かわさき起業家オーディションビジネス・アイデア シーズ市場
第55回最終選考会(2008年10月4日開催)
ENTRY No.1

ビジネスアイディアのテーマ
電子ラボノートを組み込んだユニバーシティーナレッジデータベースの事業化

ビジネスアイデアの提案者
株式会社ライフィズ
 喜田裕一郎(キダユウイチロウ)

(発表者:荒木富雄)

  【神奈川県横浜市】

かわさきビジネス・アイデアシーズ賞
荒木富雄さん

ビジネスアイディアの概要について
電子ラボノート

大学・研究所において使われてきた手書き中心の「ラボノート」に代わり、ユーザビリティが極めて高く、かつ第三者による客観的な証拠、あるいは先発明主義におけるエビデンスデータとして使えるような知的財産権を保護できる『電子ラボノート』を開発する。さらに、これを弊社の既に商品化している稟議申請システムと連動させることにより、最終的に『電子ラボノートを組み込んだユニバーシティナレッジデータベース』の事業化を行なう。
これは、実験計画から実験、実験結果の考察、結果レポートなどのサイクルを包括したナレッジシステムとなり、これまで手書きでは不可能だった外部デジタルデータを使ったナレッジの集積が図られ、同時にノウハウを研究者同士が共有化できることで、効率的に研究開発が進展する。
弊社は、もともとバイオ・ライフサイエンス分野の大学・研究所に対して様々なシステム導入を行なっているが、今般はこうしたノウハウを他分野の大学・研究所で使えるようにし、日本の知的財産権を守り、さらに産学連携を後押しすることにより、日本の持つ知的財産が国際競争で守られることの一助になると考えている。
当事業を行う上での成功のポイントは、徹底した“現場主義”をとることと考えている。これまで納めてきたシステムは、この点を貫いてきたことがユーザーからの評価へ繋がっており、当事業に関しても、東海大学から全面的な協力を得て、現場の研究者がどんなラボノートの取り方をしており、どのようにすれば、抵抗感なく電子ラボノートを記入してもらえるようになるかを考察・実証していくことにより、極めてユーザビリティの高いものにしていくこととしたい。


新規性・優位性について

海外においては、すでに電子ラボノートという考え方は存在しており、先発しているのがウォーターズとケンブリッジソフトコーポレーションである。また、日本においては、日本技術貿易とコクヨの2社しか見当たらず、市場としては導入期の初期にあたると言える。
ただし、現状の電子ラボノート市場は、製薬会社等の大企業中心に導入がわずかに進みつつある段階。なぜなら価格が数千万円~1億円程度が相場であり、潤沢な資金のある企業/施設しか導入が困難となっている。また、汎用性に乏しく、ほとんど一企業(一施設)のみにしか適用できないようになっている。
上記の状況を踏まえると、既存ソフトは多機能を持っているがゆえに、研究者がそれを使いこなせないというオーバースペックの状態を引き起こしているわけだから、弊社ではここをいかにしてユーザビリティが高く、シンプルで分かり易いものにし、研究者が進んで使ってくれるようなものを完成させていく。
本事業で目指す最終形態としては、一大学一実験室においても、手軽に導入することができ、かつユーザビリティの極めて高い電子ラボノートを構築することにある。特に、(1)弊社が既に販売開始している稟議申請システムと連動させることにより、あらゆるフェーズで参考資料をファイルとして添付することができ、ファイルを含めすべてのデータをデータベースシステムで一元管理できるようになっているため、電子ラボノートにこれが引き継がれることによって、研究開発に一貫性を持たせることができる、(2)コストとしては数十万円~数百万円程度に抑えること、(3)汎用性が極めて高く、シンプル入力データ方式を採用することで、ユーザビリティを徹底的に追求していくこと、により大学・研究所への導入のスピードアップを図る。


市場について
  • 主なターゲット・市場の規模
    既存の製品によって形成されているマーケットとしては、製薬会社・研究開発型メーカー等の大企業中心に導入がわずかに進みつつある段階である。よって市場規模としては、マーケットデータは存在しないものの、極めて高価なソフトウェアであるが故に、導入できる企業は、売上高100億円超クラスの企業は1万社程度に限られるであろう。よって、その0.5%程度がソフトを導入済みであると想定し、1社で平均5000万円程度のソフトを導入していると仮定すると、<10000社×0.5%×5000万円=25億円>これが現状の市場規模ではないかと考えている。ただし、前述した通り、潜在市場としては今後ERP導入企業の比率である20%から比しても3%程度までは可能と考えており、さらに大学等の研究施設関連を含めれば5年後には150億円程度まで膨らむものと考えている。
  • 市場での競争力
    当社では、もともとバイオ・ライフサイエンス分野へ特化したソフトウェアを提供している強みもあり、大学や研究所へのソフトウェアは直販、代理店販売を合わせて、圧倒的なネットワークを有している。また、提供する価格が桁違いにリーズナブルになるため、既存のマーケットを含めて、潜在市場を大きく開拓できるものと見込んでいる。特に、近年注目を集めている知的財産権の保護/有効活用、ナレッジの集積に的を絞った営業活動を行なっていくことによって、大小様々な施設に電子ラボノートが浸透していくものと考えている。

実現性について
  • 実施スケジュール
    2008年9月~2009年8月  α版開発
    2009年9月~2010年5月  β版開発、テストマーケティング
    2010年9月~        販売開始
  • 実施場所
    本社
  • 実施体制(従業員等)
    取締役含め2名で対応
  • ビジネス・パートナー
    外部データの取込みが容易になることから、大学や研究所内で使われている古くなったアナログ機器の買換え需要も間接的に促す効果があるため、理化学系の専門商社を考えている。
  • リスクとその管理
    新規市場のニーズの把握精度(マーケティング)

このページの内容は、受賞者の文責による最終選考会プログラム(当日配布)の内容を転載したものです。
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