かわさき起業家オーディションビジネス・アイデア シーズ市場 第75回最終選考会(2012年2月3日開催)

Entry.4


ビジネスアイディアのテーマ

4Dカメラの開発と事業化 〜三次元形状の時間変化を計測〜

ビジネスアイデアの提案者

4Dセンサー株式会社 

 森本 吉春  (モリモト ヨシハル)
 柾谷 明大  (マサヤ アキヒロ)

【和歌山県和歌山市】

かわさき起業家優秀賞

KSP創業支援賞

森本 吉春 さん

 

【左:発表者 森本 吉春 氏  右:柾谷 明大 氏】

ビジネスアイディアの概要について

我々が開発した「全空間テーブル化手法」(和歌山大学特許)とLEDを用いた「光源切替位相シフト法」(モアレ研究所特許)の2つのイノベーション技術等を利用して,三次元形状(3D)の時間変化を計測できる装置を4Dカメラとして事業化する.従来の2Dカメラとそれほど変わらない価格で高速,高精度,安価,高信頼性の4Dカメラを構築できる.
すでにコンソーシアムをつくり,共同研究を行ってきた.ファブレス・オープンイノベーションとして,企画・開発・設計・販売を我々が行い,計測機メーカーが,コア技術の製造を担当し,そのコア技術を参加の各企業に供給する.既存の個々のユーザーに対しては各計測機メーカーが販売を行う.新規ユーザーは我々が開拓する.そのため,2012年2月1日に4Dセンサー株式会社を起業した.すでに販売実績のある3Dカメラを販売しながら,4Dカメラを開発し販売する.このユーザーは広いが,まずは考古遺物計測,半導体・自動車製造検査に絞って売り込みを行う.

新規性・優位性について

「全空間テーブル化手法」は,物体をおいたときの格子の位相から表を見るだけで三次元座標を求める方法で,計算が不要であり,光学系の誤差もキャンセルされ高速・高精度な形状計測ができる.また,LEDを用いた「光源切替位相シフト法」は,移動機構なしで,超高速で精度よく格子の影を動かせる.動いている物体の三次元形状の時間変化が計測でき,従来にない圧倒的優位な高速,高精度,安価,高信頼性の4Dカメラを構築できる.数件の特許を申請しており,基礎的研究開発も終えている.産業用はもちろん,将来は家庭用などすべての2Dカメラがこの4Dカメラに置き換わると考えられる.

市場について

主なターゲット・市場の規模

2Dを含む画像処理市場は4600億円/年の売上があり,将来的には,2Dから3Dカメラへの置き換えも含むと3000万台/年(6000億円/年)の潜在需要がある.具体的にはまず,すでに販売済みの低速の3Dカメラを,スケッチが主体である考古遺物計測分野に売り込む.さらに4Dカメラを,すでに3Dカメラを販売したFA分野や新規の自動車分野に売り込む.

市場での競争力

現在,最もよく売れているK社の三次元形状計測装置は,光切断法である.この商品と我々の現行3Dカメラと比べると,カタログ値では精度で25%,計測時間で5%,重量で10%,原価で20%である.また,4Dカメラと比べると,精度は25%,計測時間で1.5%,重量で30%,原価で2%と圧倒的に有利である.運動体の計測ができる4Dカメラに相当するものはまだ市場になく,我々が先行できる.

実現性について

実施スケジュール

2012年2月:ベンチャー4Dセンサー株式会社設立,3Dカメラの販売を続ける.利益が見込めるようになったらあるいは資金の目途がついたら4Dカメラの開発を進める.
2012年末:4Dカメラの発売,まずは産業用
2013年末:4Dカメラによる収益増加,大量生産の家庭用の販売  

実施場所

和歌山県,大阪府を中心に事業を進めるが,近い将来,首都圏にも拠点をもつ必要がある.その場合は以前住んでいた川崎市での事業所設置を考えている

実施体制(従業員等)

研究陣は,大学で開発してきた最強のメンバーであるが,当面は,コンソーシアムやコンサルタントを通じて営業活動を行っていく.利益の増加と共に,経営,営業要員を,その後,新規研究開発要員を増加させる.

ビジネスパートナー

本事業は,ファブレス,オープンイノベーションで機器を開発製造している.コア技術部分を製造したコンソーシアム参加企業には,自社だけでなく他の企業にも使っていただくことにより,低価格化と売上増加が期待できる.

リスクとその管理

最大のリスクは資金切れである.営業を第一に進める.現メンバーは経営に関しては専門家ではない.早急に,信頼できる有能な人を経営者あるいはコンサルタントとし,確実な経営ができるように図る.現技術は,まだ実績がなく,予期せぬことが起こる可能性がある.できるだけ早期に,信頼性の高い装置とする.

>>ページTOP


このページの内容は、受賞者の文責による最終選考会プログラム(当日配布)の内容を転載したものです。
当ホームページの記事、画像などの無断転載を禁じます。
すべての著作権は公益財団法人川崎市産業振興財団および原稿執筆者に帰属します。
Copyright(C) 2006-2010 IIP Kawasaki.All rights reserved.