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会社名エムテックスマート 株式会社


薄膜積層コーティング装置で独自の特許技術を駆使するハイテクベンチャー企業




代表取締役 松永 正文
事業内容
薄膜積層コーティング装置の開発・製造・販売

  • 企業名  エムテックスマート 株式会社
  • 創業   2009年(平成21年)4月
  • 所在地  (本社・事務所)横浜市港北区新横浜3‐6‐12 日総第12ビル 8階
          (研究開発拠点)川崎市幸区新川崎7‐7 KBIC内
  • 電話    045‐620‐8062(新横浜 本社・事務所)
  • 従業員  7名
  • 代表    松永 正文(マツナガ マサフミ)
  • URL   http://mtek-smart.com/index.html

 一般家庭に普及しているLEDシーリングライトや自動車のLEDヘッドライト、これらに白色LEDが使われているのはご存知のことだろう。白色LEDは、青色LEDに赤色と緑色の蛍光体を塗布して作られている。蛍光体をLEDチップ上に塗布する方式は何種類か存在するが、当社は「インパクトパルス®工法」、「蛍光体複数色薄膜積層工法」、「塗布重量自動計測システム付塗布方法」などの特許技術によって、世界の大手LEDメーカーで採用されている「薄膜積層コーティング装置」を提供するファブレス型のベンチャー企業である。松永社長に当社技術の特長と今後のビジョンを聞いた。

● LEDの性能向上とコスト低減により世界の大手LEDメーカー約30社で採用


 青色LEDに赤色と緑色の蛍光体をコーティングする際、蛍光体塗布の膜厚が厚すぎると、発光効率(光源における電力から光への変換効率)が低下する。また、赤色と緑色が均一に塗布できないと色温度にバラツキが出て演色性(自然光下での物の見え方に近い度合い)が悪くなる。
 白色LEDの品質や製造歩留まりを大きく改善するコーティング技術を開発したのが当社である。国内外で特許を取得している当社技術の特長を松永社長に聞いた。
 1つ目は、「インパクトパルス®工法」である。LEDチップに蛍光体を塗布する方法はディスペンサー法や電気泳動法、スプレー法等がある。
 ディスペンサー法は蛍光体とシリコンバインダー(樹脂接着剤)でコーティングするため、塗着効率は良いが、蛍光体の比率が少ないので発光効率が低い。電気泳動法は工程が複雑になる。
「インパクトパルス®工法」はスプレー法の一種だが、シリコンバインダーに有機溶剤を混ぜて蛍光体比率を高め、スプレー粒子にエネルギーとスピードを加えて勢いよく噴射することで、微細な凸凹を持つ被塗物でも狙った部位に粒子が衝突し塗膜が形成される為、  LEDチップのエッジや側壁にもコーティングできる画期的な技術だ。これにより、一般的なスプレー法だと50%程度の塗着効率を、95%にまで高め、蛍光体の発光効率の高い白色LEDを実現している。
 2つ目は「蛍光体複数色薄膜積層工法」である。従来方法では、複数色の蛍光体を混合して塗布しているが、各色の蛍光体はそれぞれ粒子径と比重が異なるため不均一な混合になって色味にバラツキが出て、LEDメーカーは50~70%といった低い製造歩留まりに苦しんだ。当社技術は複数色の蛍光体をマルチヘッドで交互に薄膜積層していくので、複数色の蛍光体を均一に塗布することが可能で
ある。これにより白色LEDの製造歩留まりを95%まで高めることができ、性能向上とコスト低減に大きく貢献している。
 3つ目は「塗布重量自動計測システム付塗布方法」である。微量な蛍光体粒子の塗布重量を、自動計測とキャリブレーション(調整)を行って、塗膜の厚さを25~35μmの範囲で均一に管理する技術である。
 これらの独自技術は日本および外国で特許化して、当社の製造装置に盛り込まれている。当社の特許技術が活かされる用途は、LEDの中でも高品質や演色性が求められる照明装置や安定性が求められる高級車のヘッドライト等のニッチマーケットである。当社はファブレス企業のため、これらの特許技術を盛り込んだ装置を外部に製造委託し、現在世界有数のLEDメーカー約30社に供給しているとのことである。

● 実力主義に憧れ外資系大手企業にて開発担当役員を歴任、60歳退任後に当社創業 


 松永社長は1948年(昭和23年)の鹿児島県生まれだ。京都で機械工学を学んだ後、実力主義に憧れ外資系企業を希望し、外資系大手企業ノードソン・ファーイーストに入社した。同社はホットメルト技術で有名であり、飲料缶内面のコーティングなどに携わったそうであるが、若い頃から実力が認められ、37歳で日本法人の開発担当役員に就任。その後常務取締役、シニアエグゼクティブディレクターを歴任後、2008年末に60歳で退任した。2009年4月に当社を創業した当初は横浜の自宅で技術コンサルタントをしていたが、現在はKBICに開発センター、新横浜に事務所を置いて活動している。KBICには薄膜積層コーティング装置のプロトタイプを設置し、実験デモで海外の顧客対応に役立てている。
 社名の由来を聞くと「技術的に優れた集団を意味するテックスマートに、自分のイニシャルのエムを加えた」と笑って答えた。松永社長は、休日も朝から仕事に取り組むほど「仕事が趣味」と言うが、外資系企業に勤務していた頃の趣味は三味線だったそうである。米国本社の役員からも大変関心を持たれ、舞台で浄瑠璃を演じる程の腕前であった。当社創業後に辞めてしまったとのことであるが、技術力に加え三味線でも海外の顧客を魅了してほしいものである。
 独創的な技術を生み出す発想の源泉はどこにあるのであろうか。松永社長は独自でTRIZ(旧ソ連で生まれた問題解決手法)を学んだというが、部下と向き合う時も自分の方針を一方的に通すのではなく、「自分の持っていない考え方や技術を広く受け入れる。他人にとって常識的なことが自分にとっては画期的なこともある。」と高い包容力で接することを心がけているそうである。

● 将来の成長分野である燃料電池向けの事業展開を目指す


 LED業界に大きく貢献してきた当社技術と装置であるが、松永社長はLED市場に専念することに危機感を抱き、新たな市場開拓に取り組んでいる。民間の調査会社のレポートでも白色LEDの金額ベース市場規模が頭打ちになっているが、松永社長によると「中国で多くの企業が参入し、大型投資が続いて価格低下が起こり、儲からないマーケットになってきた。その為、メーカーの設備投資意欲が減衰してきたので、他の分野への参入を検討するようになった」とのこと。
 そこで松永社長が目を向けたのは燃料電池や次世代二次電池の分野である。LEDの蛍光体薄膜積層コーティングの技術は、より付加価値の高い燃料電池や次世代二次電池の電極形成に適用できる。水素を燃料として発電し熱も供給できる燃料電池は、トヨタ自動車の「ミライ」などに使われ出したが、日本での需要はまだ僅かだ。
 一方で、中国では充電池と燃料電池を併用したプラグインハイブリッド仕様のバスが量産されつつあり、中国市場はこれから多くの設備投資がなされると見込まれる。ネットでCoating Method and Deviceと検索すると、当社の社名や特許情報が上位に表示され、顧客からコンタクトされることが多いが、燃料電池の電極形成用で最近中国企業から受注したとのことである。
 これらの成長分野に事業展開していくには、ベンチャー企業にとって最も重要な開発資金の調達や即戦力の人材確保等の課題に取り組んでいかなければならない。松永社長は「協業可能な大手パートナーとの連携に力を入れていきたい」と語るが、当社の独創的な技術力とチャレンジ精神があれば遠からず実現すると確信している。

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