かわさき起業家オーディションビジネス・アイデア シーズ市場 第87回最終選考会(2013年2月7日開催)

Entry.4


ビジネスアイディアのテーマ

『世界初、液体バイオマス発電の実用化』

ビジネスアイデアの提案者

ナノマイザージャパン株式会社

松村 健彦 (マツムラ タケヒコ)

【川崎市川崎区】

かわさき起業家優秀賞

【発表者 松村 健彦 氏】

 

ビジネスアイディアの概要について

従来、植物原油をそのまま燃料として使用することは不可能でした。それは植物原油中の不純物(ガム質)の存在、また高粘度、高沸点・低蒸発性という特性から硬い燃焼残渣が生成され、エンジン内部に重大な障害が発生することが原因でした。当社は世界最高峰にあると自負する超微粒化技術によるナノテクノロジーを活用し、効率的な燃料化工程(脱ガム・ナノエマルジョン化)によりこのような課題解決を目指し、NEDO基礎研究開発、実用化開発を通じて実用発電機エンジンへの燃料供給においてそれを実証いたしました。 この実証技術により世界で初めての液体バイオマス発電事業をキングスカイフロントで実施してゆきたいと考えております。そして燃料原料であるバイオ原油を東南アジア諸国から輸入しながらCO2フリーの液体バイオマス発電事業を国内で行い、そのコア技術を原料輸入先である東南アジア諸国へ発信し、電化率が低い、あるいは電力インフラが未整備の東南アジア諸国、地域での地産地消型発電事業へと発展させることを推進して参ります。


新規性・優位性について

本バイオ燃料は、高効率で脱ガム化した植物原油をナノエマルジョン化し直接エンジン燃料として使用可能とする極めてシンプルなプロセス、装置により製造されます。そのため同じ液体バイオマス燃料であるBDFのような複雑な化学工程を必要とせず、はるかに低コストで製造が可能となります。またBDF製造ではカロリーを持つグリセリンの廃棄が必要となりますが、そのような資源の無駄使いもありません。再生可能エネルギー発電としても安定供給が可能で、大きな設備を必要とせず、また適地に対する制約条件が極めて少ないという利点もあり、再生可能エネルギーへの転換を大きく促進することができます。

市場について

主なターゲット・市場の規模

我が国の総発電電力量(9,408億kwh)に占める再生可能エネルギーの割合は1.6%程度と世界的に低水準にあります。本発電事業で既存の再生可能エネルギーを代替・補足してゆくことができますが、仮に総発電電力の0.1%とすると、その量は約9.4億kwhでキングスカイフロントの想定規模(3MW)の発電所約40か所の新設に相当し、CO2フリーのバイオマス発電市場の創生は短期間で可能と考えられます。

市場での競争力

代表的な液体バイオ燃料であるBDFは複雑な化学工程を必要とし製造コストが15〜30円/Lといわれています。本事業のナノバイオ燃料は発電所内の簡便な装置のみで直接燃料化でき、製造コストが大幅に低減します(1〜3円/L)。また再生可能エネルギーコストとしては約16〜23円/kWhとなり、太陽光、風力に十分な競合力があり、供給の安定性、現行設備が有効活用などの優位性があります。

実現性について

実施スケジュール

2014年3月を目標に発電事業推進に関わるパートナー協業体制、外部支援体制など基本企画を策定、その後およそ1年から1.5年で最初の発電所を完成させ、事業を開始する予定であります。

実施場所

世界初のナノバイオ燃料発電所をキングスカイフロントに建設、そのコア技術を東南アジアへ発信し同地域での「地産地消型発電事業」へと展開いたします。

実施体制

当社営業企画部門を中心に製品開発、研究開発部門が一体となった事業推進体制を構築しております。さらに外部パートナーを含めたプロジェクトチームを弊社内に編成し、本事業の企画策定を行い、詳細な事業計画の策定を行います。

ビジネスパートナー

本事業には多くのパートナーの協力体制が必須です。燃料原料の安定的調達から発電所の運営、送電・売電にかかわる事業連携などであり、事業主体としての当社を核に多くのパートナー企業との協力体制を鋭意構築中であります。

リスクとその管理

燃料原料としてのジャトロファ等の非食系バイオマス原油は、一定量の安定的供給の確保の観点で現時点ではまだリスクが見込まれます。したがって既に大手商社を介しての安定供給の保証がとれているパーム油を原料として事業を開始し、およそ3〜5年内に段階的にジャトロファ等の非食系へ移行してゆく予定としております。

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