは、ぜひ気軽にお声がけいただきたいと思います。



