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会社名株式会社 北野書店


書物の持つ魅力、力を信じ、魂のこもった本を1人でも多くの人に届けたい




代表取締役 北野 嘉信
事業内容
書籍・雑誌・CD・DVD・ゲーム・文具等の販売
     川崎市内を中心とした学校や公共図書館への書籍・雑誌の納入、販売

  • 企業名  株式会社 北野書店
  • 創業    1947年(昭和22年)5月
  • 所在地  川崎市幸区鹿島田1‐18‐7 KITANOビル3F
  • 電話    044‐511‐5491
  • 従業員  10名
  • 代表    北野 嘉信(キタノ ヨシノブ)
  • URL   http://kitanobook.co.jp/

 川崎市で創業し、70年を超える老舗の本屋として地域に愛されてきた株式会社北野書店。JR鹿島田駅前の商業施設内に本店を構え、書籍、雑誌、コミックをはじめ文房具、CD、DVD、ゲームなど周辺住民のニーズに応える店づくりを進めている。月例の児童を対象とした「えほん読み聞かせ」や店頭での音楽イベントなど本と書店に親しみを持たせる催しを多数企画。自治体や大学とのコラボレーションにも積極的で、地域に根ざした活字文化の発信地としての役目も果たしてきた。「本は人格をつくり、人生を豊かにするかけがえのないもの。書店は本と読者がめぐり合う場所であり、そのきっかけづくりが私たちの仕事。いい出会いが生まれる店づくりをスタッフみんなで進めて行きたい」。「町の本屋」だからこそできることがある。北野社長はそんなリアルな書店づくりに邁進している。

● 本に触れるきっかけづくり


 JR鹿島田駅前にそびえ立つタワーマンション「ルリエ新川崎」2階の商業施設の一角に、売場面積約500㎡の北野書店が入居する。一見、少し大きなどこにでもある本屋さんといった印象だが、店内を見ると随所にこだわりが感じられる。書籍コーナーには新刊本やベストセラー本と並んで川崎市など地元の作家や地域を扱った関連書が目を引く。「かわさき本コーナー」を設けて本の解説を添えており、他の書店では入手しにくい貴重な文献も手に取ることができる。
 店内に段差はなく、通路も広いためベビーカーを押すお母さんの姿も見られる。若いファミリー層が多い環境を踏まえて児童書コーナーも充実している。2009年に現在の店舗に移って以来、毎月開催している「えほん読み聞かせ」は、ボランティアの協力を得て絵本を朗読するイベントだ。会場としている児童書コーナーに入りきらないほどの子供たちが駆けつけるという。
 北野社長は「回を重ねるごとに参加者が増え、何年にも渡ってきてくれる子供も少なくない。継続することの大切さを実感している」そうで、すでに小学校低学年だった子が中高生になって立ち寄っているケースもある。「本をネットで買う読者が増えているが、本に触れることで気づきや発見があり、それによって世界が広がることも多い。こうしたイベントを通じて子供の頃から本に親しみ本屋になじんでもらえれば」と読書体験を広げる一助になればとの思いがある。

● 焼け野原からのスタート 


 北野書店は、1947 年に川崎市下平間で創業。北野社長の祖父(嘉太郎氏)は、日本鋼管(現JFE スチール)の技術者で、教育熱心だったため一家で書店を営み、長女の房子氏(北野社長の叔母)はじめ切り盛りしていった。戦後の焼け野原が広がっていた頃、店には本だけでなく、大学芋などのお菓子屋や食料品、酒、たばこなど生活必需品が置かれ、書店というよりも「よろずや」の風情だった。その後再開発が始まった1949年に、現在のJR 鹿島田駅前に移転してきた。
 書店として軌道に乗り出したのは1960年代に入ってから。市立図書館への納入が始まり、近隣の小中学校への教科書を扱い始めたのがきっかけだった。1972年には北野社長の実父である精三氏(現会長)が2代目を引き継ぎ、1976年に自社ビル(現在の本社)を建設。書籍をはじめレコード、楽器を扱い、近くにコミックの専門店を置くなど多店舗化にも着手していった。

● 地域の文化発信地として始まった北野書店


 「北野一家が書店をはじめるに至ったのは、祖父が戦後に文化的なものを発信しようとする思いがあった事が大きい。初代が書店を開店してからはその時々に必要とされるものを揃えて営業してきた。父の代に入ってからは書籍に加え音楽といった文化の発信へと広げ、それが今につながっている」と時代とともに書店の役割も変わりつつあるという。
 北野社長は小学校5年生から書店を手伝ってきた。「子供の頃は読書好きではなかったが、本屋の仕事は楽しかった」と振り返る。とはいえ、書店を引き継ぐことは考えておらず、学生時代には実家での経験を活かして大手出版社の契約社員として二足のわらじを履き、卒業後はその会社への就職も内定していた。
 それが一変したのが卒業間近に近隣の書店の廃業がきっかけであった。その書店が扱っていた教科書を引き受けることとなり、納入する学校が一挙に20校以上も増えることになった。北野社長もその仕事を手伝っていたこともあり、大変さは身に染みていた。悩んだ末に「このタイミングで家を見捨てて就職するわけにはいかない」と判断。出版社には平身低頭お詫びし、家業を継ぐことを決めたとのこと。

● ルリエ新川崎ビルに新店舗をオープン、地域と連携したイベントを多数開催


 入社後は営業、納品と走り回り、経験を積んだ。2008年には三代目の社長に就任。2009年に鹿島田駅前のルリエ新川崎ビルに本店を移転した。周辺にあったコミックなどの店舗も集約し、売場面積は移転前よりも1.5倍ほど広くなった。
 北野社長が就任してから目立ち始めたのが地域との連携イベントだ。「えほん読み聞かせ」をはじめ、年に数回開催する「絵本カフェ」(現在リニューアル中)では、絵本作家や編集者を招き、絵本の紹介や出版業界の話題を提供。北野社長の「敷居を低くしたい」という気持ちの表れだ。
 ただ、こうした取組みは北野社長が率先して企画したわけではない。「地元の方々との付き合いの中から自然に生まれてきたものがほとんどで、イベントへの参加を通じて気軽に寄ってもらえる本屋として認識してもらいたい」との事。
 地域のつながりは本業にも影響を与えてきた。納入する学校関係者のご縁があり、絶版となっていた「かわさきむかし話」の復刻や川崎市在住のタレント、中本賢氏の「多摩川ノート 土手の草花」を自社で手掛けてきた。地元の作家、研究者らとの交流を活かした情報発信にも取り組む。
 また、主催イベントとして開催している「川崎市学校図書展示会」は、毎年12,000冊もの小中学校向けの図書を展示している。2017年の展示会では川崎関連の書籍のほか、川崎市内の特別支援で採択している「附属第9条本」も出品し、注目を集めた。第9条本は市内在住の外国籍の子供たち向けの図書で、展示会をきっかけに多様性の理解を深める機会になるとの要望を受けたため、その後本店で同図書のフェアを開催し、地域の盛り上げに一役買うこととなった。

● 専修大学とのコラボレーション


 近年は専修大学との問題解決型インターンシップにも協力し、毎年10数人の学生を受け入れ、「書店をどう盛り上げていくか」について若い人たちのアイデアを取り入れてきた。フリーペーパー・ブックカバーの作成やマスコットキャラクター(ゆるキャラ)の製作。商店街とのコラボレーションなど。「若い人たちの発想やバイタリティーには学ぶことが多い」と今後も継続していく考えだ。
 北野社長は「書店経営は配本される本を並べて売れなければ返却するという商売では先はない。1日1件廃業しているといわれる業界で継続していくにはわれわれも勉強し、魂の入った本を一冊でも多く伝えていくことが大切。スタッフはみんな本好きで頑張ってくれている。 今後も地域の人や自治体などとも協力し、新たな活路を見出したい」と、本への愛情と地元に根ざした経営で出版不況を乗り越えていく。
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