第143回最終選考会(令和7年7月18日開催)
ビジネスアイディアのテーマ
ビジネスアイディアの概要について
『ChaaS ( 茶畑 as a Service )』は、企業のESG施策を“ 飲料導入” だけで始められる、環境ソリューションです。 茶畑のCO₂吸収量や生物多様性価値を可視化・証明し、企業はこれらを反映したサステナブル飲料(例:SUSTEA ) を導入することで、自社の環境貢献をわかりやすく社内外にアピール可能となります。 Scope3 削減やTNFD開示、社員向けの啓発ツールとしても活用できる点が特長です。

新規性・優位性について
本事業の新規性は、一次産業である「茶畑」の環境価値を可視化し、都市部企業のESG施策へと転換する独自のビジネスモデルにあります。
企業がESG施策を実行する際のハードルを下げ、ただの「寄付」や「CSR活動」ではなく、飲料導入という日常的な活動を通じて環境貢献が実現できる点に革新性があります。
CO2 吸収量や生物多様性保全への貢献を、ブロックチェーンなどを用いて科学的に証明し、企業のサステナビリティ報告やPR にも活用できることが大きな優位性です。さらに、耕作放棄地や世界農業遺産地域など、地域との共創モデルとしても展開可能であることも強みの一つです。
市場について
主なターゲット・市場の規模
本サービスの主なターゲットは、大手企業のサステナビリティ推進室、経営企画部、IR部です。これらの部門は、Scope3 排出量の削減、TNFD やCDP などの非財務情報開示、従業員向けのESG意識啓発施策を検討・推進しており、ChaaS のように「日常的な行動でESG貢献が実現できる施策」を求めています。特に飲料という誰もが手に取るツールを通じて企業の環境活動を見える化できる点は、社内外への発信手段としても有効です。法人向け飲料市場は国内だけで約2,000 億円とされ、今後はESG文脈での置き換え需要が進むことが期待されます。
市場での競争力
『ChaaS 』の最大の競争優位は、「ESG貢献を証明できる飲料」であるという点です。飲料を導入するだけで、茶畑のCO₂吸収量や生物多様性保全への貢献が数値化され、ブロックチェーン等によって信頼性の高い形で証明可能です。これにより、企業はESG レポート、統合報告書、プレスリリースなどを通じて対外的に発信できる“ 根拠ある実績” を持つことができます。
さらに、ChaaS は農業との共創により、地方創生や耕作放棄地再生にも貢献するモデルであり、サステナビリティの多面的価値を企業活動に組み込むことができる点でも、他にはない競争力を有しています。
実現性について
実施スケジュール
2024 年に静岡県内での実証を完了し、2025 年からは首都圏企業との連携を本格化させます。特に産業・技術が集積する川崎市では、ESG施策に関心の高い企業との共創や実証の場を広げ、都市型サステナ施策としての導入を目指します。また、神奈川県をはじめとする関東近郊の茶畑とも連携し、都市部企業と地域農業をつなぐ広域的な環境価値創出に取り組みます。
実施場所
川崎市を含む首都圏企業オフィス、東海・関東圏の茶産地・製造拠点
実施体制
社員5 名体制で事業を推進し、外部アドバイザーや研究者、茶農家、飲料製造パートナーと連携しています。特にボトルド飲料の製造は神奈川県内の拠点で行っており、首都圏企業への迅速な納品や在庫管理、品質確保などの体制が整っています。今後は関東圏の生産者・自治体との連携も強化し、「都市×地方」モデルの拡張を図ります。
ビジネスパートナー
静岡県内の茶農家や静岡大学と連携し、環境価値の可視化と茶畑の持続的活用を推進しています。今後は川崎市および神奈川県内の企業・茶農家・製造パートナーとの連携を深め、関東圏での事業展開を加速させていきます。
リスクとその管理
上場企業導入には環境価値の信頼性確保が課題であり、第三者認証や証跡管理の整備を進めています。また、環境価値の高い茶畑が5年以内に8割失われる可能性に対し、保全契約や産地分散による対応を図ります。