第144回最終選考会(令和7年9月26日開催)
ビジネスアイディアのテーマ
ビジネスアイデアの提案者

【発表者 高野 泰朋】
ビジネスアイディアの概要について
紙の実験ノートが主流の研究現場では、検索ができないため過去の知見が埋もれ、探す時間も膨大です。この課題を解決するのが「Jikken Note 」です。手書きノートを撮影するだけで、AI-OCR が手書き文字を含む全文をデータ化し、高速検索を可能にします。紙の良さをそのままにデジタルの利便性を融合しました。
将来的には、研究現場全体を支えるDX プラットフォームへと発展させ、研究開発の生産性を劇的に向上させます。

新規性・優位性について
電子実験ノートの国内普及率は7% に留まり、海外製品は手書きや日本の法令に未対応です。「Jikken Note 」は「手書き対応」「日本向けUI 」「法令準拠」を唯一満たすサービスです。特に強みとなるのが、2023年から義務化されたリスクアセスメントをワンクリックで実行できる点です。
これらの特許取得済み機能により、研究者の負担を激減させるだけでなく、安全性とコンプライアンスを両立しています。
市場について
主なターゲット・市場の規模
ターゲットは、生物・化学分野の大学・民間・国の研究機関に所属する研究者です。実は、研究DX市場は2033 年には22 兆円に達すると予測される巨大な成長市場です。「Jikken Note 」はその入口となる実験ノート(国内240億円) から参入します。将来的には、実験機材EC ( 9,600億円) 、研究保険( 240 億円) 、人材マッチング( 1,800 億円) など、周辺の巨大市場へ事業を拡大し、研究開発全体のDX を主導するプラットフォーマーとなることを目指します。
市場での競争力
化学物質のリスクアセスメント実施率は3 ~ 6 割に留まり、数億円規模の損害を出す火災・爆発事故が多発しています。原因である実施負担を解決するため、専門家と構築した特許技術で入力負荷を最小化し、計算を自動化しました。さらに、実験の「記録」を「自動化」する革新として、オフライン実験機器のIoT化に成功しています。ヒューマンエラーのない正確なデータを手間なく自動で蓄積します。これらを礎とし、さまざまな事業への展開が可能になります。
実現性について
実施スケジュール
-2025 年: Jikken Note ( 月額利用料)
-2026 年: 実験機材EC ( 実験版のAmazon )
-2027 年: 研究保険( 爆発・火災事故対応)
-2028 年: 人材マッチング( 就職・転職支援、共同研究)
-2029 年: 実験自動化( ロボットが人の代わりに実験を実行)
実施場所
クラウド方式で提供されるSaaS ( Software as a Service )
実施体制
開発: 東京大学 Cristian Mejia特任准教授をはじめ、将来展開を目指すASEAN を中心とした国際的エンジニア5名
アドバイザー: 筑波大学 貴志 孝洋 准教授、Google Developer Expert 吉原 浩之
ビジネスパートナー
販売: アズワン株式会社( 東証プライム市場、全国20,000 拠点の販売網)
デバイス: 株式会社ハウディ( オフラインの実験機器のIoT化)
リスクとその管理
機密情報である研究開発・実験データの漏洩が最大のリスクです。堅牢なセキュリティと自動バックアップ、24 時間システム監視でリスク管理をします。