かわさき起業家オーディションビジネス・アイデア シーズ市場
第54回最終選考会(2008年8月1日開催)
ENTRY No.5

ビジネスアイディアのテーマ
野依分子触媒によるキラル化合物の展開

ビジネスアイデアの提案者
株式会社藤本分子化学
藤本 賢二(フジモトケンジ)

【神奈川県横浜市】

かわさき起業家優秀賞
りそな神奈川応援賞
はまぎん賞
藤本賢二さん

ビジネスアイディアの概要について
藤本分子化学

2001年にノーベル化学賞を受賞された野依良治先生の研究に代表されるような不斉触媒反応はご存知でしょうか?それは不斉触媒が金型の役割を果たし大量に目的の立体のキラル化合物を得ることが出来る反応です。不斉触媒の代表例が野依分子触媒なのです。
最新の医薬品はキラル化合物が多くなっています。それは人間の体も糖やアミノ酸由来のキラル化合物で出来ている事に起因します。そのようなキラル医薬品は不斉触媒によって高純度で精密に立体選択的に作ることができます。製薬メーカーや医薬中間体メーカーでは、その不斉触媒となるキラル化合物を欲しがっています。彼らにとって不斉触媒というものは原料製造に欠かすことの出来ない物ですので、化学メーカーが供給できないとその反応は行えません。さらに最新の不斉触媒を利用した特許等を各メーカーで出願されているものの、実際に医薬品製造に利用されるのはこれからなのです。
そこで弊社では2003年ベンチャー企業設立以来、不斉触媒のうち、有用であるのに工業生産が困難な最新の野依分子触媒であるキラルDPENを安定供給できる体制を整え、日本をはじめ世界中で野依分子触媒を展開しています。


新規性・優位性について

古い野依分子触媒は特許化された製造法により供給メーカーが限られるものの、最新のDPENについては弊社が製造法の特許を出願しており、他社と比較しても工業的な実績や製造の安定性から一歩リードしております。また、大学を始め各研究機関に試薬として国内最安値で販売を行っていますので、研究業界でも優位に立ちつつあります。
実際には、抗生物質や脂質異常症治療薬の中間体を製造するトップメーカー2社のパイロットプラント向けに、弊社製DPENの供給を行っています。今後の展開は、野依分子触媒で医薬品製造の特許を持っている製薬メーカー・中間体メーカーに安価・安定供給可能であることを認識させ、医薬品製造に利用されることで、日本のみならず世界中に展開していきます。


市場について
  • 主なターゲット・市場の規模
    製薬メーカー・医薬品中間体メーカー
    キラル医薬品の市場規模は、2008年には2千億ドル以上になると言われています。キラル中間体市場はその約半分と言われています。
  • 市場での競争力
    不斉触媒反応は日本が世界をリードしております。
    そのような背景から、日本で優位に立つことで世界中に展開できる足がかりとなります。
    いち早く最新の野依分子触媒のキラルDPENを工業的利用で展開させることが市場競争で優位に立てるポイントです。

実現性について
  • 実施スケジュール
    (財)木原記念横浜生命科学振興財団が主催するBVA(ベンチャービジネス・アライアンス)に参加し、製薬企業・研究機関とのビジネスコミュニケーション機能を利用した販路拡大を行っています。
    展示会・ビジネスオーディションを通じて、弊社の認知度を高める計画です。
  • 実施場所
    (財)横浜企業経営支援財団のインキュベーション施設であるテクノコアに入居中。将来は研究所の拡大や工場も視野に入れております。
  • 実施体制(従業員等)
    ユーザーとのコンタクトは、状況に応じて藤本分子化学もしくは商社で柔軟に対応し、大量生産はOEMで行っています。
  • ビジネス・パートナー
    商社:㈱ジャパン・ケム、東京化学開発㈱
    試薬メーカー:フナコシ㈱、ナミキ商事㈱
    支援:(財)木原記念横浜生命科学振興財団、(財)横浜企業経営支援財団
  • リスクとその管理
    ㈱ジャパン・ケムの営業担当者との連携で販売戦略を計画。
    現在はキラル化合物の生産在庫は極力置かない体制。
    将来は、国内外のユーザーに対応するため在庫の必要性を視野に入れて、資金調達を行う予定。
    ニーズに合わせて、新たなキラル化合物の研究開発を行っています。

このページの内容は、受賞者の文責による最終選考会プログラム(当日配布)の内容を転載したものです。
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