使用済み紙おむつ循環装置「ダイパーウォッシュ」の開発

会社紹介

日本の紙おむつは、吸収性や快適性を追求しながら進化を重ね、世界でも高く評価される製品となりました。高齢化が進む現在、その役割はさらに大きくなり、需要も高まっています。一方で、使用済み紙おむつの処分も避けて通れない課題です。衛生面への配慮からその多くは焼却処理されていますが、環境負荷の低減やSDGsへの関心が世界的に高まっており、焼却に頼らない処理方法やリサイクルに向けた取り組みが求められています。

こうした現状を踏まえ、私は使用済み紙おむつを「ごみ」として処分するのではなく、資源として再び活かす方法はないかと考えてきました。その想いから、紙おむつのリサイクル事業に挑戦することを決意しました。

これからの廃棄物は、単に「処分」するものではなく、「資源」として新たな価値を生み出す存在へと変わっていきます。これまで捨てられていたものに新しい役割を与え、再び社会の中で活躍させる。その循環をつくることが、持続可能な社会の実現には欠かせません。紙おむつを「ごみ」にしない社会を、川崎から。その第一歩を、みなさんとともに始めていきたいと思っています。

基本情報

サステナブルクリエイト株式会社

〒105-0022
東京都港区海岸1-2-3汐留芝離宮ビルディング21階

私は前職で約30年にわたり、廃棄物処理やリサイクル、資源化の現場に携わってきました。なかでも後半の約10年間は、紙おむつのリサイクル技術の開発に注力し、大手メーカーとともに大型設備やプラントの開発にも取り組んできました。

ただ、当時手がけていたのは、主に自治体や大手企業を想定した大型の設備です。設置に億単位の費用がかかるため、病院や介護施設などが簡単に取り入れられるものではありませんでした。しかし、日常的に使用済み紙おむつが発生しているのは、そうした医療や介護の現場です。だからこそ、もっと小型で安価な、導入しやすい装置が必要なのではないかと考えるようになりました。

そのときにイメージしたのが、生ごみ処理機です。生ごみ処理機は、生ごみの水分やかさを減らすことで、その後の処理や運搬にかかる負担を軽減しています。同じように、紙おむつも発生した場所で処理しやすい状態にすれば、その後の運搬や取り扱いにかかる負担を減らすことができます。同時に、環境にも配慮できるようになる。そうした仕組みをつくることは、社会的に大きな価値があると感じました。

「ダイパーウォッシュ・100」は、使用済み紙おむつを“洗う”という発想から生まれた、小型のオンサイトリサイクル(現場で再資源化する)装置です。紙おむつを燃やしたり、熱で乾燥させたりするのではなく、水で洗浄しながらプラスチックとパルプを分離することで、再資源化につなげます。

大きな特徴は、紙おむつが発生する現場に導入できる小型装置であることです。使用済み紙おむつは水分を多く含むので焼却しにくく、運搬や焼却炉の維持にコストがかかります。自治体の負担は大きく、近年は使用済み紙おむつの受け入れを見直すところも出てきました。その影響で、病院や介護施設の処理費用がさらに増える可能性もあります。こうした課題を、現場から解決できる装置をめざしました。

導入価格は500万円以内を想定しています。現在、施設が負担している紙おむつの処理費用を踏まえると、おおむね5年で償却でき、6年目以降は、水道・電気・薬剤などのランニングコストのみで運用できる設計です。無理なく導入できるうえ、経済的なメリットを実感できる価格と仕組みにすることを重視しました。

また開発にあたっては、大手環境機器メーカーの協力を得ているほか、水処理技術に専門性を持つスタートアップ企業と連携しています。私たちだけでなく、それぞれの分野の知見を組み合わせながら、現場で本当に使える装置の実現に取り組んでいます。

一つ目の課題は、製品化に向けた最終調整です。「ダイパーウォッシュ・100」は現在4号機の開発を進めており、2026年夏の完成予定です。その後、実証試験を行い、現場で見えてきた改善点を反映したうえで、2027年初めの販売開始をめざしています。

二つ目の課題は、回収した資源を役立てる仕組みづくりです。紙おむつから出てきたパルプやプラスチックは、燃料用のペレットに加工できます。これは病院や介護施設のボイラー、農業用ハウス、温浴施設など地域のエネルギーとして活用できるほか、加工や販売を障害者福祉施設などに担ってもらうことで、新たな雇用や収益につなげることもできます。装置を届けて終わりではなく、資源が地域を巡り、価値を生み出す循環の仕組みまで築いていくことが私たちの目標です。

三つ目の課題は、導入後のサポートと販売体制の整備です。装置は導入して終わりではなく、使い方の説明やメンテナンスなど、継続して使っていただくための体制づくりが欠かせません。そのため、2026年秋には現在の2名体制から5名体制へと拡充し、導入時の対応や運用面のサポートにも力を入れていきたいと考えています。

まずは札幌を中心に北海道での導入を進め、次に川崎や埼玉など、関東の医療・介護現場へ展開していく計画です。その後は、代理店と連携しながら全国展開を進めていきます。

また、使用済み紙おむつの処理は、病院や介護施設だけの課題ではありません。保育園や子育て支援の場、地域のコミュニティスペースに加え、大型商業施設や駅、公共施設などにも提案を広げていきたいと考えています。近年は、乳幼児用のおむつ交換スペースだけでなく、男性トイレにも尿漏れパッドなどを捨てるサニタリーボックスが設置されるようになりました。こうした吸水性のある衛生用品の処理は、これからさらに多くの場所で課題になると考えています。将来的には、ペットシートへの応用も検討していきます。

さらに、災害時の活用にも大きな可能性があります。避難所では多くの人が一定期間生活するため、ごみや衛生面の問題が生じます。特に、高齢者や乳幼児が使う紙おむつは、保管場所やにおいの面で課題になりやすいものです。小型の「ダイパーウォッシュ・50」であれば、避難所にも持ち込みやすく、必要な場所で活用できます。今後は、自治体や都道府県への導入提案に加え、災害時のレンタル利用も検討していきます。

そして、将来的には海外展開も視野に入れています。使用済み紙おむつの処理については、高齢化が進む欧米やアジアの国々でも同じような課題を抱えています。小型で導入しやすく、現場で処理できる当社の装置は、海外でもニーズがあると考えています。

まず販売面では、医療・介護業界に精通し、全国にネットワークをお持ちの企業と、ぜひ協業させていただきたいと考えています。介護ベッドや入浴設備、リネン類、医療・介護用品を扱う企業、クリーニングや衛生管理に関わる企業とは親和性が高いので、販売や導入の面でお力をお借りできれば大変心強く思います。

また、紙おむつメーカーとの連携も欠かせません。「つくる側」と「処理し、資源化する側」が協力することで、使用後までを見据えた新しい仕組みをつくれると考えています。回収したパルプやプラスチックの活用についても、製紙工場や資源活用に関わる企業との連携を進めていきたいです。